フランス 大豆の作付け倍増へ 輸入依存脱却2021年1月19日
食料自給率が120%を超える欧州の農業大国フランスだが、大豆やナタネなどは約半分を輸入しており、昨年12月、輸入依存を脱却し、大豆の作付面積を2030年までに倍増させるという国家戦略を発表した。コロナ禍が自給率を高める国家戦略を後押ししたという指摘も出ている。
フランス政府は昨年9月、総額1000億ユーロ(約12兆6000億円)の経済復興策を発表し、持続可能な経済への移行を促す環境政策などで新型コロナウイルス感染症の拡大で弱体化した経済を立て直す政策を発表した。
その予算の一環として1億ユーロ(約125億円)の予算を充てる「植物性タンパク質生産拡大国家戦略」を12月1日に発表した。ジェトロ(日本貿易振興機構)のビジネス短信が伝えている。
それによると100万haほどある大豆などタンパク質を多く含む植物の作付面積を今後3年間で40%増加させ、2030年までに2倍の200万haに拡大することをめざす。これは農地面積の8%になるという。
目的はとくに大豆の輸入依存の低減、畜産の飼料自給の改善、インゲン豆、ソラ豆などの国産乾燥豆の供給促進。
予算は2021年から2年間で割り当て、5000万ユーロは生産・加工、貯蔵、流通の支援にあててマメ科植物の生産から流通までの体制を構築する。また、畜産農家の牧草地拡大のための飼料用マメ科植物の種子購入支援に2000万ユーロをあてる。乾燥豆の消費促進活動費として300万ユーロを支出するという。
フランスはカロリーベースの食料自給率は127%、豆類自給率は78%(2013年農水省試算)だが、大豆やナタネなどは半分を輸入している。食用の乾燥豆などは消費が増えているにも関わらず3分の2が輸入依存。大豆の輸入先はブラジルでマクロン大統領は「フランスはブラジルの森林破壊に一部責任がある」との認識を示しているという。
EUは「ファームtoフォーク(農場から食卓まで)戦略」を発表しているが、持続可能な生産・消費を意識した戦略策定は国際的な動きにもなっている。
同国の戦略は政府と農業関係者などが1年前から検討してきたが、世界的なコロナ禍で同国も食料供給システムの脆弱さを認識し、ジェトロのビジネス短信記事はコロナ禍が「同戦略の策定を後押しした」と分析、ドノルマンディー農業・食料大臣の「フランスは欧州一の農業国であるにも関わらず、輸入に依存し過ぎている。優先事項は食料供給の主権を回復すること。それは植物性タンパク質の生産拡大なしには成しえない」との発言を紹介している。
わが国の豆類の品目自給率は7%。うち大豆は6%。基本計画に掲げた国産大豆の生産努力目標は平成30年の21万tを令和12年度に34万tとする。
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