「海洋放出にブレーキを」「冷淡な世論も心配」 原発処理水めぐり福島円卓会議が会見2023年8月23日
福島第一原発の処理水の海洋放出が8月24日にも始まる見通しの中、福島大学の研究者などでつくる福島円卓会議は8月23日、福島県庁で記者会見した。この中でメンバーは「放出に対してブレーキをかけるとともに地下水問題の追求などの議論を続け、県民・国民が処理水をはじめ廃炉や復興などの政策決定に関われるよう求めていきたい」と述べた。また、今年夏以降、原発政策に意見を出すことに批判が寄せられるなど、国民の冷淡な視線を感じるとも指摘し、「こうした世論やムードを強く心配している。県民や国民が政策要求を出すことは当然だとの思いで議論を続けたい」と強調した。
福島円卓会議のメンバーによる会見(福島県庁で)
福島円卓会議は、福島大学の元学長らが呼びかけ人となって、福島の復興や廃炉に向けて幅広く県民などの意見を反映させようと発足。これまでに3回の会合を開いて原発処理水の放出などをめぐる緊急アピールをまとめ、改めて福島県庁で記者会見を開いた。
緊急アピールには、①今夏の海洋放出は凍結すべき②地元の漁業復興のこれ以上の阻害は許容できない③優先して取り組むべきなのは地下水・汚染水の根本対策④海洋放出は具体的な運用計画がまだなく、必要な規制への対応の姿勢もかけている⑤今後、県民・国民・専門家が参加して議論する場が必要である、の5項目が盛り込まれ、政府や東京電力に送付された。
記者会見の中で事務局長の林薫平福島大学准教授は、「放出が決定されてもアピールの必要性がなくなったとは考えていない。むしろアピールを契機として県民や国民がいろいろな意見を出して政策に反映させる本来あるべき決定のありかたに変える契機としたい」と強調した。
さらに林事務局長は「今年度下半期が重要な時期になると考えている。海洋放出が始まると色々な声が出ると思うので、どのような監視体制や漁業の復興を妨げないあり方が考えられるのか、放出にブレーキをかけるとともに議論を続けたい」と述べた。
会見に同席したメンバーからは政府が一方的に海洋放出を決定したことへの批判が相次ぎ、「これほど早く放出が始まると思わなかった。非常にショックと憤りがあり、県民が愚弄されている気がする」(千葉悦子元福島大学副学長)、「放出がないと復興につながらないという言い方に違和感を感じる。これが本当に復興につながっているかが最大の疑問だ」(塩谷弘康福島大学教授)などとの声が上がった。
最後に林事務局長は、この夏以降、原発政策に意見を出すことへの批判をネット上で多く受けるようになったことに触れて、「国民全体が冷淡な視線を送るようになってきているのではないか」と、国内の世論やムードへの懸念を示した。「この状況で今後数十年にわたる廃炉が進んでいいのか。円卓会議は原発のあり方や復興政策のありかたについて福島県民や国民はいろいろな意見をだしていいんだと、政策要求を出すことは当然だとの思いで引き続き開いていきたい」と強調した。
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