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農協をめぐる最近の動向 農水省・山北氏が講演2014年7月3日

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新世紀JA研究会セミナー農水省経営局・山北幸泰協同組織課長の講演(要旨)

 6月18、19日、JAいちかわ(千葉)で開催された新世紀JA研究会第16回セミナーで、農水省経営局・山北幸泰協同組織課長が「農協改革」について講演した。与党の改革方針の骨子と、山北氏の講演要旨をまとめた。

「農協・農業委員会等に関する改革の推進」(与党の改革方針)の骨子

 

農協改革の目的は農業・農村の発展

 

・農業者、特に担い手からみて、農協が農業者の所得向上に向けた経済活動を積極的に行える組織となると思える改革とすることが必須。
・また、高齢化・過疎化が進む農村社会において、必要なサービスが適切に提供できるようにすることも必要。
・農業者が自主的に設立する協同組合という農協の原点を踏まえ、これを徹底することが重要。
・また、農協批判を終息させ、今後は安定的な業務運用が行えるようにすることも重要。
1.単位農協のあり方
(1)単位農協は農産物の有利販売(それと結びついた営農指導)と生産資材の有利調達に最重点を於いて事業運営を行う必要がある。
(2)各単位農協が自立した経済主体として、それぞれの創意工夫で積極的に事業運営を行い、優良事例を横展開していく必要がある。
(3)単位農協の事業の対象者(担い手農業者・兼業農家・地域住民)が複雑化する中で、それぞれのニーズに応じて事業を適切に運営する観点化、事業の内容・対象者に応じて子会社の活用など、適切な組織形態を選択できるようにすることも必要である。
2.連合会・中央会のあり方。
連合会・中央会は、1.を前提に単位農協の適切にサポートする観点で、そのあり方を見直す必要がある。
(1)連合会・中央会の単位農協に対する関わり方や業務内容は次の通り。
(以下、全農・経済連、農林中金・信連・全共連、厚生連、中央会について明記。詳細略)
(2)(1)を踏まえて、連合会・中央会の組織のあり方を見直す。(各連合会の項略)
・農協改革については、農協を取り巻く環境変化に応じ、農協が農業者の所得向上に向けて経済活動を積極的に行える組織となるよう、的確な改革を進めるため、以下の方向で検討し、時期通常国会に関連法案を提出する。
[1]農協法上の中央会制度は、制度発足時との状況変化を踏まえて、他の法人法制の改正時の経過措置を参考に、適切な移行期間を設けた上で現行の制度から自律的な新たな制度に移行する。
(以下略)
3.行政における農協の取扱い。
農協が、農業者が自主的に設立した民間組織である

ことを踏まえ、適切にとりあつかう。

 

【山北氏講演要旨】

 農協問題は大きく対外的にも話題になったのは、住専に端を発した農協の健全性について問題があるのではないかという議論がされた平成8年の農協国会からと理解している。そこでもって金融関連の整備が図られ、さらにペイオフを間近に控えて13年に金融サイドからのより強固な基盤づくりということで、JAバンク法も作られ、その関係でいろいろ規制も入った。契約者法とか健全性確保措置、他の行政措置などを入れてきたという歴史があります。
 加えて16年には農協共済も契約者を守るためのいろいろな制度が組み込まれてきた。そういう意味では信用・共済は、他の業態と同様な規制の下で健全に実施されてきており、組合員からも支持をされ、その結果として一定の事業量も確保されてきているのだろうと、認識しているところです。
 ただし、その間に一貫していわれてきたのは、特に農協の経済事業の取り組みです。なかなか採算を取るのが厳しい。そういう中で組合員に結びついていないといった声も寄せられる。一生懸命農業をやっている立場からすると、自分たちの意見がなかなか農協の事業運営にダイレクトに結びつかない、理事会に出ても、積極的な提案をしても、理事の中には兼業農家の地区代表、あるいは持ち回で出てきた方もあり、議論が進まないといった声が出ていることです。
 経済事業については、農水省の中でもいろいろな研究会が開かれ、もっと頑張って欲しいというような提言が何度も出されたのですが、具体的に全国の動きに繋がっていないという感じも受けています。

 

◆3つのコンセプト

 そういった中で、今回の農協改革の議論の一番の目的は、信用秩序や金融健全性の確保ということではなくて、農業・農村の発展を大目的にして議論しようというところがスタートだと理解いただけるとありがたい。また議論を進めるに当たっては、農協が変わったと思えるような改革にしたいというのが、一番最初のコンセプトでした。
 もう一つは、実態として農協が各地域で果たしている役割があるということです。高齢化・過疎化が進む農村社会で必要なサービスが適切に提供され、ライフラインの機能を果たしており、それが今後も維持されないといけないということも頭に置いて議論されました。
 3点目は、農協は自主的な協同組織であるということです。この原点は踏まえておこうということが基本的な考え方としてあります。また今回は、農協批判を終息させて、それに煩わされないで、本来の仕事に邁進できる体制を作っていきたいという思いもありました。

 

◆事業の組織改革

 それで最初に議論されたのは、事業面で組織はどういう形にしたらよいのかということです。農業者が農協に期待する役割の7?8割は農産物の販売に関するものと、資材についての2つです。その意味で、農産物の有利販売を行う必要があるということが一番最初に掲げられています。
 その中で、営農指導が挙げられていますが、その心は、営農指導は従来型のものではなく、いろいろな形で販路を見つけ、こういうものを作れば、こういう形で売れますよというような農産物の作付けの提案など、販売に結びつく営農指導を進めていただきたいということです。
 もう一つは生産資材です。刺激的なことが書いてありますが、全農、経済連と他の調達先を比較してということです。全農に供出していないと物が買えないという時代ではないと思っています。そういう中で、連合会は農協の事業を補完するのだから、農協が厳しい注文を付けていただければ、連合会も農協に使って貰うためにはどうしたらいいのかということを考えなければいけなくなるということをいっているのです。
 規制改革会議から一方的に出た5月14日段階では、完全に信用事業を農林中金に移管してしまえというような報道がなされた面がありますが、これはもうすでに制度としては存在しています。なぜいまこんな項目が、規制改革会議の最終とりまとめに入っているのかというと、今の農協の信用事業の5年、10年先をみて、みなさんがどう判断されるのかということです。高齢化、人口減少を迎える中で、今のまま続けていって金融機関が存続できるのか、長期的に考えて欲しいということです。
 それから共済事業、これも農業改革の意見の段階では共済を代理店にしろと書かれていました。それは農協から、重荷となっているようなリスクは移転して、経済事業に専念できるようにという趣旨で書かれています。
 もう一つ、連合会・中央会は、こうした各単位農協の自由な経営を制約しないようにという、これもやや刺激的な部分がありますが、このところは、農協や連合会段階でもそうなのですが、出る杭にはみんながいい顔をしないというような行動パターンがややあるように思います。無条件委託とか共同計算とかがあるために、それから少し離れた行動は、上の方から、系統の組合長、役員なのに、そういうことでいいのですかということがあるのではないかというようなことを感じるということです。
 それから単位農協の事業の対象者ということですが、農協が地域でいろいろな役割を果たしていることは忘れてはいけません。そこには人が住んでおり、その中で農協が地域を支える役割を果たしているというのは事実です。そういう意味では、サービスを切り離してしまって人が住めなくなるような地域になっていいのかといえば、そんなことはないということです。

 

◆准組合員の増加

 そうはいいながら、組合員が資格をどんどん失っています。数の面では准組合員が正組合員の数を超えているのですが、事業利用でも准組合員の利用がどんどん増えている時に、みなさんは何ですかと問われたとき、非常に苦しくなってくる。ここのところは重い意味があります。
 地域組合になるべきだという意見も聞きますが、農協組織のみなさんからは、やはり農業者の協同組合であるところを根っ子に置いて、ずっと議論をされてきています。そうであるとすれば、一つの組織で、目的の異なる2つの役割を同時に果たしていくというのは、一定の段階で限界がくるというのがここの書きぶりだと理解をしています。そういった役割を果たせるような組織形態を選べるようにしておかないと、矛盾を抱えたまま行くことになり、それではいけないということだと理解しています。
 それに基づいて、組織形態を組合員であるか農業者であるかに関わらず、サービスを提供できるような組織に変える道を開くべきではないかと書いてありますし、准組合員の事業利用については、議論はありますが、正組合員の事業の方をとるという立場から、一定のルールを導入する方向で検討すると書かれたということです。
 それから、連合会・中央会のあり方ですが、今回の議論で一番基本的な認識は農協に元気になってもらいというところをはっきりさせた上で、連合会の組織は、今のままでいいのですかという、より大きな問題意識があります。農協には頑張っていただきたい、ただそれをサポートする連合会・中央会は、時代の変化に応じてその役割、仕事の仕方を変える時期がきているのではないかということです。
 全農・経済連は事業を選択してもらう存在になってください。ただ選択してもらえるように、全農はちゃんと事業戦略を立てて実行してくださいということで書かれています。事業の制限だとか、員外利用規制とかがある中で、本当に農協がこれからの期待に応えていけるのかについて、そろそろ考えるときがきているのではないですかということです。とことん農協の補完をしようとする時に、今のままでは、何も問題がないのですかということが投げかけらています。

 

◆農協法制下の中央会

 もう一つは中央会です。中央会も地域の農協の事業を阻害するということで議論しているわけではないのですが、中央会制度がそもそもどういうことでできたのかということで振り返ってみると、農協法が昭和22年にできました。官の働きかけによって、農協は全国、隈なく設立されたが、数年でガタガタになりました。超インフレで、在庫を抱えても売れば損は無いということだったのですが、デフレになった瞬間に不良在庫の山ということになって、施設投資も採算がとれない、貯払い資金もありませんという状態に陥った。
 これではダメだということで、ある意味で自主的な姿を少しずつ作りながら、一方で行政と呼応して農協を強力に指導するような制度を作ろうということで、29年に中央会制度ができたのですが、どちらかといえば、行政補完的な制度設計がされたということです。県域には1個しか作ってはいけないと法律に書いてあります。全国にも1個しか作ってはいけないとも書いてある。それから県中央会は全中に当然に加入すると書いてある。
 ここまでくらいは他の中央会制度でもあるのですが、農協法はさらに、県の中央会に入った人は当然に全中の会員になると書いてあり、連合会とは大分異なる制度になっています。それと県中央会の事業計画に全中がものを申すことができるようにされており、あるいは農協については中央会から指導されたら、報告しなければならないとか、いろいろな形で一定の権限を与えた上で指導が有効に機能するように制度設計されています。
 行政にとっても、中央会に一所懸命やっていただいて、ある意味では楽をしてきているということだろうと思います。よくワークして、破綻したら困るのは農家のみなさんだということで、中央会には実によく頑張っていただいたと思いますが、一方で、だいぶ世の中変わってきています。今はむしろ、全国で合併構想を作って一斉に取り組むというような指導よりは、個々の農協のおかれている状況が変わったので、個別の相談的な形で処理をしていく感じになってきたと思います。
 それといま一番言われている経済事業ということからすると、中央会自体は経済的な事業をやっているわけではないので、事業の指導は法律には書いてあり、組織とか経営についてはだいぶやってきたのですが、制度設計上は農林中金が制度に基づいて、きちっと指導するということになっています。
 このような環境の変化があるので、いまの業務の中心が何になっているのか、それをやるのに行政補完的な、私などから言わせたらば、真に自主的な組織でない中央会という形態が今もなお必要ですかということを、少しよく考えていただきたいということがここに書かれています。恐らく、いま果たしている役割を否定する人は、誰もいないでしょう。それが、20年代から農協が倒れていく時に強制力のある特異な組織形態を作ったのですが、それが今も必要ですかという投げかけをしているということです。
 そのことを踏まえて、組織の形が書いてあり、全農は仕事をしていく上で、今の組織形態で大丈夫ですかということを含めて会社化の道も開くという選択肢ですが、まずはビジネスのあり方をよく考えてくださいということです。農林中金・全共連については、ここでは銀行になるとか、保険会社になるとか書かれています。それも通常の一般ルールの下でいくのがいいという声もありますが、今の農協の現状からいって、直ちにやれるような問題ではなく、またセーフティーネットが別々だとか、共済については別々にセーフティーネットがあるとか、解決すべき問題も多いので、可能とする方向で検討するとのことでかなり時間軸が先に送られているということです。
 また中央会については、制度設計の面で、特別な制度として作ってあるものについては見直して新しい制度に移行するという形で書かれています。
 これが全体のこれまでの議論で方向性として出てきているもので、この与党のとりまとめを踏まえて、我々も規制改革の方と調整し、その結果として出されたのが、6月13日の規制改革会議の答申です。

 

◆これからの手順

 もう一つは、「農林水産業・地域の活力創造プラン」、これに基づいて当面の農業改革ができますよというようになっていますが、そこで昨年の段階では、今年の6月までに農協、農業委員会、農業生産法人の議論をすると書いてあったわけですが、そのプランの改定もこういった与党のとりまとめを受けて、いままさに議論をしているところで、月内にもそのプランの改定もされる(6月24日、本部決定)。そのプランの中にも、農協だとか農業委員会だとか農業生産法人についてのエキスの部分がそこに取り込まれる。もっと言うと、日本再興戦略にも、いま言った項目のうちエキス部分がそこに入ってくる。今回のとりまとめでは、規制との関連でいけば規制改革実施計画という形で閣議決定されますし、農林水産業地域の活力創造プランの中では、改定ということで本部の決定がなされる。日本再興戦略の中でも閣議決定という形で盛り込まれます。(同24日、閣議決定)
 政府はそういった閣議決定に従って、今後議論し、農協法の改正を次期通常国会には提出するということで議論しなければいけない。そういう意味では、みなさん方の議論を活発にしていただいて、そういった声を踏まえて制度設計していく。ただし、いま言ったように、枠ははまりましたので、その枠組みをまったく元に戻すということではなくて、よりよいものにするため、これから制度設計に入っていかなければならないということです。
 農協にはよくなって欲しいというのはこれは共通した思いとしてあります。連合会には汗をかいて欲しい。中央会にも汗をかいて欲しい。かつ今までの枠組みにとらわれることなく、仕事を変えていっていただきたい。一番大きいのは、なぜ販売、販売が重要といったのかというと、市場を通して八百屋さんを経由して家庭に入って調理される野菜の割合はものすごく小さく、半分以上は外食や総菜、加工を経て食卓に届けられているので、市場から生鮮のまま家庭にいく割合はどんどん小さくなっている。だとすれば、従来の事業方式ではだめだし、それも昭和30年代のように需給が厳しいとき、出せばそれなりの価格が付き、みんな結集して出せば農家の手取りに繋がった時代ではない。
 必要以上に高くなれば外からも入ってくる状況のもとで、各農協が農家の手取りを増やそうと思ったら、今までのやり方を続けていてそれができますかということですから、今までの仕事のやり方を変えていただかないといけない。だから今までの仕事を続けるため、こんなことをやられてはそれができなくなるといわれても、あまり説得力はないと思います。


(関連記事)

農協改革で討議 新世紀JA研究会がセミナー(14.06.27)

 

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