循環型社会が日本を変える JC総研が研究会2014年1月29日
JC総研は1月25日、「循環型社会は日本を変える」のテーマで、第29回公開研究会を東京都内で開いた。▽ドイツにおける地域からのエネルギー転換▽循環型社会にむけた地域通貨の役割▽JAの高齢者福祉事業の課題、の3つの報告をもとに意見交換した。
◆独で電力自給の村
ドイツの事例は愛媛大学の村田武客員教授が、ドイツのエネルギー協同組合によるバイオエネルギーの利用と経済効果について報告。ミュンヘン南部の酪農地帯で、デントコーン・サイレージと牛糞を発酵させたバイオガスで、発電と熱供給を自給している村の取り組みを紹介した。
250戸の小さな村で村内消費量の4.75倍、760万kWhの電力を生産して売電し、同じく村内熱エネルギー消費量の90%を供給する。必要な電力と熱エネルギーをほぼ完全に自給すると同時に、熱源の中心であるデントコーンの栽培を180haに抑え、冬大麦、小麦との3年輪作体系はきちんと守り、環境保全にも配慮している。
◆地域通貨に将来性
地域通貨については北海道大学の西部忠教授が報告。地域通貨とは限定された地域内で流通するお金で、ヒトやモノ、サービスの循環を豊かにして、コミュニティへの帰属意識を醸成する。
同教授は「脱工業化とネット社会化の進展で、将来普及する可能性がある」と見通す。とくに北海道において、全国的に優位にある農林水産、食料品生産、観光、情報、環境などを成長させつつ、財政や社会保障の中央政府依存を脱して公助から共助・自助への転換をはかる」契機になると言う。
◆協同の仕組みを
JAの高齢者福祉事業では報告したJC総研の根岸久子客員研究員は、「JA版の地域セーフティネット」づくりに取り組む3JAを紹介。JA兵庫六甲はJA直営の福祉事業とJA設立の社会福祉法人の二本立てで運営する。JAの総合性を活かし、福祉・信用・共済事業を同一の事業部門(生活文化事業)としてくくって展開している。
熊本県のJAかみましきは行政との連携や各種補助事業を積極的に導入し、JA直営による多様な高齢者福祉事業を展開しているところに特徴がある。またJAあづみ(長野県)は、JAの助け合い組織による事業が中心で、地域活動に係わる人材の育成から加工品の販売まで幅広い活動を展開する。
こうしたJAの取り組みから、根岸研究員は、JAの助け合い組織の再構築、地域住民の参加など、協同によるJAの福祉事業を支える仕組みづくりの必要性を強調した。
(関連記事)
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