食料品購入に対策必要8割 農水省調査2016年3月10日
農水省は昨年11月に全国の市町村を対象に行った「食料品アクセス問題に関するアンケート調査」を3月1日にまとめた。
食料品店の減少や大型商業施設の郊外化などに伴い、高齢者を中心に食料品の購入が困難な消費者が増加しており、食料品の供給に支障が生じる「食料品アクセス問題」が起こっている。調査はこの問題の現状分析の一環として行われたもので、1184市町村(人口1万人未満の市町村から都市部まで)から回答を得た。
◆小都市では「公共交通機関の廃止」が課題
市町村の81.0%が食料品アクセス問題への対策が必要と回答した。また、対策が必要と回答した市町村のうち、611市町村(63.7%)はすでに何らかの対策を講じているが、248市町村では対策を実施していないことがわかった。対策の実施率は都市規模が小さくなるほど低くなる傾向にある。対策を行っていない理由は、どのような対策を行うべきかわからない、財政上難しいなどの回答が一定数あった。
対策を必要とする背景については前年度と同じ傾向で、「住民の高齢化」97.7%、「地元小売業の廃業」80.6%、「中心市街地、既存商店街の衰退」59.3%、「単身世帯の増加」50.3%という回答。ただし都市規模ごとで対策を必要とする背景に特徴があり、大都市では「単身世代の増加」「中心市街地、既存商店街の衰退」、中都市は「郊外への大規模量販店の出店」、小都市では「公共交通機関の廃止などのアクセス条件の低下」が高い傾向にあった。
対策を行っている市町村の対策内容は「コミュニティバスなどの交通支援」が70.9%、「宅配、御用聞き、買い物代行などへの支援」が30.9%などがあった。しかし「コミュニティバスなどの交通支援」は減少傾向。「宅配などの支援」や「移動販売車への支援」などは増加傾向にあった。都市規模ごとに必要とされる対策に違いがあった。
対策の課題について、大都市では「対策実施事業者の不足」など、中都市では「地域の現状・課題・分析不足」、小都市では「事業実施・継続予算・財源の不足」があげられた。
◆民間参入率 都市規模小さいほど低い
民間事業者の参入率は都市規模が小さくなるほど低くなる傾向。参入内容は「宅配・御用聞き」などが最も高く73.6%だったが、これは減少の傾向にあり、大幅に増加しているのは「移動販売車の導入・運営」だった。
対策実施の手法は「民間事業者などへの費用補助や助成などの支援」が最も高く52.0%、次いで「民間事業者などへ業務運営委託」40.9%、「市町村自ら実施」35.8%となっている。
対策を行っている市町村のうち、他部局と連携している市町村は22.6%、情報共有している市町村は41.1%、どちらもしていない市町村は33.7%だった。大都市では連携や情報共有を図っているが、小都市ではどちらもしていないという回答が多かった。
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