地域農業の維持へ「65歳以上の果たす役割大きい」 変化する農業構造を特集 農業白書2022年5月27日
政府は5月27日の閣議で2021(令和3)年度の「食料・農業・農村白書」を決定した。今回の白書は2020年農林業センサス結果をふまえ、わが国の農業構造の中長期的な変化を分析し特集としている。この中では、地域農業に果たす役割の担い手として「65歳以上の割合が依然として大きい」と指摘している。
特集のタイトルは「変化(シフト)する我が国の農業構造」。長引くコロナ禍に加えロシアのウクライナ侵略など背景に食料安全保障の強化への期待が一層高まっているとして、わが国農業が持続可能な構造となる「道標」となるよう分析をしたと冒頭で解説した。
基幹的農業従事者は2015年の175.7万人から2020年には136.3万人へと22%減少した。
このうち65歳以上は70%、49歳以下の割合は11%となっている。
今回の白書では2015年と2020年の年齢層別の変化を比較した。それによると20~49歳層は親からの経営継承や新規参入で2.2万人増加した。また、60~69歳層も2.6万人増加していた。白書では退職後に就農する「いわゆる定年帰農による増加」と考えられるとしている。
その一方、70歳以上の層はこの5年間で大幅に減少し、それが基幹的農業従事者全体の大きな減少になった。ただ、70歳までの農業従事者は必ずしも減っていないという分析結果となった。
また、経営耕地面積に占める割合のうち、準主業経営体の割合がこの5年間で12%から7%に減る一方、副業的経営体は25%から27%へと増えた。副業的経営体とは、主業農家、準主業農家以外の農家で「1年間に60日以上自営農業に従事している65歳未満の世帯員がいない農家」のこと。
すなわち5年間で65歳以上となった層が副業的経営体に移行したとみられる。
副業的経営体の割合は、近畿、中国、四国で50%を超える府県もあり、白書は「多くの地域で65歳以上の農業従事者が地域の農業を維持する上で大きな役割を果たしている」と分析した。
白書では若年層の農業従事者の確保、定着と併せ、「農業従事者一人一人がこれまで比べてより大きな役割を担っていくことが必要になっている」とするとともに、65歳以上の割合が依然として大きいことから地域農業にとって果たす役割は「依然として大きい」と指摘している。
品目の変化の分析では米の割合が減少し、畜産や野菜の割合が増加傾向にあることや、畜産や野菜で若年層の割合が高くなっていることも示された。そのほか1経営体当たりの生産農業所得は、「米以外」の産出額が大きい県のほうが大きいことから、「需要の変化に応じた生産の取り組みが今後とも重要」と指摘している。
そのほか、トピックスでは新型コロナウイルス感染症による影響、みどり戦略の本格始動、輸出1兆円突破などを取り上げている。
また、「消費者と食・農とのつながりの深化」(第1章第7節)では、生産資材価格などの高騰による農産物、食品の生産コストの上昇などについて「消費者の理解を得つつ、生産コスト等の適切な価格転嫁のための環境整備を進めていくことも必要」と記述した。
重要な記事
最新の記事
-
集落営農「くまけん」逝く 農協協会副会長・熊谷健一氏を偲んで2025年10月21日
-
【サステナ防除のすすめ】水稲除草剤 草種、生態を見極め防除を(1)2025年10月21日
-
【サステナ防除のすすめ】水稲除草剤 草種、生態を見極め防除を(2)2025年10月21日
-
【JA組織基盤強化フォーラム】②よろず相談で頼れるJAを発信 JA秋田やまもと2025年10月21日
-
【中酪ナチュラルチーズコンテスト】出場過去最多、最優秀に滋賀・山田牧場2025年10月21日
-
11月29日はノウフクの日「もっともっとノウフク2025」全国で農福連携イベント開催 農水省2025年10月21日
-
東京と大阪で"多収米"セミナー&交流会「業務用米推進プロジェクト」 グレイン・エス・ピー2025年10月21日
-
福井のお米「いちほまれ」など約80商品 11月末まで送料負担なし JAタウン2025年10月21日
-
上品な香りの福島県産シャインマスカット 100箱限定で販売 JAタウン2025年10月21日
-
「土のあるところ」都市農業シンポジウム 府中市で開催 JAマインズ2025年10月21日
-
コンセプト農機、コンセプトフォイリングセイルボートが「Red Dot Design Award 2025」を受賞 ヤンマー2025年10月21日
-
地域と未来をさつまいもでつなぐフェス「imo mamo FES 2025」福岡で開催2025年10月21日
-
茨城大学、HYKと産学連携 干し芋残渣で「米粉のまどれーぬ」共同開発 クラダシ2025年10月21日
-
まるまるひがしにほん 福井県「まるごと!敦賀若狭フェア」開催 さいたま市2025年10月21日
-
北〜東日本は暖冬傾向 西日本は平年並の寒さ「秋冬の小売需要傾向」ウェザーニューズ2025年10月21日
-
平田牧場の豚肉に丹精国鶏を加え肉感アップ 冷凍餃子がリニューアル 生活クラブ2025年10月21日
-
誰もが「つながり」持てる地域へ 新潟市でひきこもり理解広める全国キャラバン実施2025年10月21日
-
第三回「未来エッセイ2101」受賞ノミネート作品13件を選出 アグリフューチャージャパン2025年10月21日
-
千葉県香取市で農業ボランティア「第2回 香取市援農Day」開催2025年10月21日
-
食と農業を担う起業家を発掘「FOOD&AGRI FOODTECH Youth Summit 2025」初開催2025年10月21日