化学農薬使用量 9%減 みどり戦略21年実績値2023年4月5日
農林水産省は3月30日のみどりの食料システム本部会合で化学農薬の使用量(リスク換算)の低減目標に向けた実績値などを示した。
化学農薬使用量のリスク換算値の基準値は2019農薬年度の2万3330。2030年目標はこれを10%低減、50年には50%低減することを目標としている。
3月末に公表された2021年の実績値は2万1230で基準年に比べて約9%減となった。
農水省によると減少の要因はリスクの低い農薬への切り替えなどの効果もあるが、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる国際的な農薬原料の物流停滞で、農薬の製造と出荷が減ったという特殊事情が考えられるという。
そのため実質的にリスクの低い農薬への切り換えの程度は今後の実績で評価する必要があるとし、農水省は農薬だけに頼らない総合防除の推進や有機農業の面的拡大を進めていく。
一方、化学肥料の使用量の低減は基準値は90万t(2016年前後の3か年平均)。2030年に20%減、50年に30%減とすることを目標としている。
2021年実績値は85万tで基準値の約6%減となった。減少の要因は土壌診断などによる施肥の効率化が進展したとしている。5年間で6%の減少という実績について農水省は「それなり進捗している」と評価、引き続き化学肥料の使用量低減に資する施肥技術への実証支援などを進めていくとしている。
昨年7月のみどりの食料システム法施行以降、それぞれの地域で主体的に取り組むため、農水省は都道府県の基本計画策定を促進してきたが3月末までに全47都道府県で基本計画が策定された。
基本計画に基づき、みどり戦略に取り組もうとする農業者が策定した計画の認定を受ければ、必要な資材の購入などで優遇税制が受けられる。昨年10月に全国に先駆けて基本計画を策定した滋賀県では有機農業者など3人が認定を受けているほか、山形県でも1人が認定された。
農水省は今年度から計画認定が本格的にスタートするとして、税制特例や計画認定などに対する補助事業の優先採択枠のメリット措置を説明していくとしている。
都道府県の基本計画では地域ぐるみで環境負荷低減の取り組みを促進するモデル地区を特定区域として設定することが可能だが、全国12県23市町で特定区域が設定された。
有機農業の団地化や、木質バイオマス発電を利用した施設園芸など、地域資源の活用による温室効果ガス排出削減、スマート農機を使った化学農薬使用低減などを地域で進める計画が打ち出されている。こうした特定区域内での取り組みには、みどり戦略を推進する交付金が優先的に採択される。
また、環境負荷低減に役立つリモコン草刈機や可変施肥田植機などの事業者を認定する基盤確立事業実施計画では、33事業者の計画が認定されている。
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