水田フル活用 米の輸出拡大を強化-JAグループ2021年1月12日
JA全中は1月7日の理事会で2021(令和3)年産水田農業対策のJAグループ取り組み方針を決めた。補正予算で措置された水田リノベーション事業を積極的に活用し米の輸出拡大や、加工用米、麦・大豆などに取り組み、国内での主食用米の需給安定をめざす。

目安さらに削減を
主食用米の需給は大幅な緩和と米価下落が心配される状況に変わりはない。2020(令和2)年産米は、そもそも目安の段階で需給を安定させるために必要な削減率となっていなかった。
国が示した適正生産量はは前年産(元年産)より9万t~18万t削減が求められていたが、各県の目安を積み上げたとりまとめでは5.1万t~6.4万t減にとどまり、削減率は未達だった。そこにコロナ禍で業務用米を中心に需要が大幅減となったことや、西日本ではウンカ被害があったものの主産地の作況も良く全国では平年並みとなったことから需給が大幅に緩和している。
こうした状況のなか、JAグループは飼料用米への一層の転換を現場に呼びかけるとともに、政府・与党に政策提案を行い、20万tの長期計画的販売に取り組むことにした。ただ、2021(令和3)年産は主食用米36万t減(6.7万ha、▲5%)が求められている。
そのため3次補正予算で10aあたり4万円が交付される水田リノベーション事業が措置されたことからこれを積極的に活用して主食用米から非主食用米への作付転換を図る。そのためにも米をめぐる現状を改めて認識しておく必要がある。
厳しい販売環境
新型コロナウイルス感染症の再拡大で緊急事態宣言が一都3県に再発令され、さらに関西地域でも発令することを政府が決めるなど、感染防止のため飲食をともなう懇親会や大人数、長時間の飲食を避けることが求められていることから、外食需要は引き続き厳しいことが想定される。
昨年11月末現在の2年産米の販売実績は23万7000tで前年比で86%。3万8000tの減となった。卸が手持ちの元年産の消化を優先していることも要因だ。JAや連合会では元年産、2年産の契約を卸と締結しているにも関わらず実際に販売は進んでいない産地が多い。
コロナ禍で減退した業務用需要が回復していないこともあり、国の見通しでは令和2/3年の主食用米需要用を711万t~716万tとしているが、さらに厳しくなる可能性もある。
令和2年産米の相対取引価格(11月)は全国平均で60kg1万3898円と前年比▲630円となっている。産地銘柄によっては1000円以上下落しているものもある。
こうしたなか昨年12月時点の各県の生産目安の合算では▲2.5%の未達成となっており、米価は需給で決まることから「このままでは大変なことになる。主食用米の目安の再設定やさらなる深堀りを県行政に働きかける必要がある」(JA全中)と強調している。全中の調査では民間在庫量の増加量が前年比で1万t以上の県が10県以上もある。
こうした状況をふまえて水田を水田として最大限活用し、生産者の所得確保を図っていくため、新たな予算の最大限の活用、用途別のガイドライン、JAによる交付金の代理受領・プール計算の仕組みなどをふまえて「徹底して主食用米から非主食用米の作付転換をはかる」としている。
とくに輸出米については、国が輸出戦略のなかで「コメ・パックご飯・米粉、米粉製品」を重点品目としたこともふまえて、実需者などと連携して「輸出用米も非主食用米の選択肢」として積極的に取り組むことを打ち出した。また、従来から重視してきた米価ではなく水田からの手取りを意識した「米×コメ複合」もさらに推進する。1俵(60kg)あたりの価格で考えるのではなく、水田活用の交付金や転作拡大への追加支援策などをふまえて飼料用米の作付けへ転換するなど、10aあたりの所得に着目して農業経営を考えることが必要になっていることをJAグループは強調する。
また、生産の目安を達成したとしても、4年6月末の民間在庫量は195万t~200万tとなると見込まれており、米価下落のさらに米価が下落する懸念もある。そのためナラシ対策や収入保険といったセーフティネットへの加入も積極的に推進することにしている。
一方、コロナ禍で外食需要は厳しいものの、国の販売促進事業も活用してコンビニと連携した商品開発や販売促進、パックご飯の製造体制強化、販売促進、学校給食への食材提供の拡大などの消費拡大にも取り組む。
あわせてJAグループ自らの取り組みとして「1日3食、ご飯を食べる日を意識的に増やす」ことを目的として「3飯(さんめし)運動」(仮称)を実践するともに、内外に向けた消費拡大策を検討、実施することにしている。
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