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JAの活動:JA全農の若い力

【JA全農の若い力】寄生虫、感染症...改善策に日夜奮闘 家畜衛生研究所(2)「提案力 系統の強み」獣医師・坂本梨果子さん2024年2月22日

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日本の畜産現場を支えるJA全農の若い力を紹介するシリーズ。今回は家畜衛生研究所の獣医師を訪ねた。

クリニック北日本分室 獣医師・坂本梨果子さん(2020年入会)クリニック北日本分室 獣医師・坂本梨果子さん(2020年入会)

坂本梨果子さんは2020年入会。岩手県盛岡市のクリニック北日本分室に所属し主に宮城、山形、福島の3県を担当し、畜産農家の衛生対策に取り組んでいる。

飼料をはじめとする生産資材価格の高騰と、コロナ禍による需要減で畜産経営が厳しいなか、現場で農家の悩みを聞き、クリニック検査等を通じて経営改善につながるよう飼料会社のスタッフとともに現場のサポートに努める日々を送っている。

「受胎率が低下している、肉質が良くないなどの問題の原因は栄養状態だけでなく、感染症由来のこともあります。農家を訪ねたときには、どういう問題があるかを一つひとつ聞き取り、検査や対策など提案していくことが重要だと改めて感じています」

これまでの例で、たとえば子牛に呼吸器病が流行しているという農場では、どこに問題があるかを農場主との会話のなかで探っていくと、子牛のミルクを飲ませるロボットの洗浄に課題があることが分かった。さらに聞いてみると、疾病対策に役立つ洗浄方法を伝える必要性に気づいたという。

「体調が悪いという牛を見つけたら、考えられる原因を一つ一つつぶしていくことが大事です。この例も会話のなかでロボットの洗浄に課題があるのでは? となりました。誰かが気がつかなければ呼吸器病の流行が続いていたということになります」と坂本さんは振り返る。

こうした農家に寄り添った対応も重要だが、クリニック検査によるデータの提示ももちろん重要だ。

ある繁殖農家から受胎率が悪いという相談を受けた。農場主は仲間に相談すると、その母牛について「太り過ぎではないのか?」と言われて餌の給与量を減らしていったという。現場を訪れても見た目だけでは判断しきれなかったため血液検査を提案したところ、データが示した結論は「痩せ過ぎ」だった。

「結果をお伝えすると、意外だなという感じでちょっと驚いておられました。その理由をコレステロール値などの数値を示して説明していくと、検査一発でここまで分かるんだ、と評価してもらったこともあります」

ただし、現場ではそれでは終わらない。その後の会話は「状況は分かったから、どう改善していけばいいんだ?」となる。

「どうしても検査結果に注目しがちですが、改善策の提案も求められます。この場合は、妊娠中の給餌量を増やすことなどを提案しました。もちろん具体的な提案は飼料会社からですが、チームの力で改善策を提示できるのは系統の強みだと思います」と語る。

獣医師・坂本梨果子さん獣医師・坂本梨果子さん

養豚場の事例では、子豚が痩せ細って1カ月ほどで次々に死亡していくという相談が舞い込んだことがある。駆けつけて死亡豚を解剖すると、腸から鞭虫が大量に見つかり、細菌やウイルスによる疾患ではなく、寄生虫である鞭虫症であると判断された。そのため駆虫剤を投与した。

長年使っていなかった豚舎で新たに豚を導入したところ、すでに鞭虫が入り込んでいたと推察され、畜種を問わず畜舎の清掃や消毒が重要なことが改めて確認される事例だったという。

この場合は豚の体調不良や死亡の原因は寄生虫だったわけだが、原因は多様だ。たとえば抗生剤を投与しているのに、体調不良の豚が減らないといった相談もある。検査をしてみると、サーコウイルスが農場にまん延しており、それが豚の免疫力を低下させ、肺炎を起こす恐れもあることが分かった。

「検査の有用性と意義、何より疾病を予防することが大切だということをアピールしていく努力が必要だと考えています。厳しい経営環境だからこそ、クリニック検査の意義を理解してもらえればと考えています」

一方で疾病予防のために畜舎から家畜をすべて出して消毒し石灰をまくことは望ましいが、「そんな場所と時間がない」という農場もある。ミスト散布による消毒を提案してもコストの問題もある。坂本さんは農場ごとに「実践できる対策を現場にすり合わせて提案していくこと」が大事だと考えて「そのためには引き出しの多い獣医師にならなければ、と思っています。感染症の知識はもちろんですが、ストレスなく家畜を育てる環境づくりなど、現場からは『全農の獣医』として総合的な飼養衛生管理の知識・提案を求められていると考えなければと思っています」と話す。

入会1年目に先輩とともに訪問した農場に最近、久しぶりにクリニック検査で訪れた。坂本さんの牛への接し方や検査結果を説明する姿を見た農場主から「成長したね」と声を掛けられた。

「先輩から受け継いだ関係があったからこそ、そんな言葉をかけてもらえたと思います。農家とともにこの地域で畜産に携わっているんだと感じました」と話す。

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