バイオスティミュラント資材の情報交換会開く 関係団体が報告 農水省2026年3月6日
農水省は3月4日、2025年に公開した「バイオスティミュラントの表示に係るガイドライン」(GL)に関する情報交換会を開いた。同省がGLの説明とみどりの食料システム戦略との関係を報告。業界団体の日本バイオスティミュラント協議会(JBSA)、Eco-LAB(エコラボ)、JA全農耕種資材部がそれぞれの取り組みを紹介し、質疑も行った。
BS資材は異常気象や収量増への対応として関心が高まっているが、資材の効果や表示が不明確といった課題があった。農水省は2025年2月に製造者や使用者など関係者との意見交換会を開き、5月にGLを公表。現在はGLの周知や理解促進を進めており「情報交換会では、改めてGLを紹介し、質問への対応例なども紹介する」(農水省)ために開かれた。
農水省「バイオスティミュラントの表示等に係るガイドラインの概要」
GL公表後の取り組みを調査
農水省消費・安全局農産安全管理課からGLの目的について「事業者による自主的な取り組みを促し、使用者による目的に合った製品の選択や適切な使用に資する」と説明。効果・使用に係る表示について、表示内容と注意事項、安全性の確認などを紹介し、「GLは公表時点におけるBSの流通・使用の実態を踏まえて定めたもので、今後、適宜見直す可能性」に触れた。当面はGLの周知を進め、取り組みの進捗状況を調査し、「その結果を踏まえて対応を検討する」とした。
みどり戦略で農業者・事業者を支援
同省大臣官房環境バイオマス政策課みどり戦略グループは「みどりの食料システム戦略」とBS資材との関係や支援策を紹介した。
農林漁業者・団体に対しては、みどりの食料システム法に基づく環境負荷低減事業活動への支援を行う。土壌・水質汚染や生物多様性低下、温室効果ガス排出などの低減を図る事業や「農水大臣が個別に定める活動」でも、BS資材が対象になり得る。認定は都道府県が行い、各種補助金、施設・設備導入に対する投資促進税制(特別償却)、農業改良資金融通法の特例(認定手続きのワンストップ化、償還期間の10年から12年への延長)といった支援が行われる。
一方、企業など事業者による基盤確立事業も支援対象となっており、2月末時点で102の事業者が認定され、このうち化学肥料・化学農薬の低減に資する農業機械91機種がみどり税制の対象となっている。認定は6類型で、特に化学肥料・化学農薬低減に役立つ機械・資材などが拡大している。
類型のうち、研究開発・実証(5件)ではAGRI SMILE(アグリスマイル)の食品残渣(ざんさ)型BS資材など、資材・機械の生産・販売(86件)では有機ペレットたい肥などが認定されていることを紹介。補助金や課税特例など環境付加低減事業活動同様の支援策のほか、中小企業者向け金融支援(日本政策金融公庫による低利資金)も紹介し、「研究・開発や量産化段階の取り組みも該当する可能性が高い」と申請を呼び掛けた。
事業者は生産者の安心に責任持つ
JBSA自主基準の作成
JBSAは2018年に設立され、2026年3月現在、生産資材メーカーなど正会員32社、賛助会員131社、個人会員43社に拡大している。BS市場の拡大・発展を目指し、2025年9月に自主基準を公開した。農水省GLを踏まえ、安全性と品質、効果・効能を示すことで、「生産者が安心して使用できる」よう、「事業者が製品に責任を持つ」ことを重視した。
自主基準では、同会が作成したBSの主たる効果・効能が説明できる根拠(試験結果または査読付き論文)、効果検証の留意すべき事項を提示、安全性では重金属量の把握と製品安全シート(SDS)の発行を促している。自主基準に基づく分類や表記も具体的なリストを作成し、業界(会員企業)に使用を促している。
同会のサイトでは自主基準やQ&Aも掲載するなど周知活動も行っている。4月1日には、会場参加とオンライン配信による公開講演会「バイオスティミュラントを知る~バイオスティミュラントの国際的潮流と日本の最前線~」を東京大学農学部弥生講堂で開く。
大規模試験で再現性を確認
エコラボは2023年に設立した、産地(JA)中心の協議会。アグリスマイルが協議会代表、三つのコンソーシアム(食物残渣BS開発、BS栽培検証、炭素クレジット)の代表は各JAが担っており、農水省GLに準拠した自主規格を公開している。
BS資材は「原料が同じでも加工方法で効果が異なる」ため、自主規格は、成分ではなく「再現性のある効果」とそれを証明する「定量的な根拠データを取得する試験方法」を定義している。「産地は効果の再現性を求めており、自主規格は日本では最も厳しいと言われるが、欧米では標準」としている。
BS資材は効果を示す濃度・使用量・時期・回数が異なるため、特に至適濃度の特定が必要と指摘。効果の証明には実験室とほ場での試験により、性能や用法を見極める。こうした条件により、32都道府県で106JAが参加し、318地区で1546ha69品目で行った2025年産の大規模試験では、ほ場での再現性が80%と高いことを示した。
ベトナムでも海外品種の水稲で日本の栽培体系により、収量の40%増加といった効果の再現性を証明したとしている。普及活動も進めており、2025年度は研究者による農水省GLの解説記事公開、全国193地域での現地勉強会などを実施している。
独自基準で重点品目設定
JA全農耕種資材部は、農水省GLを満たすと判断したBS資材の取り扱いを検討し、独自基準を満たし、資材メーカーと合意できたものを「重点品目資材」として、同会主導による現地実証試験や委託試験などを通じて普及を促進する方針だ。
独自基準は、①科学的に効果が説明できる②様々な条件での公的機関(または同会)による試験結果がある③現地実証事例が複数ある、の3点。現在、JA全農が取り扱っているBS資材は、同会『グリーンレポート』3月号に掲載している。
重点品目としては、「エンビタ」(北興化学工業)、「クロスバリュー」(日本農薬)、「アビオスリーF」(シンジェンタジャパン)、「なつつよし」(クミアイ化学工業)の4品目。ほかに、「スキーポン」(アクプランタ)、「炎天マスター」(OATアグリオ)、「ユートリシャN」(コルテバ・ジャパン、片倉コープアグリ)、「ソイルサプリエキス」(片倉コープアグリ)も取り扱っている。
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