「クロテンコナカイガラムシ」が京都で初発生 京都府2020年10月26日
京都府病害虫防除所は山城地域のトマトに府内では未発生の「クロテンコナカイガラムシ」を確認し、10月21日に発生予察特殊報第2号を発表した。
クロテンコナカイガラムシ 雌成虫(体長3~4.2mm)
今年8月、山城地域の施設内で育苗中のトマトの葉に萎ちょう症状が認められ、茎葉にコナカイガラムシ科の一種と推定される成虫と幼虫の寄生が確認された。同虫を農林水産省神戸植物防疫所に同定依頼したところ、「クロテンコナカイガラムシ(Phenacoccus solenopsis Tinsley)」府内で初めて確認した。その後、9月に別の施設のトマト苗でも同虫の寄生が確認された。
国内ではこれまでに、沖縄県(スイゼンジナ、ヒマワリ)、佐賀県(ナス)、福岡県(ミニトマト、ナス)、愛知県(食用トレニア、食用金魚草)、山口県(トマト)、高知県(ナス)、鹿児島県(ミニトマト)、大阪府(ナス)、奈良県(ホウレンソウ)、長崎県(ナス)で発生を確認している。 海外では、南北アメリカ大陸の他、パキスタン、中国、タイ等のアジア各国、ヨーロッパ、オーストラリア、西アフリカ等世界各地で発生が確認され、分布を広げている。 雌成虫は翅を欠き、体形は楕円形。体長は通常3~4.2mm。背面に白色のロウ質物を分泌し、全体としては白く見えるがロウ質物が薄い部分があり、成虫及び2、3齢幼虫では特徴的な2対の黒斑があるように見え、1齢幼虫には見られない。
生態的特長として、雌成虫はワタ状のロウ質物の卵のう内に平均350個程度産卵する。繁殖様式は交尾後産卵する有性生殖と単為生殖の両方が知られている。1齢幼虫は数日間卵のう内で過ごした後歩いて分散し、雌は2齢、3齢幼虫を経て成虫になる。
雌成虫と幼虫雄は2齢幼虫の終わりに繭を作り、前蛹、蛹を経て羽化し、1対の翅を持つ成虫となる。同虫の単為生殖個体群における1世代の発育期間は平均70日程度とされる。 食性は広食性で、53科154種の植物への寄生が確認されている。海外ではワタ、オクラ、トマト、ナス等。国内ではその他にキク科、ホウレンソウ等への寄生が確認されている。
被害の特長として、寄主植物の葉、葉柄、茎、花芽及び果実に寄生する。吸汁により寄主植物を衰弱させる他、分泌した甘露(糖分を多く含む排泄物)が植物体表面のすす病菌を繁殖させる。
防除対策としては、今年10月12日現在、トマト等の野菜類で同種に対する登録農薬はない。発生を確認した場合は寄生部位を除去して、適正に処分する。雑草は同虫の発生源となるため、ほ場及び周辺の除草対策の徹底を促している。
その他、病害虫情報はこちら
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(173)食料・農業・農村基本計画(15)目標等の設定の考え方2025年12月20日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(90)クロロニトリル【防除学習帖】第329回2025年12月20日 -
農薬の正しい使い方(63)除草剤の生理的選択性【今さら聞けない営農情報】第329回2025年12月20日 -
スーパーの米価 前週から10円上がり5kg4331円に 2週ぶりに価格上昇2025年12月19日 -
ナガエツルノゲイトウ防除、ドローンで鳥獣害対策 2025年農業技術10大ニュース(トピック1~5) 農水省2025年12月19日 -
ぶどう新品種「サニーハート」、海水から肥料原料を確保 2025年農業技術10大ニュース(トピック6~10) 農水省2025年12月19日 -
埼玉県幸手市とJA埼玉みずほ、JA全農が地域農業振興で協定締結2025年12月19日 -
国内最大級の園芸施設を設置 埼玉・幸手市で新規就農研修 全農2025年12月19日 -
【浜矩子が斬る! 日本経済】「経済関係に戦略性を持ち込むことなかれ」2025年12月19日 -
【農協時論】感性豊かに―知識プラス知恵 農的生活復権を 大日本報徳社社長 鷲山恭彦氏2025年12月19日 -
(466)なぜ多くのローカル・フードはローカリティ止まりなのか?【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月19日 -
福岡県産ブランドキウイフルーツ「博多甘熟娘」フェア 19日から開催 JA全農2025年12月19日 -
α世代の半数以上が農業を体験 農業は「社会の役に立つ」 JA共済連が調査結果公表2025年12月19日 -
「農・食の魅力を伝える」JAインスタコンテスト グランプリは、JAなごやとJA帯広大正2025年12月19日 -
農薬出荷数量は0.6%増、農薬出荷金額は5.5%増 2025年農薬年度出荷実績 クロップライフジャパン2025年12月19日 -
国内最多収品種「北陸193号」の収量性をさらに高めた次世代イネ系統を開発 国際農研2025年12月19日 -
酪農副産物の新たな可能性を探る「蒜山地域酪農拠点再構築コンソーシアム」設立2025年12月19日 -
有機農業セミナー第3弾「いま注目の菌根菌とその仲間たち」開催 農文協2025年12月19日 -
東京の多彩な食の魅力発信 東京都公式サイト「GO TOKYO Gourmet」公開2025年12月19日 -
岩手県滝沢市に「マルチハイブリッドシステム」世界で初めて導入 やまびこ2025年12月19日


































