配合飼料価格 1トン8万7731円 史上最高値 生産負担重く2022年4月1日
配合飼料の工場渡価格は4月から1t8万7731円と空前の価格となると推計されている。飼料原料穀物価格の国際相場の高騰に加えて円安の影響も大きい。また、輸入乾牧草の輸入価格も高騰している。こうしたなか国産飼料生産の拡大も課題となる。
トウモロコシの国際価格は、2020(令和2)年8月までは1ブッシェル3ドル台前半で推移していたが、9月以降は、中国の需要増と南米産の作況悪化で上昇し、2021年4月末には8年ぶりに同7ドルを突破した。
その後、5ドル台まで下がったが、ウクライナ情勢を受けて今年3月は7ドル台半ばまで上昇している。
大豆粕も同様に中国の需要の高まりで一昨年9月から1t400ドル台へ高騰し、その後、下がったものの現在は400ドル台後半で推移している。
中国の飼料需要の増大で国際市況が上昇傾向をみせるなかで、今回のウクライナ情勢が追い討ちをかけた状況だ。
飼料用トウモロコシの通関価格は1t3万8000円で2008年高騰時の同4万1000円に次ぐ水準となっている。
2008年のトウモロコシ高騰時でも配合飼料価格は6万7000円台(全畜種の加重平均価格)だった。それが今回は昨年半ばから8万円台となり、4月からは前期にくらべて4350円引き上げとなり、8万7731円と空前の価格となった。これには円安の影響が大きい。2008年の高騰時は1ドル100円水準だったが、今回は116円となっている。
配合飼料価格の上昇が生産者に与える影響を緩和するため、価格を補填する配合飼料価格安定制度がある。生産者と飼料メーカーが拠出した通常補填基金と、輸入原料価格が直前1年平均の115%を超える高騰となった場合、国とメーカーで積立てた基金から補填される異常補填基金がある。
最近の飼料価格高騰に対して、令和3年度補正予算として国は異常補填基金へ230億円の積み増しを措置した。また配合飼料メーカーによる同額の積立てに対して、ALIC予算から150億円を措置しており、合わせて約292億円の基金が残っている。4期連続で通常補填、3期連続で異常補填が行われており、今期も補填が行われる見込みだ。
わが国の飼料自給率は25%。このうち粗飼料自給率は76%で基本計画では2030年までに100%を目標にしている。一方、トウモロコシなど濃厚飼料の自給率はわずか12%。基本計画目標で2030年に15%に引き上げるに過ぎない。
国産の飼料作物生産が課題で高栄養な粗飼料の青刈りトウモロコシ(デントコーン)は濃厚飼料の低減にもつながることから、酪農経営では重要とされ、令和3年産では約9.6万ha作付けされている、。このうち畑が8.7万haを占める。
濃厚飼料として使う子実トウモロコシの生産も行われ、水田活用交付金の対象ともなったことから取り組みが進むことも期待される。しかし、水田での作付けを進めるのか、そもそも畑作物のトウモロコシは畑地で取り組みを増やすのかなど、不明確な部分も多い。3月31日の自民党の食料安全保障検討委員会でも畜産地帯の畑地でトウモロコシの作付けを推進すべきとの意見がある一方、水田の汎用化を進め水田での転作作物として基盤整備を進めるべきとの指摘もある。また、飼料作物の生産や供給については、農産局ではなく畜産局の担当とすべきとの意見もあった。水田を維持するための飼料用米の作付けの意義も含め論点は多い。
最新の記事
-
シンとんぼ(47)食の安全とは(5)科学的に毒性とは2023年6月10日
-
トマト病害虫雑草防除のネタ帳 施用法③【防除学習帖】第203回2023年6月10日
-
有機農業とは84 有機質資材を活用した施肥(22)【今さら聞けない営農情報】第203回2023年6月10日
-
【やさしい経済の話】日銀新総裁と経済のゆくえ(上) 浅野純次・元東洋経済新報社社長2023年6月10日
-
【やさしい経済の話】日銀新総裁と経済のゆくえ(下) 浅野純次・元東洋経済新報社社長2023年6月10日
-
「ホタルの夕べ」に魅了【消費者の目・花ちゃん】2023年6月10日
-
主食用の作付け意向 前年より「減少傾向」17県 1月末から5県増2023年6月9日
-
食品ロス量は6年ぶり増で523万トン 国民1人1日茶碗一杯のご飯に相当 コロナ禍で需要予測のブレ影響か2023年6月9日
-
「適正価格の仕組み創設への法制化明記 大変評価」 JA全中・中家会長が「新たな展開方向」めぐり2023年6月9日
-
【注意報】オクラにフタテンミドリヒメヨコバイ 石垣島で確認 沖縄県2023年6月9日
-
【人事異動】農水省(6月12日付)2023年6月9日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】肉牛・養豚を救うはずの「マルキン」がなんと機能していなかった2023年6月9日
-
(335)「カーボン・ニュートラル」・弁護士・バイオエタノール【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2023年6月9日
-
『いのちを生きる』 小林芳正さんの写真集が完成 有機農業を愛した軌跡がよみがえる2023年6月9日
-
安定した給付財源を確保 JA全国共済会2023年6月9日
-
【JA人事】JAとなみ野(富山県)新会長に佐野氏、新組合長に土田氏(5月27日)2023年6月9日
-
【JA人事】JA水郷つくば(茨城県)池田正組合長を再任(4月22日)2023年6月9日
-
【JA人事】JA茨城みなみ(茨城県)齊藤繁組合長を再任(4月22日)2023年6月9日
-
1次産業の輸出額5兆円へ「輸出・国際局」が専門人材を募集 農水省2023年6月9日
-
「島根県産アムスメロンフェア」直営飲食5店舗で9日から開催 JA全農2023年6月9日