食品産業の海外展開と訪日旅行者の食消費を新たな柱に 2025年1月15日
政府は1月10日の輸出関係閣僚会議で農林水産物の輸出拡大とともに、食品産業の海外展開や訪日外国人旅行者の日本食消費拡大を新たな政策の柱と位置づけた。
農林水産物・食品の輸出額は2023年まで11年連続で増加し、2023年は1兆4541億円と過去最高額を更新した。2024年も11月までの実績は1兆3014億円と対前年同期比1.9%増となっている。
今後は海外の現地系スーパーやレストランなど新市場の開拓や、外国人の関心が高いアニメやキャラクターと日本の農産物のコラボ戦略などによる需要の創出とともに、輸出向けの米産地の育成など供給力の向上を図ることで輸出拡大を図る。
同時に現地で使う原材料の輸出や日本食文化の浸透にもつながる食品産業の海外展開にも力を入れる。
食料品製造業の対外直接投資収益額は、2018年には5000億円台だったが、23年には1兆1000億円となっている。
農水省は食品産業の海外展開は、海外子会社の利益による企業グループ全体の価値向上や、日本本社に送金される利子・配当などが食品産業の発展に寄与すると位置づける。
洋菓子店のシャトレーゼはシンガポール、香港、インドネシア、UAEなど7か国で185店舗を展開している。日本で製造したケーキの土台と、日本産のイチゴ、メロン、桃などを輸出し海外店舗でケーキにして販売している。日本で重要な製造工程を行うことが高品質の維持につながり、海外店舗への技術流出を防止している。また、国内の加工乳製品が過剰となったときには、海外店舗で活用するなど国産乳製品の消費拡大にも貢献している。
定食店の大戸屋ごはん処はタイ、台湾を中心に110店舗以上を展開している。日本の米や魚、調味料を使用するとともに、店内調理にもこだわっているという。
また、訪日外国人旅行者(インバウンド)による食関連消費は輸出と同様に日本の食に対する海外からの需要と位置づけ施策の柱とする。
インバウンドの増加は日本食・食文化の魅力を海外に発信していく好機であり輸出拡大との好循環をめざす。
2024年は11月時点で3338万人が日本を訪れ、旅行消費額は5.9兆円と過去最高を記録した。インバウンドによる食関連消費は2023年の訪日外国人旅行消費額約5.3兆円のうち、約1.6兆円を占めている。
農水省は観光庁とも連携し、地域一体型ガストロノミーツーリズム推進事業や、地域の食や景観などの資源を活かした農泊などによる農山漁村へのインバウンドの誘客、消費促進などを図っていく。
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