地域農業の機械化支援と革新コア技術の3課題を開始 農研機構2020年1月29日
農研機構は、農業機械技術クラスターの実施課題に3件を新たに追加し、2019年度は15課題とした。
農業機械技術クラスターの活動概要
農研機構農業技術革新工学研究センターでは、研究を進めていくに当たり、行政、異分野を含む民間企業、生産者や指導機関の意見を反映できる仕組みとして「農業機械技術クラスター」(技術クラスター)を2018年4月に設立し、関係機関との連携をこれまで以上に密にして業務を行う体制を整えた。
技術クラスターが扱う研究課題は、▽地域農業機械化支援タイプ(地域固有の農業機械開発に対応するための共同研究)▽革新コア技術実用化タイプ(野菜・果樹など民間における開発を一層加速化するための革新的な実用化技術の共同研究)▽次世代革新基盤技術タイプ(次世代の革新的な機械・装置の萌芽となる基本・基盤技術の共同研究)の3つに分類される。
今回、技術クラスターが実施する課題を検討した結果、研究課題として新たに3件を選定し開始した。
19年度中に新たに開始する3件の研究課題の概要は次のとおり。
▽遠隔操作式高能率法面草刈機の開発
(研究期間:2019~2021年度、地域農業機械化支援タイプ(土地利用型))
[目的]
法面草刈作業は急傾斜であるため、作業姿勢が不安定で作業中の転倒・転落事故が多い。特に中山間地域は平地に比べて法面等耕作地周辺の面積割合が高く、それらの管理作業が生産者の大きな負担となっている。そこで、既存の国産機と比較して高能率に作業が行え、雑草が繁茂した状態でも作業が行える草刈機を開発する。操作はリモコンで行うため、急傾斜法面に作業者が立ち入る必要がなくなり、農作業事故の削減が期待できる。
▽カウシグナルのスコア化・判定システムの開発(研究期間:2019~2021 年度、革新コア技術実用化タイプ(畜産))
[目的]
高泌乳牛の長命連産を実現するには分娩前後の適切な飼養管理が鍵であり、特に初妊牛・初産牛については細かい観察による適切な管理が求められる。しかし、飼養頭数の増加に伴い、乳牛を観察する余裕が失われ、周産期疾病や発情の徴候を見逃すことによる経営的損失が課題となっている。乳牛の健康状態を判断する指標として牛体各部の状態変化(カウシグナル)を目視によりスコア化する方法があるが、豊富な知識と経験を必要とし、専門家同士でもスコアに差が生じうる。そこで、スマートグラスを利用してスコアを自動判定するシステムを開発する。
▽豚舎洗浄ロボットの実用化研究(研究期間:2019~2021年度、革新コア技術実用化タイプ(畜産))
[目的]
豚舎洗浄の徹底は伝染性疾病を予防する上で不可欠であるが、厳しい環境下で長時間にわたり作業することから人手の確保が深刻となっている。2016~2018年にかけて農水省の地域戦略プロジェクトで開発した豚舎洗浄ロボットは、海外製と比べてコンパクトであり、日本の中小規模の肥育豚舎での洗浄作業にも適用でき、労働時間を削減できる見通しを得た。一方で、豚舎内の複数豚房を連続して自動洗浄する機能の付与、耐環境性の確認などが必要であったことから、小型で低価格な豚舎洗浄ロボットの実用化研究を行う。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日