JAの活動:持続可能な社会を目指して 希望は農協運動にある
【特集:希望は農協運動にある】座談会「希望は農協運動にある」岩佐哲司氏(JAぎふ)熊谷健一氏(農事組合法人となん)飯野芳彦氏(元JA全青協会長)田村政司氏(JA全中)(2)2020年10月30日
理想は集荷場エリアに続く

事業エリアに応じて
田村 食料に限らず必要なものを自給する地域の広がりや組織は単一ではないように思います。JA経営、農業生産、くらしなど事業・活動に応じた地域の広がりをどう考えますか。
岩佐 JAぎふ管内には6市3町、80万人の人口を有し、10万人余の組合員がいます。JAの規模については、今のJAの組織運営方法ではこれが限界ではないかと考えています。これ以上大きくなると、別の運営方法を考えなくてはなりません。
JAには時代に応じた規模があると思います。組合員のコミュニケーションや地域住民への食料の安定供給など、JAの経営を考えると現行の範囲が適切だと思います。また管内は米の移入県です。全量、地域で「農」の地域でいうと、基礎的食料が自給できる範囲が地域であり、JAぎふ管内の米の供給能力は60万俵ほどなので、この観点からも今の範囲が妥当です。
熊谷 旧村(旧農協)、つまり合併後の支所単位を地域と考えています。これが、組合員の心と心を繋ぐ範囲だと思います。同じ小学校・中学校に通い家族ぐるみでお付き合いする地域です。組合員数で1万人。これが農協の基本単位であり、これを超えると会社になり、意思疎通が難しくなると思います。
田村 今のJAの事業・活動に求められる機能は複数あり、事業、協同活動、経営管理においてそれぞれエリアが違うのでは。
熊谷 その辺は使い分けが必要です。農産物の販売、営農活動、暮らしの活動などを一緒にすることはできません。それぞれ適正なエリアがあります。地域、組織、事業をどういうユニットで考えるか。難しくなっています。
飯野 野菜の主産地では、農産物を出荷場に集められる範囲が一番やりやすいですね。実際に選果場を単位にしっかり部会活動をしています。准組合員、非農家を含めた暮らしの活動どうするかという問題がありますが、この点は問題を分けて考えるべきだと思います。協同組合は、経営体としてどう生き残るかが先に立ち、本来のあるべき協同組合組織、地域をどうするかの議論が二の次になっています。
岩佐 経営面からみると、中長期シミュレーションの結果、JAぎふでは、今のまま何も手を打たないと令和7年に赤字になるという結果が出たので、経費削減と新規事業の掘り起こしに力を注いています。総合事業再編において、支店統廃合や赤字部門の見直しなどを行っています。支店は経費削減のために一律的に支店を廃止するのではなく、信用・共済の窓口は母店にまとめていますが、地域活動や生産者の部会、女性部などは支店に残すようにし、最低でも職員2人を置き、地域活動の拠点にする方針です。
熊谷 いま集落は、農地や水利を管理する人が減って崩壊の危機にあります。そこで10年前から、非農家、准組合員の労働力を地域で使うようにしています。管理できなくなった農地を農協や法人が地域の非農家の労働力を使い、水路の整備や草刈りなどを行い、担い手農家が営農を継続できるようにしています。地域のすべての人が一丸となって農地と農業生産を守るという考えに切りかえないと、限られた数の担い手農家ではどうしようもない状況です。
我々の地域では、農地の賃借料を「小作料」でなく「管理料」と言っています。農地を適切に守ってもらう訳なので小作料もらうのではなく、管理料を支払うという意味です。また、非農家を含め年5回くらい集まって草刈りなどを行い、国の多面的機能の交付金などで日当を払い、そのときに、お弁当を食べながら、食料や農業、農協がいかに大切かについて話すようにしています。
岩佐 「となん」のような地域をつくりあげればすごいことだと思います。そうした地域は地域の人たちで守るというコンセンサスづくりが大切です。JAぎふでも子会社を通じて農地を受託し、農業経営を行っていますが、畦草刈りが大きな負担です。機械でできる作業はもちろんやりますが、それ以外の作業は地域の人たちで力を合わせてやってもらうようにできないかと考えています。しかし、委託した農家の理解をえるのは難しいのが現実です。
飯野 地域の農地は、農業者だけで維持するのではなく、地域住民とともに美しい農村風景を守るという考え方も必要です。さらに、組合員だけで地域を維持することが難しくなっていますが、地域を離れた人(不在地主)からなぜ水利の管理費を払わなければならないのかという抗議があるなど、悩ましいところです。
新たな事業興し
田村 マイナス金利の長期化が避けられません。これまでJA経営を支えてきた信用事業、共済事業の落ち込みを埋めていく新たな事業を創出していくことが求められています。
岩佐 JAぎふでは、総合戦略室を立ち上げ、意識的に新規事業の創出にチャレンジしています。現実には、信用収益の落ち込みをカバーするような画期的な取り組みが見つかるようなことは、まだありません。小さな取り組み、成功を重ねて、5年、10年のスパンで大きく育てていくしかないと腹を括っています。今年度立ち上げた特例子会社による農福連携事業は決して満足いく収益が上がるものではありませんが、職員の意識を変え、組合員からの信頼を得る意味で意義ある取り組みと判断しています。
熊谷 私は専務の頃、有料の「よろず相談所」を事業化しようと考えていました。組合員が必要とすることは何でもして手間賃をいただく。それから灯油の配達や庭木の剪定など、元気であれば誰でもできることでも、年をとるとできないことはたくさんあります。家の補修など、自分でできないことは、地域の工務店につなぎ紹介料をもらうのです。
農事組合法人「となん」では、約1000haの水田と1000haの畑の管理が難しくなっています。毎年30~50haの作業委託希望がありますが、一方で法人の中心的な担い手は高齢化しています。「となん」とは別に、農地管理株式会社つくり、職員を移行させ、農地の管理を任せたらどうかとを考えています。農地管理だけでなく、生産・販売を含めて役割を分担し、できた農産物は地元の学校給食で使うのです。地産地消です。どこまでできるか分からないが、いま市とも話し合っているところです。
飯野 協同組合は組合員のための組織ですから、内向きは仕方がありません。しかし、時代が変化し、社会的貢献を果たす組織に成長したのですから、協同組合ももっと外向きにならないといけません。そして過去も現在もこれからも、組合員と職員は同志であり、お互いに足らないところを補いあいながら新たな組織を創造していかなくてはなりません。
その一方で、組織維持のために組合員の痛みなしに職員に給与カットなどの痛みを背負わせることは、タコが自分の足を食べているようなものです。組合員も共に痛みを背負うことが大事です。配当を減らしても職員の生活を守るという気概が必要ではないでしょうか。
JAの内部留保が投資に回らないと言われますが、組合員のボトムアップの論議が希薄になっているのではないでしょうか。協同組合の運営はボトムアップの意見集約によって経営判断されます。しかし、意見が少ない。
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