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JAの活動:築こう人に優しい協同社会

【乗り越えようコロナ禍 築こう人に優しい協同社会】現地ルポ:JA松本ハイランド(長野県)健康、福祉を継承 地域に安心2021年7月26日

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長野県のJA松本ハイランドは充実した福祉事業で知られる。これは合併前の松本平農協の時代から、続いている健康管理運動の成果でもある。現在、松本市からの委託事業を含め、「社会福祉法人松本ハイランド」は、特別養護老人ホームやショートステイ、デイサービスなどの施設を運営し、「地域とともに いつも安心できる あたたかな場所」をモットーに、地域に密着した福祉事業を展開している。

自宅と同じようなくつろぎの場に自宅と同じようなくつろぎの場に

協同理念の原点磨き

地域ぐるみ健康管理

今日のJA松本ハイランドの福祉事業には、合併前の松本平農協時代からの健康管理活動の〝前史〟がある。昭和40(1965)年代までのJAの健康管理活動は、いわば婦人部(現在の女性部)任せだった。松本平農協はこれを農協の事業に移した。

当時、松本平農協の常務だった田中秀一氏などの呼びかけで、行政や医師会、嘱託医など、地域の各団体、医師が集まり、松本市健康管理推進会議を結成。毎年「健康を守る大会」を開くなど、地域ぐるみの健康管理活動を始めた。併せて「健康福祉基金」として、福祉関連施設の建設に必要な資金を内部留保として5億円積み立ててきた。

「農協経営は剰余金を出して出資配当や利益配当に回して終わりというだけではなく、組合員や農協にとってかけがえのない事業のための経費はあらかじめ確保していくという経営方針」(田中秀一著『地域のなかへー農協活動三十五年』)に徹した。

この健康管理活動とその考えは、当然ながら1992(平成4)年の合併で誕生したJA松本ハイランドに引き継がれた。2001(平成13)年には、松本エリアで総合的に福祉介護事業を展開する、「社会福祉法人松本ハイランド」を設立。翌年、高齢者を中心とした介護施設「ゆめの里」を皮切りに、次々と事業を拡大した。

延べ11万人が利用

コロナ禍でも家族との面会は欠かせないコロナ禍でも家族との面会は欠かせない

現在、法人は特別養護老人ホームやグループホーム、ショートステイ、デイサービス、訪問介護など13施設・事業所で、母体であるJAの地域密着の活動という理念のもと、290人が地域と一体となって高齢者を支える福祉介護サービスを展開している。2020(令和2)年度は、延べ11万6000人の利用者があった。

同法人の経営理念は、(1)地域とともに歩み、支え合い、助け合う地域福祉をめざします(2)一人ひとりの尊厳を大切にし、自分らしい暮らしの実現に向け支援します(3)笑顔と思いやりの心、責任と誇りを持ち、より高い目標に向かい、惜しみない努力をします――だ。

同JAには、「福祉事業は協同組合の原点の一つ」(高山拓郎・同法人前理事長)という共通認識がある。従って、高齢者に対して「単にケア(世話)するのではなく、家庭で家族と一緒にいるのと同じように、共に過ごす」(同)ことを基本にする。地域の人と利用者が定期的に「居酒屋」を開いているところもあるほどで、福祉介護施設は組合員の多いところに配置され、地域の支援、交流によって運営されている。

女性部員の活躍の場に「夢あわせの会」ネット

助け合い組織が支援

さまざまな支援組織のなかで、中心になっているのが助け合い組織JA松本ハイランド助け合いネットワーク「夢あわせの会」だ。利用会員、協力会員、賛助会員を含めて約800人の会員が、協同活動の一環として、施設に清拭(せいしき)布集めや農作物・花の提供などのサービスを提供。また有償による食事、入浴、通院介護などの身体介護、炊事、掃除洗濯、買い物代行などのサービスも行う。

同JAは昨年の11月にJA塩尻市とJA松本市が合併した。JA塩尻市の福祉事業はJA本体の事業となっている。このため近く社会福祉法人に一本化する考えだ。「人と人のつながりを大事に、安全で安心できる介護の実現に努め、『誰ひとり取り残さない』というSDGsの理念に沿って、地域に信頼され、選ばれる社会福祉法人の実現を目指す」と、今年6月就任した松澤幹夫理事長はJAの福祉事業への抱負を述べる。

※高山氏の「高」の字は正式には異体字です

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