水田農業で高収益産地 500創設-政府の生産基盤強化策2019年12月17日
政府は12月10日に「農林水産業・地域の活力創造プラン」を改訂し、新たに輸出拡大策や肉用牛の増頭対策などの「農業生産基盤強化プログラム」を盛り込んだ。水田農業では高収益作物への転換を図ることを重視している。
改訂された「活力創造プラン」では、わが国の農業を持続的に発展させていくためには、輸出の拡大とともに「中山間地域や中小・家族経営も含め、幅広く生産基盤の強化を図り、農業を国際競争や災害にも負けない足腰の強い産業へとしていくことが必要である」と明記した。
その具体策が「農業生産基盤強化プログラム」で11の項目から成るが、すでに畜産対策で決まった増頭支援策など、各分野ごとの対策で決まったものも多い。
輸出拡大策はすでに農林水産省に司令塔を創設することが決まっているが、来年4月に政府の新たな基本方針を定め実行計画の作成と進捗管理を行う。また、食産業の海外展開など生産者の所得につながる海外需要の獲得のための取り組みを促進する。1兆円目標の次の目標も定める。
園芸作物の生産体制強化では、野菜の機械化一貫体系や環境制御技術、果樹の省力樹形などの導入による生産性と品質向上を図る。また、平坦で作業性のいい水田を活用した果樹増産、端境期の野菜生産の拡大も推進する。家族経営が保有する施設を再整備し、新規就農者への継承を促進するほか、堆肥の活用による土づくり、貯蔵・加工等の拠点整備なども推進する。
こうした取り組みによって現在98万tの加工・業務用野菜の出荷量(直接取引分)を2030年までに145万tまで拡大する。
水田農業でも加工・業務用野菜や果樹の輸出などを広げ、2025年度までに高収益作物産地を500創設する目標を掲げている。
スマート農業では2022年度までにドローンによる農薬散布面積を100万haまで拡大する。また、現場実装を加速するためスマート農業技術を安価に提供するシェアリングなどの新サービスを創出することも掲げている。
棚田を含む中山間地域対策では、所得向上に向けた計画策定、水田の畑地化等の基盤整備、生産。販売等の施設整備などを総合的に実施し、収益性の高い農産物の生産・販売を促進する。目標は新たに地域資源を活用した取り組みなどを行う地域を2024年度までに250地区創出するとした。
災害対策の一環として収入保険の普及推進のため、各地域に農業共済組合とJA、集荷業者などで構成する推進体制を構築する。そのほか、食品産業と先端技術を持つベンチャー企業などと農業者・農協が連携する取り組みを促進することも盛り込まれている。
農業生産基盤強化プログラムの主要な目標
【輸出拡大】
○「司令塔組織」を農水省に創設。2020年4月に輸出促進に関する新戦略を策定
【肉用牛・酪農生産】
○和牛生産量=2035年度までに30万t(2018年14.9万t)
【園芸作物の生産強化】
○加工・業務用野菜の出荷量=2030年までに145万t(2018年98万t)
【水田の高収益作物】
○高収益作物産地=2025年度までに500創出
【スマート農業】
○ドローンによる農薬散布=2022年度までに100万ha
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】てんさいの褐斑病が早発 早めの防除開始を 北海道2025年7月2日
-
知れば知るほど怖い小泉ホラー劇場【小松泰信・地方の眼力】2025年7月2日
-
JA貯金残高 106兆7563億円 5月末 農林中金2025年7月2日
-
日本の農業、食料、いのちを守る 「辛抱強い津軽農民」立つ 青森県弘前市2025年7月2日
-
「食と農をつなぐアワード」募集開始 優良な取組を表彰 農水省2025年7月2日
-
JA全農岐阜グループ会社3社 株主総会2025年7月2日
-
「北海道日高産 天然広葉樹 原板販売会」を開催 木育イベントも実施 ひだか南森林組合・リラィアブル・農林中金の連携企画2025年7月2日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」JAおきなわ食菜館「とよさき菜々色畑」へおつかい JAタウン2025年7月2日
-
日産スタジアムやランドマークプラザで「Blooming RING」配布 公式アンバサダー芦田愛菜さんの新ビジュアルも公開 国際園芸博覧会2025年7月2日
-
三菱マヒンドラ農機 ペースト施肥、紙マルチ田植機、耕うん作業機の販売強化2025年7月2日
-
外来DNAをもたないゲノム編集植物 作出を大幅に効率化 農研機構2025年7月2日
-
「2025年度農業生物資源ジーンバンク事業シンポジウム」開催 農研機構2025年7月2日
-
創立100周年記念プレゼントキャンペーン第3弾を実施 井関農機2025年7月2日
-
住友化学園芸が「KINCHO園芸」に社名変更 大日本除虫菊グループへ親会社変更2025年7月2日
-
フランス産牛由来製品等 輸入を一時停止 農水省2025年7月2日
-
【人事異動】ヤンマーホールディングス(7月1日付)2025年7月2日
-
長野県、JA全農長野と連携 信州産食材使用の6商品発売 ファミリーマート2025年7月2日
-
地域共創型取り組み「協生農法プロジェクト」始動 岡山大学2025年7月2日
-
埼玉県産農産物を活用「Made in SAITAMA 優良加工食品大賞2026」募集2025年7月2日
-
黒胡椒×ごま油でおつまみにぴったり「堅ぶつ 黒胡椒」新発売 亀田製菓2025年7月2日