【TPP】批准阻止 主権の制約許すのか-ケルシー教授2016年11月1日
TPPを批准させない10.31集会(主催:TPP交渉差止・違憲訴訟の会)が同日午後、国会で開かれ、緊急来日したニュージーランドのケルシー教授が講演し、米国やEUでもTPP協定をはじめとしたメガFTAに対して多くの市民が「一握りの企業が利益を得るだけ。もうたくさんだ」と反発を強めている状況が生まれてきていることを強調し、批准阻止へ運動を訴えた。
集会には亀井静香衆議院議員もかけつけあいさつ。
「TPPの批准は日本の終わりの始まり。みなさんは批准させない突破口をみつけようとがんばっている。闘いは捨ててはならない。日本は変わってきている。国民1人1人を政党が支配することはできない。日本を救う活動を1人1人がやらなければならない」と呼びかけた。
ジェーン・ケルシー教授は「TPPとTPPと同じような協定に世界は背を向け始めた」と話した。米国大統領候補は2人ともTPPに反対し、米国議会選挙でも中心的な争点になっているほか、米国・EU間のTTIP交渉が決裂したこと、カナダ・EUのCETA協定も審議が頓挫し、南アフリカ、インド、インドネシアなどの国も2国間投資協定(BITS)から撤退したなどの通商交渉をめぐる世界の状況を報告した。
その理由はどの国もこれらの通商協定が一握りの企業だけが利益を得て一般市民が多くを失うことが分かって「もうたくさんだ」と思い始めたからだという。メリットを強調する経済学的な研究もデータが信頼性を失い、多くの国で雇用が喪失し不平等が拡大しているのが現実だと指摘した。
ISDS条項に対して憲法違反ではないかとの意見が諸外国でも出ているという。
ケルシー教授は、TPP協定を批准するとはどういうことか、についても指摘した。
国会で批准すれば国内手続きが完了したと考えるが「米国の視点で見て満足かどうかが問われる」。ケルシー教授によれば米国の官僚たちはすでに関係国の国内法の手続きに介入をしはじめているという。毎年、対日要求を提出し、日本の食品安全法、健康保険制度、共済などの改革を要求し続けているのがその象徴で、「米国は相手国にその国の法を書き換えることを要求できる。日本の国会が通そうとしている諸法案は日本が要求されていることのすべてではない」として、米国による追加要求が出てくるのは明らかで「主権の制約であり、外国政府が将来の法律に影響を及ぼす」と警鐘を鳴らし、TPPを始めとする巨大資本・企業を利する通商協定から、自分たちの権利を取り戻し、自分たちで経済の仕組みを決めていくための取り組みが大切になっていると訴えた。
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