JAの活動:第7回JA営農・経済フォーラム
【第7回JA営農・経済フォーラム】(7)事例解説 重要性増すJAのサポート体制 JCA基礎研究部主任研究員 西井賢悟氏2021年12月22日
JCA基礎研究部
主任研究員
西井賢悟氏
次世代総点検運動は、次世代の組合員を計画的・組織的に確保するJAグループあげての取り組みの総称である。ただ、計画を立てれば十分というわけではなく、JA内の部署を横断して総合的な対応が必要で地域農業振興計画では将来の品目と作付面積、誰がそれを中心的に担うのかなどの目標を明確にするとともに、栽培技術から販売までの課題を網羅して示す必要がある。
とくに事業承継や新規就農者を確保、育成する場合はなおのことJAなどのサポート体制を明確にする必要がある。
また、計画の策定は組合員の主体性を喚起する必要があり、それによって地域農業や産地の未来に対して組合員の責任感を醸成することが大切になる。それにはJAの出向く活動や、JA自己改革の実践の際の対話運動などの積み重ねが「主体性喚起の追い風」となることも認識したい。
JAグループ鹿児島の取り組みは、中心となる組合員の選定と営農指導員による訪問、個別経営を支える営農支援システムによるPDCA管理強化、また、JA域を超えるブロック別推奨品目の推進、広域営農団地づくりなど、個を支える県あげての仕組みづくりがポイントだ。
JA遠州中央は部会を単位に個別面談で意向を調査し、部会役員との協議で計画を詰め5年後の栽培面積や単価など具体的な目標を設定し、それを総会で決める。個から組織へ、組織から個につないで実践を図るのがポイント。そのつなぎ役をJAの営農指導員が担っている。
JA金沢市は多様な事業承継支援を実践している。支援対象は家族経営、生産部会、集落営農法人などで支援内容は経営者の変更、家族経営協定など。家族経営に対しては画一的な取り組みではなく、何かあれば相談を、という対応をし、逆に集落営農法人には、アンケート実施などで積極的に事業承継提案など実践。アプローチの使い分けを大いに参考にしたい。
JA会津よつばは生産者自らが新規就農確保に取り組み、それをJAがサポートする。南郷トマト生産組合の歴史ある組合をもっと発展させたいという生産者の主体性が高く、新規就農者を里親として受け入れている。JAは就農者の募集、事務局面談などで支援。Iターン者が2割を超すなど地域づくりの観点からも学ぶことが多い。
JAマインズは都市部でいかに農地を残すかに多様な対応策を実践している。ポイントは相続の発生前にいかに対応するか。特定生産緑地制度を職員が学び、一丸となって対応、さらに農地を借りたい意向があることもふまえて都市農地貸借円滑化法を活用してマッチングにも取り組む。組合員大学を開校するなど将来を見据えた取り組みもしている。
組合員とJAをつなぐ出向く活動が重要だ。それによって組合員自ら農業振興計画を作ることになる。次世代総点検運動は組合員が地域の未来をともに支える仲間を作る運動だ。地域の経営資源を総動員した運動となることを期待したい。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(164)-食料・農業・農村基本計画(6)-2025年10月18日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(81)【防除学習帖】第320回2025年10月18日
-
農薬の正しい使い方(54)【今さら聞けない営農情報】第320回2025年10月18日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第114回2025年10月18日
-
【注意報】カンキツ類に果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 高知県2025年10月17日
-
【国際協同組合年・特別座談会】いまなぜ二宮尊徳なのか 大日本報徳社鷲山社長×JAはだの宮永組合長×JAはが野猪野氏(1)2025年10月17日
-
【国際協同組合年・特別座談会】いまなぜ二宮尊徳なのか 大日本報徳社鷲山社長×JAはだの宮永組合長×JAはが野猪野氏(2)2025年10月17日
-
【国際協同組合年・特別座談会】いまなぜ二宮尊徳なのか 大日本報徳社鷲山社長×JAはだの宮永組合長×JAはが野猪野氏(3)2025年10月17日
-
25年度上期販売乳量 生産1.3%増も、受託戸数9500割れ2025年10月17日
-
(457)「人間は『入力する』葦か?」という教育現場からの問い【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年10月17日
-
みのりカフェ 元気市広島店「季節野菜のグリーンスムージー」特別価格で提供 JA全農2025年10月17日
-
JA全農主催「WCBF少年野球教室」群馬県太田市で25日に開催2025年10月17日
-
【地域を診る】統計調査はどこまで地域の姿を明らかにできるのか 国勢調査と農林業センサス 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年10月17日
-
岐阜の飛騨牛や柿・栗など「飛騨・美濃うまいもん広場」で販売 JAタウン2025年10月17日
-
JA佐渡と連携したツアー「おけさ柿 収穫体験プラン」発売 佐渡汽船2025年10月17日
-
「乃木坂46と国消国産を学ぼう!」 クイズキャンペーン開始 JAグループ2025年10月17日
-
大阪・関西万博からGREEN×EXPO 2027へバトンタッチ 「次の万博は、横浜で」 2027年国際園芸博覧会協会2025年10月17日
-
農薬出荷数量は0.5%増、農薬出荷金額は3.5%増 2025年農薬年度8月末出荷実績 クロップライフジャパン2025年10月17日
-
鳥取県で一緒に農業をしよう!「第3回とっとり農業人フェア」開催2025年10月17日
-
ふるさと納税でこどもたちに食・体験を届ける「こどもふるさと便」 IMPACT STARTUP SUMMIT 2025で紹介 ネッスー2025年10月17日