来年の春肥も対象に 肥料高騰への新たな支援金 農水省2022年7月15日
農林水産省は7月15日に開かれた政府の「物価・賃金・生活総合対策本部」で肥料価格の高騰対策として創設する新たな支援金の仕組みについて、今年6月からの秋肥に加え、来年の春肥も対象とすることを明らかにした。岸田首相は物価高騰対策などの予算を7月中に予備費で措置する考えを示したことから、農水省は仕組みの具体化を急ぐ。
対策本部に出席した金子原二郎農相が明らかにした。
農水省によると肥料原料の国際価格の動向をふまえ、すぐに価格が落ち着く状況にないとして来年の春肥も対象することを決めた。これで今年6月から1年間の肥料コスト上昇を対象にした支援金となる。
支援金は、土壌診断に基づく施肥量の適正化や、たい肥など国内資源の活用などで化学肥料を2割低減させようという取り組みを行う農業者が対象。支援の中身は、肥料コスト上昇分の7割を補てんするというもの。
要件の具体化や支払い時期について農水省は精査中としている。また、2008年に実施した支援では、申請手続きが煩雑で農業者への支払いが遅れたなどの指摘があることから「手続きについても、どこに問題があったのか検討していきたい」(政策課)としている。
岸田首相は対策に必要な予算を7月中に予備費で措置するとしたことから、農水省は7月中の仕組みの具体化を「めざしていきたい」という。
一方、配合飼料価格の高騰対策については、今年度の第1四半期(4~6月)と第2四半期(7~9月)について異常補てんの発動基準を特例的に引き下げた。これを延長するかどうかについて現時点では精査中とした。とうもろこしのシカゴ相場は4月の8.18ドル/ブッシェルが7月13日は7.40ドルと9.5%下落している。
また、輸入小麦の政府売渡価格の抑制策については、シカゴ相場が3月の過去最高値(14.25ドル/ブッシェル)が7月13日では7.98ドルと44%下落している状況もあり、今後の買い入れ価格を注視するとしている。農水省は「小麦の輸入価格が突出して急騰している状態であれば必要な抑制措置を講じ、パンや麺類などの価格高騰を抑制する」との方針を示している。
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