白未熟粒発生率 今世紀半ば20%予測 深刻な温暖化影響-農研機構2021年7月26日
農研機構は地球温暖化の水稲への影響を最新のモデルで予測した結果を公表した。それによると温暖化の影響で収量が低下するだけでなく品質も低下、白未熟粒の発生率は今世紀半ばで20%に達すると予測した。ただ、高温耐性品種の導入や適切な水管理などで深刻な被害は軽減されるという。

農研機構は2010年から気象データから水稲の発育過程と収量を予測するイネ生育収量予測モデルを構築して、気候変動の影響を検討してきた。それによると高温になることによって収量は減少するものの、二酸化炭素(CO2)が高くなる環境では光合成が促進されることから増収効果も見込まれるとして、西日本の一部では将来は減収となるとの予測を発表していた。
一方、農研機構はCO2濃度を増加させた「開放系大気CO2増加実験」を岩手県雫石市と茨城県つくばみらい市で実施した。その結果、CO2濃度の上昇により光合成が活発になる増収効果は栽培地の気温が高いほど小さくなること、高CO2環境では白未熟粒の発生が大幅に増加することが分かった。
収量の地図
そこで今回、従来の予測モデルに高温と高CO2という2つの複合影響を組み込んだ最新の予測モデルを構築して米の収量と外観品質への影響を再評価した。
その結果、高CO2による増収効果は高温になるつれて鈍化し30℃でゼロになると予測された。そのため高温と高CO2の相互作用を考慮した最新の予測モデルでは水稲の収量が大きく減少すると推定された。
従来の予測モデルではCO2の増収効果を見込んだため今世紀半ばごろまで水稲の収量は増え、その後、高温による減収となると見込み、今世紀末では100%に戻ると予測した。
しかし、最新のモデルでは水稲の収量減がより早く深刻化するという結果で、今世紀末では80%と20%減少すると予測した。
地域別にみると、従来、西日本では温暖化が進行しても収量は確保されるとの予測だったが、最新モデルでは減収する地域も出現すると予測した。
高温・高CO2環境下では白未熟粒の発生も増える。今世紀半ばで発生率20%、今世紀末では約40%と予測された。地域では関東や九州での増加がより顕著となっている。
白未熟粒発生率の地図
農研機構では今回の最新モデルによる予測は高温耐性があまりない2003年ごろの品種をベースにしたもので、現在はすでに高温耐性品種が導入されているなど、予測通りの被害が現実に起きるものではないと強調する。
農研機構が開発した高温耐性品種「にこまる」は九州で広く栽培され。中四国から関東まで広がっている。
そのほか田植え期をずらして生育期が夏の酷暑と重なるのを避けたり、適切な水、窒素施肥管理を行うといった取り組みも進められているなど、被害軽減対策はとられている。ただ、今回の最新モデルでの予測は温暖化の水稲への影響が従来考えていたより、深刻なことを示したもので、農研機構は「効果の高い高温耐性品種の開発や、低労力で効果的な栽培技術の開発・普及が期待される」としている。
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