適正価格 仕組みづくり牛乳、豆腐・納豆から検討 農水省の検討会2023年10月12日
農林水産省は10月11日、適正な価格形成に関する協議会の第2回会合を開き、「飲用牛乳」と「豆腐・納豆」を対象にワーキング・グループを設置して適正取引を推進するための仕組みの具体化を検討することで一致した。
11日に開かれた適正な価格形成に関する協議会
前回の会合では、再生産可能な価格による食料の安定供給をめざすべきとの意見と同時に、農産物・食品は多様な流通経路があるため、品目別に適正な価格形成の仕組みづくりを議論していくべきではないかと指摘も出ていた。
これを受けてこの日の会合では米、野菜、食肉など品目ごとの価格形成の現状を農水省が報告。合わせて今後の議論の進め方として流通経路が簡素でコストの把握も比較的可能な「飲用牛乳」と「豆腐・納豆」を対象として、それぞれのワーキング・グループを設置して検討を進めることを提起し合意された。
飲用牛乳は生乳の95.8%がJAなどを通じて指定生乳生産者団体に出荷され、乳業メーカーに販売される。
生乳価格は、都道府県の指定生乳生産者団体と乳業メーカーとの間で生産コストや需給を踏まえた乳価交渉で原則年1回、価格設定される。
飲用牛乳の生産量のうち大手乳業3社が約2割を占めるが、大手乳業との交渉結果が生乳買取価格の全国的な相場を形成している。ただ、製品である牛乳は日持ちがしない、いわゆる日配品であり特売品の対象になりやすい傾向がある。
一方、生乳の生産費のうち、飼料費が4割程度を占める。飼育頭数が増加するにつれ生産費は減少するが、農水省の統計によると200頭以上の規模になると生産費は上昇する。
酪農家に対する経営安定対策は脱脂粉乳、バターなどに仕向けられる加工原料乳に対する補給金など施策があるが、飲用向け生乳については支援策はない。そのためコスト上昇などを反映した「適切な価格形成が重要になる」(農水省)。
豆腐と納豆は製造業者→卸売業者→量販店など小売業者が流通の基本であり経路はシンプル。それぞれの段階で価格設定がされており、価格形成過程もシンプルとなっている。ただ、牛乳と同じように日持ちがしない日配品のため、特売の対象となりやすい。また、豆腐には物価の優等生のイメージがあり、値上げ交渉は難航するほか、大手が値上げしないと単独での値上げは困難だというのが業界の声だ。
こうしたなか主原料となる外国産大豆の仕入れ価格が2015年に比べて22年は175%高騰し、豆腐一丁の販売価格に占める大豆原料価格の割合は7%から12%へと上昇し、一方で販売価格に転嫁できないため、帝国データバンクの調査によると街の豆腐店の43%が赤字だという(21年度)。こうした状況を踏まえ適正な価格形成について議論していく。
そのほか米、野菜、食肉についてはWGの設置は見送られたが、これらの品目について引き続き▽産地、品目ごとにコストデータを把握・収集できるのか、▽民間団体によるコスト指標の作成ができるのか、▽価格交渉や契約でどのような課題があるのかなどを協議会で検討していくとされた。
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