危機乗り越える万全の対策を 自民党の畜産・酪農対策委員会でJAグループが畜酪政策提案2022年12月1日
加工原料乳補給金単価など2023(令和5)年度の畜産物価格の今月中旬の決定に向けてJAグループは「畜産・酪農対策に関するJAグループの政策提案」を決め、12月1日、自民党の畜産・酪農対策委員会で要請した。
1日に開かれた自民党の畜産・酪農対策委員会
配合飼料・輸入粗飼料など生産資材価格の高騰と高止まりは収束を見通すことができず、生乳需要の低迷も重なって、生産現場は全国的に営農継続が危ぶまれるほどの甚大な影響を受けている。
JAグループはこうした認識のもと、飼料価格高騰対策や生産基盤対策の継続、強化などについて政策提案をまとめた。
1日の自民党畜産・酪農対策委員会ではJA全中の酪農委員長の小野寺俊幸JA北海道中央会会長が要請した。
小野寺委員長は生乳需給は昨年以上に厳しく、JAグループは生産抑制に取り組んでいることを強調するとともに「すべての生産者が同じ方向を向くことが重要だが、生産者は不公平感を持っている」と訴え、北海道から都府県へ指定団体以外から5万t以上の生乳が流通し「都府県で安売り合戦」になっている実態を指摘した。そのうえで「改正畜安法の課題をしっかり考えるべき」と強調した。
政策提案でも「現行制度の需給調整上の課題をふまえ必要な対応を行うこと」としている。
また、北海道は来年度は15万tの生産抑制を行うことなど、減産となることや生産コスト上昇をふまえ、酪農経営の維持が可能となる加工原料乳生産者補給金の単価とするよう求めた。
また、集送乳調整金は輸送環境が急激に厳しくなっていることから、条件不利地を含む地域からあまねく集乳を確実に行える単価水準に設定することを求めている。
畜産分野では肉用子牛価格の動向をふまえた経営の影響を緩和するため、優良肉用子牛生産推進緊急対策を継続することや、肉用子牛生産者補給金制度の保証基準価格は「生産コストの動向等をふまえ肉用子牛の再生産が確実に確保できる水準に設定すること」を求めている。
飼料価格高騰対策では、配合飼料価格安定制度について民間財源の枯渇も見据えた運用改善と、生産者負担が増加する場合は十分な影響緩和対策を措置するよう求めている。
また、流通事業者や消費者の理解醸成をすすめて、「再生産に配慮された適切な価格形成の実現に向けた仕組みを構築すること」を求めている。
生産基盤対策では中小・家族経営を含む生産基盤の維持に向けた対策の措置、省力化機械装置の導入やヘルパー対策など支援も継続と拡充、空き牛舎情報の集約や新規就農者とのマッチングなど計画的な経営継承をすすめるための仕組みの整備なども求めている。
飼料の増産・流通対策では、輸入依存度の高い飼料用トウモロコシなどの増産に向け、エコ畜事業や水田活用の直接支払交付金等による支援の十分な予算の確保、耕種部門と一体となった作付け推進を行うことや、草地改良やコントラクターの機能強化、耕畜連携の強化に向けた堆肥の有効利用、広域流通の促進も必要だとしている。
そのほか、牛肉セーフガードの取り扱いについて、豪州等関係国との早急な協議も求めている。
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