ウクライナの穀物輸出促進へ 日本 FAОへ資金援助2022年7月6日
国連食糧農業機関(FAО)は7月5日、日本政府から約23億円の資金援助を受け、ウクライナ政府と連携し、同国からの穀物輸出促進と生産力の維持を図る取り組みを進めると発表した。
戦争の影響で貯蔵施設が不足するウクライナの農業者に対して、7月、8月の収穫期に向けて貯蔵庫を確保するとともに、ウクライナ産の主要農産物を国際市場へ輸出できるよう支援する。
ウクライナは年間4500万tを超える穀物を輸出している。2021年には食料危機に陥っている世界55か国のうち36か国が小麦の輸入の10%以上をウクライナとロシアに依存している。
ウクライナ農業政策・食料省によると、平時は毎月600万tの穀物を輸出していたが、戦争が始まり今年3月は32万t、4月97万t、5月120万tにとどまっている。
黒海の港湾封鎖で昨年収穫した輸出用穀物と油糧種子が1800万t滞留しているが、鉄道や河川を利用する代替ルートだけで運び出すことは不可能だという。
今年は最大で6000万tの収穫が見込まれているが、昨年収穫の穀物が貯蔵施設の30%を占めている。
ウクライナFAО事務所のヴォティエール代表は、日本からの新たな支援で小規模農家にはポリエチレン製の簡易穀物貯蔵庫や穀物用ローダー、アンローダーを提供し、中規模生産者や生産組合には組み立て式貯蔵庫を提供し「貯蔵能力不足の解消に向け支援する」という。
また支援の一環として穀物輸出の代替輸送ルートの実用化や、検疫所の検査能力向上へ技術協力も実施する。
FAОの日比絵里子駐日連絡事務局長は「日本の支援はウクライナだけでなく食料輸入に依存する多くの開発途上国のニーズも考慮したグローバルな取り組み。ウクライナの農家への支援と世界の食料不安の解消に向けて尽力する」と話している。
FAОがウクライナで実施している緊急支援計画には、日本のほかEU、豪州、ベルギー、米国国際開発庁などが支援。日本は2度目の拠出。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日