ウクライナ 春の作付275万ha減 同国政府発表2022年6月14日
農畜産業振興機構は6月10日、ウクライナ政府が発表した春作物の生育状況などをまとめた。
5月27日のウクライナ政府の発表によると、ウクライナの支配地域での春作物(穀物と油糧種子)の作付面積は、昨年度から275万7800ha減少し、1415万9000haとなったとしている。
同国は国土の7割を農用地が占め、4100万haとなっている(2019年)。
一方、米国農務省が1月に公表した報告書では昨年度のウクライナの小麦生産量は前年度比30%増の3300万t、大麦は同27%増の1020万t、トウモロコシは同39%増の4200万tと見込まれており、同国の昨年の生産は順調だったようだ。
ロシアの侵略で穀物貯蔵庫の破壊や港湾施設の封鎖などが報じられているが、相当な量の穀物が国内に留まっている可能性があると農畜産業振興機構の調査情報部はみている。
ウクライナ政府の発表によると、同国は輸出ルートの開拓に力を入れており、リトアニア、ラトビア、ポーランドの港湾施設の利用に向けて何度も視察が行われているという。
ウクライナ政府は、ライ麦、オーツ麦、ソバの輸出は禁じているが、小麦、大麦、トウモロコシ、大豆、ひまわりや、生体牛、冷凍牛肉、鶏肉などの多くの農畜産物についての輸出は、政府が一定程度管理に関わって実施されている模様だという。
ロシアのウクライナ侵略が続くなか、農水省が5月末に発行した「食料安全保障月報」は中国の穀物輸入への影響を分析している。
中国はウクライナ産のトウモロコシを年間800万t以上輸入しており、今回のロシアの侵略の影響を直接受けたとみられている。他国産で代替するか、他品目で代替するか、国内備蓄を切り崩すなどの対応が考えられるという。
米国農務省の見通しでは中国のトウモロコシ在庫は2022/23年末は前年より減少するとしており、そのため米国産トウモロコシの輸入量を増加させる可能性があると農水省は分析している。
ただし、米国では肥料価格の高騰で施肥コストの少ない大豆作付けへとシフトしたと見られており、5月の米国農務省見通しでは生産量は4%減となるとされおり、期末在庫率も低下するとの見方だ。
こうしたなかで中国が米国産トウモロコシをウクライナ産の代替として買い付ければ、さらに在庫率の低下を招くだけでなく、さらに価格高騰で飼料が上昇し、日本の畜産農家への打撃ともなる。
ただ、農水省の食料安全保障月報では、トウモロコシなど配合飼料原料が過去最高値に近い水準のため、飼料の配合設計をトウモロコシや小麦から、一部安価なインド産砕米などに切り替えているとみられると指摘し、今後、中国は飼料に使う米の輸入を増やす可能性もあるとしている。
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