子どもたちの未来守れ-日米協定に母の危機感2019年11月29日
日米貿易協定が審議されている東京・永田町の国会前では市民団体などが、協定は農産物の市場開放を一層進め、日本の食と農、暮らしを壊す条約だと批准反対の声を挙げている。参議院で関係委員会の連合審査会などが開かれた11月28日、「TPPプラスを許さない! 全国共同行動」が開いた日米貿易協定批准に反対する院内集会では、子ども連れで参加した若い母親が「子どもたちの将来が心配……」と涙で声を詰まらせ訴える場面もあった。
市民団体が開いた院内集会
農業団体、市民団体など幅広い超党派のネットワーク「TPPプラスを許さない! 全国共同行動」は、臨時国会開会に合わせて批准反対の院内集会を10月10日に開き、それ以降、国会前の集会などで反対運動を展開してきた。
28日も国会前での座り込みや委員会の傍聴などを行った。
日米貿易協定は協定本文や付属書などで、さらなる農産物市場の開放を米国が求めていることが盛り込まれている一方、政府が強調している自動車関税の撤廃の約束は、付属書で「さらなる交渉」と記述されているだけなど、多くの点が問題にされ国会審議で問われている。
しかし、政府の答弁は「自動車は関税撤廃が前提とされている」と繰り返すのみ。だが、国会に提出されている承認案の一部を成す米国の関税譲許表に自動車・部品に関する記載が何もない。
委員会を傍聴した参加者からは「政府は願望と言い訳で審議に臨んでいる」との批判のほか、「希望的観測で物事を進めようとしている。こんなお気楽な状態でやっているのかと思った」とあきれる声も漏れた。
牛肉のセーフガード措置では、発動されるとただちに発動水準を一層高いものにするよう協議することもサイドレターに盛り込まれていることが明らかになった。
これに対して参加者からは「スピード違反で捕まったら、制限速度を上げろ、というようなもの。セーフガードを事実上否定する協定ではないか」と本質を喝破する指摘もあった。
協定には発効後4か月以内に第2弾の交渉を始めることも盛り込まれている。茂木外相は「自動車・部品を想定しており、農業を含めそれ以外は想定していない」、「互いに合意したものしか交渉しない」と答弁しているが、米国政府は議会に対して食の安全や医療、保険、医薬品なども含めて交渉することを通知している。今後、輸入農産物の増加が見込まれるだけでなく、食や医薬品の規制緩和なども交渉の対象になることも想定される。
子どもを連れて参加した若い母親は「半年前までTPPや日米FTAのことは知らなかった。知ってみると日本は遺伝子組換え食品など世界一の消費国で、知らずに食べさせていた。子どもたちの将来が心配...」と声を詰まらせた。
集会には新潟や栃木などがからも参加者が。粘り強く反対運動を続けていくことや協定の本質、問題点を発信していくことなどを改めて確認した。
日米貿易協定の承認案は12月3日の参議院外交防衛委員会で審議される予定になっている。
重要な記事
最新の記事
-
第21回イタリア外国人記者協会グルメグループ(Gruppo del Gusto)賞授賞式【イタリア通信】2025年7月19日
-
【浜矩子が斬る! 日本経済】「政見放送の中に溢れる排外主義の空恐ろしさ」2025年7月18日
-
【特殊報】クビアカツヤカミキリ 県内で初めて確認 滋賀県2025年7月18日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 滋賀県2025年7月18日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 兵庫県2025年7月18日
-
『令和の米騒動』とその狙い 一般財団法人食料安全保障推進財団専務理事 久保田治己氏2025年7月18日
-
主食用10万ha増 過去5年で最大に 飼料用米は半減 水田作付意向6月末2025年7月18日
-
全農 備蓄米の出荷済数量84% 7月17日現在2025年7月18日
-
令和6年度JA共済優績LA 総合優績・特別・通算の表彰対象者 JA共済連2025年7月18日
-
「農山漁村」インパクト創出ソリューション選定 マッチング希望の自治体を募集 農水省2025年7月18日
-
(444)農業機械の「スマホ化」が引き起こす懸念【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年7月18日
-
【サステナ防除のすすめ2025】水稲害虫の防ぎ方「育苗箱処理と兼ねて」2025年7月18日
-
最新農機と実演を一堂に 農機展「パワフルアグリフェア」開催 JAグループ栃木2025年7月18日
-
倉敷アイビースクエアとコラボ ビアガーデンで県産夏野菜と桃太郎トマトのフェア JA全農おかやま2025年7月18日
-
「田んぼのがっこう」2025年度おむすびレンジャー茨城町会場を開催 いばらきコープとJA全農いばらき2025年7月18日
-
全国和牛能力共進会で内閣総理大臣賞を目指す 大分県推進協議会が総会 JA全農おおいた2025年7月18日
-
新潟市内の小学校と保育園でスイカの食育出前授業 JA新潟かがやきなど2025年7月18日
-
令和7年度「愛情福島」夏秋青果物販売対策会議を開催 JA全農福島2025年7月18日
-
「国産ももフェア」全農直営飲食店舗で18日から開催 JA全農2025年7月18日
-
果樹営農指導担当者情報交換会を開催 三重県園芸振興協会2025年7月18日