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【TPP】牛肉、豚肉、乳製品-長期的には影響懸念2015年11月5日

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 農林水産省は11月4日、TPP(環太平洋連携協定)交渉の大筋合意による畜産物、林産物、水産物への影響を公表した。10月末に米、麦、果樹、園芸など耕種部門の影響を発表しており、この日は関税削減・撤廃が及ぼす農林水産物への影響についての総括表もとりまとめた。

◆米価下落の不安も

TPP品目別 農林水産省は品目ごとに、(1)直近の生産量や輸入量、おもな輸入先国などの「基礎データ」と(2)TPP交渉の結果、それに基づく影響などの(3)結果分析をまとめた。
 米は、米国と豪州に対してSBS方式の国別枠(13年目以降、7.84万t)を設定したものの、現行の国家貿易を維持し枠外税率(341円/kg)も維持した。
 そのため結果分析では「国家貿易以外の輸入の増大は見込み難い」としている。ただし、米国・豪州枠を設定したことで輸入数量が拡大し国内の米の流通量がその分増加することになれば「国産米全体の価格水準が下落することも懸念される」と分析した。そのうえで対応方向として▽備蓄運営による外国産米の主食用米生産に対する影響の食い止め、▽さらなる競争力の強化が必要、としている。
 今回の影響評価は定量的な評価ではなく定性的な評価のため影響評価については、たとえば米は国家が貿易を管理する制度を維持したため、その影響を「国家貿易以外の輸入の増大は見込み難い」と表現するなど抽象的で分かりにくいとの声も上がっている。
 小麦・大麦についても国内産麦を優先し、量的、質的に不足する麦を国家管理のもと輸入する制度を維持したことから「輸入の増大は見込み難い」との影響評価だ。ただし、実質的な関税とされるマークアップが9年目までに45%削減されることから輸入麦の国内供給価格が下落し、国産小麦の販売価格に影響を及ぼす懸念も認め、対応方向として「国内産品の安定供給が図られるための環境整備の検討や、さらなる競争力の強化が必要」としている。


◆加糖調整品増加の懸念

 重要品目のひとつ砂糖の交渉結果は、現行の糖価調整制度(安価な輸入粗糖から調整金を徴収、それを財源に国内生産を支援)は維持され、高糖度の原料糖に無税+調整金削減と、新商品開発用の試験輸入に限定して無税・無調整金での輸入を認めた。
 農林水産省は基本的枠組みは維持できたことから「てん菜、さとうきびの生産に特段の影響は見込み難い」と影響を分析した。ただし、加糖調整品では品目ごとにTPP枠を設定した。期間が11年などと設定されているもの、枠内税率を削減・撤廃し、数量も増える。たとえば、ココア調製品(2kg以下、含有率約4割~9割)は11年目に関税撤廃される。
 加糖調製品はココア、粉乳、ソルビトールなど混合物で形態は多岐にわたっており、菓子、パン、飲料、調味料などに幅広く使用されている。また、加糖調製品は糖価調整制度の対象外となっている。そのため農水省も「加糖調製品の流入の懸念」を認め、その輸入増加は国内生産を支える調整金収入の減少につながりかねないことから、▽国内産品の安定供給が図られるための環境整備の検討、▽さらなる競争力の強化が必要としている。


◆畜産生産への打撃懸念

 牛肉は関税の撤廃を回避したものの、現行38.5%の関税が16年目に最終税率9%となる。輸入急増に対するセーフガード発動は措置されている。農水省は国産牛肉のうち和牛と交雑種は品質・価格面で輸入牛肉と差別化されており「競合の度合いは小さいのではないか」と見込む。そのうえで「当面、輸入の急増は見込み難い」と分析した。 ただ、長期的には関税引き下げの影響が懸念され、とくに米国・豪州産牛肉と競合する乳用種を中心に「国内産牛肉全体の価格下落も懸念される」ことを認めた。
 豚肉も差額関税制度を維持し、現行の分岐点価格(これより高い豚肉には従価税、これより安い価格には従量税を課税)も維持した(1kg524円)。この価格での輸入がもっとも課税額が低くなるため、安い部位と高い部位を組み合わせるコンビネーション輸入が引き続き行われると想定し輸入急増は見込み難いと分析している。
 ただし、現行の従量税482円/kgが10年目には50円となる。従量税の引き下げにともない、従量税を払っても安い部位のみ輸入するという可能性は否定できず、長期的には国内産豚肉の価格下落も懸念されるとした。
 乳製品でもバターや脱脂粉乳などは関税撤廃は行わず民間貿易枠を設定するにとどまったとして、無秩序に輸入されることはなく「牛乳も含めた乳製品全体の国内需給への悪影響は回避の見込み」とした。ただし、ホエイやチーズが関税撤廃されると長期的には国内産の脱脂粉乳・チーズの価格下落が生じることにより加工原料乳の乳価下落も懸念されると分析した
 このように畜産分野の関税撤廃の影響懸念を明記。対応方向として「規模拡大等のよる生産コストの削減や品質向上など国産の優位性の確保等の体質強化対策に加え、経営の継続・発展のための環境整備を検討することが必要」としている。
 そのほかにんじん、鶏肉などは「影響は限定的と見込まれる」とされているが、「影響がないわけではない」、「ゼロではないという意味」などと農水省は説明しており、野菜等への影響と対策についても注視していく必要がある。
 
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