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2019.02.05 
米の検査・規格 見直し議論を開始-農水省一覧へ

 農林水産省は1月28日に「農産物規格・検査に関する懇談会」の第1回会合を開き、見直しの方向性についての議論をスタートさせた。会合では見直しについては慎重に検討するよう求める意見が相次いだ。

◆法制度廃止は否定

農産物規格・検査に関する懇談会の第1回会合 平成29年に施行された農業競争力支援強化法で農産物の規格等について「農産物流通等の現状及び消費者の需要に即応して、農産物の公正かつ円滑な取引に資するため、国が定めた当該規格の見直しを行う」と規定された。これをふまえて見直しの方向性を検討するため政策統括官主催のもとに懇談会が設置された。
 会合で天羽隆政策統括官は、一部で農産物検査法を廃止する方向で検討されるとの報道があることに触れ「廃止するということで懇談会を開催するわけではない」と否定し、農産物検査技術の進展や流通にもさまざまな動きが出ていることをふまえて、あくまで農産物規格・検査の見直し方向を検討する場だと強調した。初会合では、委員の互選で座長に弁護士で高崎経済大学の高木賢理事長を選任した。
 農産物規格・検査は全国統一的な規格に基づく等級格付けにより、米などの現物を確認することなく、大量・広域に流通させることを可能とする仕組みで、農産物検査法は昭和26年に制定された。 対象品目は米穀、麦、大豆、小豆、いんげんなど。検査数量がもっとも多いのは米で近年は500万t程度が検査されている。受検率は60%~70%程度となっている。
 検査項目は▽種類(農産物の種類、生産年等)、▽銘柄(産地品種銘柄等)、▽品位(等級、質)のほか、量目、荷造り、包装となっており、検査員が視覚、触覚、臭覚、聴覚で検査する。
 平成12年に農産物検査は民営化され、28年からは一定の登録検査機関の登録や指導監督の事務を都道府県に委譲した。登録検査機関は約1700、農産物検査員は約1万8000人で検査場所は約1万4000ある。
 登録検査機関は卸・小売とJAで全体の6割強を占めているが、登録検査機関となる大規模生産法人も増加傾向にある。
 米の産地品種銘柄は平成元年には141だったが、良食味をめざした品種や業務用向けの多収品種などが増え、30年間で6倍の795産地品種銘柄となっている。検査数量のうち約8割が1等を占め3等は2%前後で推移している。

(写真)農産物規格・検査に関する懇談会の第1回会合

 

◆技術の進展 どう評価?

 現在の農産物検査は農産物検査員が目視で品位等の鑑定を行っているが、最近は着色粒など混入割合を測定できる穀粒判別器の開発が進展しており、メーカー間のばらつきも小さくなってきたこともあり、現在は補助的に活用されるようになっている。
 また、着色粒などを除去するための色彩選別機は性能が向上し価格も低下してきた。米の流通も生産者やJAから直接実需者や消費者に流通するルートなど多様化している。
 こうした状況の変化のなかで、全国で多様な取引先と円滑に取引きを行うためには、全国で統一的な基準が必要だという意見がある一方で、野菜などの他の農産物では農産物検査証明がなくても産地・品種・産年を表示できバランスが取れていない、実需者からすべての検査項目を求められていないにも関わらず国の交付金のためだけに手数料を負担して検査を受けざるを得ない、検査方法の改善や手続きの簡素化をなど求める声もある。
 初会合では農業者団体からは全国統一的な基本ルールに基づく公平な検査が産地ブランドの確立と生産者手取りの確保につながってきたと評価し、「未検査米の流通は信頼を低下させる。検査された米が大宗を占めるべき。ただ、技術の進歩によって見直すべきところは見直すべき」などと指摘した。また、登録検査機関として農産物検査を実施している農業法人からは「銘柄の特定は検査員によるしかない」との現場の実態も指摘された。
 そのほか米卸からは機械の精度が問題で着色粒などがわずかでも入ればクレームになるとして、実態を十分にふまえて検討すべきとの意見もあった。
 一方で検査員の検査向上も課題との意見や、米の消費拡大につながる検査内容を検討すべきとの指摘もあった。

 

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