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2016.09.14 
生産資材価格の日韓格差大、改善に向けチャレンジ 農水省が小泉PTで一覧へ

 自民党農林水産業骨太方針策定プロジェクト(小泉PT)を13日に開催。農水省が「生産資材価格の引き下げに向けて」、日韓の価格差が大きく改善の余地があるので「改善に向けたチャレンジをすべき」とする資料を提出し説明した。

開会の挨拶をする小泉農林部会長 農水省は、「日本と韓国の米の生産における肥料・農薬・農業機械のコストを公表データに基づいて単純に比較すると、日本は韓国に比べて圧倒的に高コスト(肥料:約2倍、農薬:約3倍、農業機械:約5倍)」(図1参照)と指摘し、「農業生産資材コストの日韓格差は、ほかのコスト項目よりも大きく、大いに改善の余地があるため、改善に向けたチャレンジをすべき」と提案した。

図1(図1のPDFはこちらから)

 そのうえで、図2のように、肥料・農薬・農業機械・配合飼料・種子(稲・麦・大豆)・農業用温室・段ボールについて、韓国との価格比較、業界の構造や法規制の現状などについて説明した。
 このなかで農水省がとくに強調したのは、肥料・農薬・配合飼料について、「メーカーが乱立」または「メーカー数が多い」ことから「過剰供給構造による低生産性」になっていると指摘する一方、農業機械では「国内大手4社の出荷額が8割を占め、シェアが固定」しており「寡占状態による競争性欠如」とした。

図2(図2のPDFはこちらから)


◆肥料

 とくに肥料については、生産業者が約3000あり、工場が全国各地に点在し、生産量が5000t以下の小規模業者が太宗を占め、多くの銘柄(約2万銘柄)をそれぞれ少量ずつ生産するなど「非効率的な生産形態」になっていると指摘。韓国では「国策として肥料生産を目的とした大規模工場(原料の輸入を前提に港湾に立地)を整備し、少数銘柄(5700種類)を大量生産するなど、生産効率が極めて高い」と指摘した。
 そして日本で銘柄数が多いのは「同じ作物でも、品種や栽培方法、土壌等により細分化した『施肥基準』を策定し、これを受けてJA等が銘柄を示して、農業者に栽培暦を提示していることなどが要因」と分析している。また、同一の肥料成分であっても「生産業者が、自ら生産する銘柄ごとに登録する必要」があるために、「107業者で163の銘柄が登録」され、製造コスト・包装資材コスト・在庫管理コストの増加要因となっているとの分析も示した。


◆農薬

 農薬については、登録銘柄数は、日本4326、韓国3003となっているが、市場規模は日本約4000億円、韓国約1400億円であり「日本は市場規模の割には銘柄数は少ない」と分析。
 しかし、ジェネリック農薬については、普及率(出荷量に占める割合)が韓国の23%に対して日本は5%と、韓国の普及率が高いことを指摘した。
 そのうえで、日本は上位7社のシェアは約5割、最大手メーカでもシェア8.9%と1割に満たないが、韓国では「上位7社で8割のシェアを占めており、大手メーカーの出荷金額は(市場規模が小さいにもかかわらず)、日本の大手メーカーと遜色ない水準」にあると指摘し、日本は「メーカー数が多く、過剰供給構造による低生産性」状態にあると分析した。
 そのうえで、農薬登録における「国際調和」をはかっていくとし、「欧米では、農薬登録時に、有効成分と不純物の組成を定めて管理」しており「ジェネリック農薬も、その有効成分と不純物の組成が、既登録農薬と同じ場合、毒性試験全体及び残留試験が不要」となっており、「同様の仕組」を導入すれば、現在、1農薬当たり約14億円かかっている試験費用が約1億円に削減されると指摘。当面は「現在登録されている農薬のジェネリック農薬について、今年度中に、有効成分にかかる毒性試験の一部(代謝等)及び残留試験は不要であることを明確化(28年度中実施予定)」するとした。これにより、約14億円かかる試験費用は、約6億円になるとした。
 また、各都道府県が作成している「防除基準」や「防除暦」についても、見直していくとした。


◆農業機械

 農業機械については、韓国では国内出荷額のうち輸入額が約40%(日本は約18%)を占め、輸入機が国内販売台数の4分の1を占めており「海外メーカーとの競争にさらされている」ことが、韓国で「安価で販売されている要因」と分析。日本では「寡占状態」にあるために「競争性が欠如」していると指摘した。


◆配合飼料

 配合飼料については、価格は「概ね20%~0%(同程度)日本の方が高い」とし、その要因として製造メーカー数が65社115工場(韓国は56社95工場)とメーカーが乱立し、工場が各地に点在、さらに多銘柄(約1万6000、韓国は1500)の少量生産(1銘柄年間1456t、韓国は3765t)しているからと分析した。


◆段ボール

 段ボールについては、生産量は日韓ともほぼ同量だが、価格では日本は韓国より10%程度高いと指摘。日本では、産地ごとにさまざまな段ボール規格が設けられ、非常に細分化されているので、オーバースペックの見直し、統一した段ボール箱の利用でコスト削減することの検証が必要だと指摘した。
(写真)開会の挨拶をする小泉農林部会長

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