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農政:農業新時代! クローズアップ 日本農業経営大学校から羽ばたく若い力

第1回 法人経営に新たな活力-雇用就農で地域も元気に2017年1月20日

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 日本農業の未来にとって不可欠なのは、言うまでもなく次代の担い手である。後継者の確保が各地で課題となっているが、同時に農業を職業にしたいと考える若者たちは確実に増えている。そんな若者たちに農業生産技術だけでなく、マーケティング、商品企画、経営計画など経営者としての能力を身に付け、地域のリーダーとしても活躍する人材を本格的に育成しているのが日本農業経営大学校である。このシリーズでは、同校で学ぶそんな農業経営者を志す若者たちをレポートする。

◆非農家出身 農業を希望

山貫伸一郎さん 山貫伸一郎さん。33歳。日本農業経営大学校での2年間の学びを経て2015年4月にイオン農場を運営するイオンアグリ創造(株)に就職した。勤務先は北海道恵庭農場。同農場は研究農場の位置づけで、スイートコーン、トウモロコシ、ブロッコリー、バレイショなどを栽培している。
 「バレイショは雨続きで収穫できない場所も出るなど、なかなかうまくいかず、やはり土壌特性に合わせて作物を選ぶ必要性があるんだなと実感しました」
 札幌生まれで非農家出身。食品の商品企画の仕事に興味を持ち東京農業大学に進学した。
 しかし、学ぶうちに農産物づくりそのものに関心が向かい、卒業後、北海道に戻って今度は酪農学園大学に進学、将来は自分で農業経営をしようと考え、卒業後、道内の農業生産法人に就職する。そこで野菜栽培と加工などに携わるのだが、自分で農業経営をするには、どんな知識や経験が必要なのか、模索もしていた。
 そんな頃、日本農業経営大学校が開校することを知る。
 「東京で学ぶということは、特定の地域にしばられずに広く農業を学ぶことができると思いました。実際、講師陣も多彩で農業分野だけでなく、流通、食品産業はもちろん、映画監督など異分野のクリエーターの話も聞けるなど勉強になりました」。
 こうして山貫さんは同校の一期生となった。
 同校では学費に国の青年就農給付金制度を活用、将来、確実に就農する準備期間として給付される資金(準備型)を学費にあてることができる。山貫さんはこれを利用、「助かりました。あとは年間10万円の負担と多少の生活費ですから自力で入学することができました」。

◆大事なのはコミュニケーション力

 同校での1年次には農場での現地実習があり、実習先は自分で探す。山貫さんが選んだのは北海道洞爺湖の佐々木ファーム。多品目の野菜を自然栽培している。手作業が多く労力はかかるが、日曜は全員が休日。月2回は経営者と従業員で食事をしながら、将来のビジョンを語りあう。販売先はオーガニック野菜を販売する店やレストラン、直接買いに来る消費者もいた。
 「農場で農業フェスティバルを開くなど、自分たちの考えを伝えたいという経営者や働く人の思いが感じられました。野菜だけではなく人に魅力を感じて人々が買い求めている、農業経営といっても最終的には人間性が問われるんだな、と思いました」。
 同校の2年次の現地実習は流通や加工などの現場での実習となる。山貫さんが選んだのは札幌市のこじんまりとしてオーガニック野菜の八百屋。店員がお客さんと対話しながら販売する。売る側の気持ちを知ることも大切だと選んだ研修先だったが、ここでも驚くような経験をした。オーガニック野菜はどうしても値段が高いが、その店の経営者の思いは「若い人たちに食べてもらいたい」だった。そのため比較的安価な値段設定をしているのだが、実は仕入れをしている農場に店のスタッフが出向いて自分たちで収穫し、それを店頭まで運搬するというスタイルだった。それがリーズナブルな価格設定ができる理由だった。
 「これも農場と信頼関係がしっかりできているからだと思いました。農業は自分一人の力で自由にできる仕事、というイメージを持っていましたがそうではなかった。農業は人と人とのつながりでできるものであって、新規就農するには人間的なコミュニケーション力の高さが大事だということが大学校でもっとも学んだことかもしれません」。

◆熱い思いを後押し-イオン農場

イオンアグリ創造(株)の福永庸明代表取締役社長 卒業を控え山貫さんが描いた針路は、「北海道で新規就農して将来は観光農園も」だったが、独立する前に同校で勉強したことをもとにさらに現場で経験をつめないかと考え、選んだのがイオン農場だった。
 イオンアグリ創造(株)は、2009年に茨城県牛久市で耕作放棄地対策のために特定法人貸付事業を活用して、イオングループとして農業参入した企業。従業員が現場で農作業等に携わっているのが特徴で、スタート時にはグループ内から農場で働く希望を持つ従業員を公募した。
 福永庸明代表取締役社長は「応募してきた社員は店頭での販売担当もいれば、本社の企画部門の人間もいるなどさまざま。農業の経験はありませんでしたが、農業には熱い思いを持っています。"農業の発展とお客さまの価値を創造する"が経営理念です」と話す。
 現在、直営のイオン農場は全国に21。現在、正社員は140名。パートタイマーを含め全国で500人が農場で働いている。品目は米、果樹と多品目の野菜を生産し、イオン店舗などグループ内に販売している。
 「最初は失敗だらけ。病気は発生するし、収穫時期ははずす。天候の不確実性に左右されながらも経験を積んできました」。失敗は今の糧になっている、とも福永社長は話す。各地の農場が抱えるさまざまな課題を、ICTを使って共有してスキルアップにつなげているからだという。
 企業として教育研修にも力を入れている。職員をマネジメント担当と栽培プロフェッショナルに分けて1年次、2年次と段階ごとに研修も用意。全国の農場が転勤先となる。
 「その社員の成長のために転勤させます。それがその地域の農場の成長につながる。逆にいえばイオン農場に就職すると日本の多様な農業を経験できることにもあるわけです」。

◆地域のリーダーになれ

 地域との関係は大事にし、農場長をはじめ社員はその地域に住み、祭りや草刈りなど地域の行事に参加することを大切にしている。
 2014年度から新規採用することにしたが、40名の新規採用に2000名もの応募があった。翌年も同程度の応募があり、2016年度も1500名を超えた。
 「これだけ農業を仕事にしたいと考えている若者がいます。農業が若者の就職先の選択肢になっていかなければなりません。それをわれわれ大人が考えていく必要があります」。
 福永社長は日本農業経営大学校で講師も務める。山貫さんがイオン農場を就職先に選んだのは、講義で福永社長の考えに触れたからだが、何よりも門を叩く気になったのが、イオン農場は山貫さんのように将来の独立をめざす人を支援するからだ。「副農場長になって農場長に、そして独立ということがあっていい。雇用で農業者を増やすことも大事ですが、独立する意向があるからといって採用しないということはありません。むしろ志をしっかり持った人を採用していこうということです」。
 入社2年めを迎えた山貫さんは「考えてみれば会社組織に所属したことも初めて。人間としても成長したと思います」。 福永社長は日本農業を発展させるにはマネジメント力などを備えた人材育成が最大の鍵だという。「それも自分の経営だけでなく、あの人のところに行けば大丈夫だと思われるような、地域リーダーとして育つことが大事だと思います。大きな志を持つ人材育成を日本農業経営大学校に期待したいです」と話している。
(写真)山貫伸一郎さん、イオンアグリ創造(株)の福永庸明代表取締役社長

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