タマネギ灰色腐敗病の薬剤耐性を確認 北海道病害虫防除所2020年10月13日
北海道病害虫防除所は10月7日、たまねぎの灰色腐敗病菌Botrytis acladaにおけるチオファネートメチル剤およびベノミル剤耐性菌の発生と防除対策を発表した。
タマネギ灰色腐敗病の病原菌は、従来Botrytis allii1種と扱われていたが、近年Botrytis alliiとB. acladaの2種に再分類された。道内の菌を再同定する中で、主要な薬剤の効果の低下が認められたため、道内各地における貯蔵中のたまねぎ腐敗球を採取し、灰色腐敗病菌の分離と同定およびMBC系薬剤・チオファネートメチル剤とベノミル剤への耐性について検定を実施。その結果、B.acladaで両剤に対する耐性菌の出現を確認した。
発生の確認経過では、平成24年~30年にかけて空知、上川、オホーツク地方で収穫したたまねぎの貯蔵球から腐敗球を採取し、分離された灰色腐敗病菌(合計96菌株)を同定したところ、66菌株(69%)はBotrytis allii 、29菌株(31%)はB. acladaだった。両菌種は同一ほ場内で混在していた。また、B. acladaは調査した8市町村中6市町村で分離されていることから、全道的にB. acladaが分布していることが示唆された。
両菌種におけるチオファネートメチル剤に対する感受性を薬剤添加培地上で検定した結果、B. acladaで耐性菌を確認。さらに耐性菌を接種したほ場試験を実施したところ、チオファネートメチル剤とベノミル剤の防除効果が著しく劣った。
耐性菌の遺伝子解析を行った結果、MBC系薬剤に耐性を示す遺伝子配列を確認。耐性菌はB. acladaが分離された6市町村中5市町村で確認した。 防除対策として、タマネギ灰色腐敗病菌B.acladaにおけるチファネートメチル剤およびベノミル剤耐性菌は、道内全域の分布が考えられることから、本病に対する防除薬剤はMBC系薬剤の効果が期待できないとし、本病以外のたまねぎ病害に対する効果は従来どおりとしている。
防除に関しては、防除ガイドを参考にMBC系以外の薬剤を使用する。MBC系以外の薬剤防除については、日本植物病理学会殺菌剤耐性菌研究会の殺菌剤使用ガイドラインを遵守する。
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