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農政:極端気象・猛暑・豪雨とどう向き合うか

【極端気象・猛暑・豪雨とどう向き合うか】(1)観測史上一番の猛暑 秋まで続く? 三重大学大学院教授・立花義裕氏2025年8月21日

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今年も日本列島は猛暑に襲われ、過去最高気温を次々と更新している。今年の激しい気温上昇の主因は、地球温暖化を起因とする6月の「トリプル高気圧」の影響で日本周辺に急速に熱が蓄えられたことだ。秋にかけ、さらなる猛暑による干ばつと豪雨災害のリスクが高まっている。これら猛暑の背景は二酸化炭素に代表される温室効果ガスの増加に伴う地球温暖化である。地球温暖化は全世界が「公平」に温度が上がる現象と思う人も多いだろう。それは違う。ここ数年続く猛暑は、日本が世界で一番といっても過言ではない。そして今年もダントツで一番異常なのだ。では、温暖化はなぜ日本を狙い撃つのか? それら原因を数回にわたって解説する。(随時掲載)
(三重大学大学院生物資源学研究科地球環境学講座教授 立花義裕氏)

三重大学大学院生物資源学研究科地球環境学講座教授 立花義裕氏三重大学大学院生物資源学研究科地球環境学講座教授 立花義裕氏

今夏がどれほど異常な暑さに襲われているか、気象庁の公式サイトを見れば一目瞭然だ。7月30日には兵庫県丹波市で41.2度を観測し、国内の歴代最高気温を更新。さらに8月5日にも群馬県伊勢崎市で41.8度に達し、わずか1週間で記録を塗り替えた。最高気温の歴代全国ランキングによると、ワースト1位から4位タイまでの5地点は全て今年に観測されたものだ。また、今年は高温で有名な常連地点以外でも高温が目立った。涼しいはずの北海道でも40度に迫る気温を記録した。二酸化炭素などの温室効果ガスの削減がなされないなら、40度を越える酷暑が、日本のどこで起こっておかしくない時代となってしまう。二酸化炭素削減、待ったなしの危機なのだ。

多くの人は、特定の日の最高気温についつい目がいってしまう。しかし、農業や植物にとって重要なのは、長い時間の平均的な気温だ。ある日のある時間帯だけが、特別の条件がそろい、たまたま40度を超えたとしても、それ以外の日が平年並であれば、農作物などの植物にとっては大きな問題とはならない。

残念ながら、今年の猛暑は、特定の日だけが異常高温だったわけではない。7月の一カ月の平均気温は全国的に高かった。月の平均気温は平年より2.89度高く、明治の統計開始以来、最も高温になった。6月の一カ月平均気温も平年より2.34度高く、これも観測史上最高だった。つまり、2カ月連続で史上最高だったのだ。

猛暑は干ばつを加速

極度の猛暑は土壌の極度の乾燥をもたらす。地面温度が高ければ高いほど、地面の水分は蒸発しやすい。暑い日ほど洗濯物が乾きやすい原理と同じだ。これが高温と乾燥の負のスパイラルをもたらす。一旦、地面温度が極度の高温となったとしよう。すると、土壌に含まれる水分がドンドンと蒸発する。湿った土壌から水分が蒸発すると、気化熱を奪うので、地面温度の上昇が抑えられる。これは打ち水が涼しい原理と同じだ。だから土壌が湿っていれば、猛暑でも土壌の温度はあまり上がらない。ところが、猛暑で蒸発が進むと、地面は乾燥化が進む。乾燥が進むと、土壌の水分量には限りがあるので、蒸発する水分量が減る。減ると気化熱も減るから、土壌温度の抑制効果が薄れる。だから、一旦乾燥してしまうと、土壌の温度の上昇も乾燥化も激しく加速する。気温上昇も加速する、負のスパイラルに陥るのだ。これが、猛暑をきっかけとする干ばつの正体だ。これに強風が加われば、干ばつはさらに加速する。なぜなら、強風は水分蒸発を促進するからだ。風が強い日の洗濯物がすぐ乾く原理と同じだ。

【図】2025年7月の1カ月平均水温の平年差

【図】2025年7月の1カ月平均水温の平年差

高温の海がヒーターのように

では、今年の夏はなぜこれほど暑いのか? それをひもとくために、過去を少し振り返るとしよう。昨年も観測史上一番暑かった。一昨年も史上最高だった。今年がそれら2年を上回る異常高温の理由を知るためには、昨年や一昨年には存在しなかった「何か」の影響がなければ、今年の猛暑の理由を説明したことにはならない。猛暑でよく耳にする太平洋高気圧やチベット高気圧、あるいはフェーン現象といった典型的な猛暑をもたらす現象で説明しようとする気象キャスターさんたちが多いが、それだけでは、今年がダントツに暑い理由には説明不足なのだ。昨年も一昨年も、太平洋高気圧やチベット高気圧は強く、そして、フェーン現象が発生していたからだ。

違いは何か? それはこれらの天候状態に加え、海水面の温度が異常に高くなっていることだ。日本周辺の海水温は7月に平均25度を超え、猛暑続きのここ数年よりもさらに1度以上高くなった。今年の海面水温は、過去最高を記録。しかもブッチギリで高いのだ。海に囲まれた日本列島は、まるで食パンがトースターの中の熱いヒーターで、両面をこんがりと焼かれているような状態になっている。煮えたぎった釜の中心に日本列島があったようなものだ。国連事務総長が発した「地球沸騰化」の具現ともいえる。

ではなぜ、日本周辺の海面水温がこれほど高温だったのか。猛暑をもたらす高気圧はどうだったのか? 豪雨はどうなる? そして私たちはどうすればよいのか? それらを次回以降にひもとこう。

【略歴】
1961年北海道生まれ。三重大学大学院生物資源学研究科地球環境学講座気象・気候ダイナミクス研究室教授。札幌南高等学校卒業。北海道大学大学院理学研究科博士後期過程終了。博士(理学)。小学生のときに、雪の少ない地域や豪雪地域への引っ越しを経験し、気象に興味を持つ。「羽鳥真一モーニングショー」を始め、ニュース番組にも多数出演し、異常気象や気候危機の情報を精力的に発信。北海道大学低温科学研究所、東海大学、ワシントン大学、海洋研究開発機構等を経て、現職。専門は気象学、異常気象、気象力学。2023年三重大学賞(研究分野)、2024年東海テレビ文化賞。日本気象学会理事、日本雪氷学会理事。近著に『異常事象の未来予測』(ポプラ社)などがある。

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