【注意報】チュウゴクアミガサハゴロモ 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2025年10月10日
埼玉県病害虫防除所は、植木類、チャ、果樹類、宿根アスター等にチュウゴクアミガサハゴロモが県内全域で多発のおそれがあるとして、10月9日に令和7年度病害虫発生予察注意報第8号を発表した。
埼玉県病害虫防除所によると、病害虫防除所が県内に設置している水稲用予察灯と、農業技術研究センター内(熊谷市)に設置しているLED 予察灯(Rynan 社製害虫モニタリングシステム,光源:UV+青色・緑色LED)における誘殺数が大きく増加している。
川越市および川島町の水稲予察灯における9月30日時点での合計誘殺数は、昨年の3頭(川越市0、川島町3)に対して本年は73頭(川越市30、川島町43)。また、LED 予察灯における誘殺数の合計は昨年の6倍以上に達している(図1、2)。
図1:川島町に設置した水稲用予察灯(光源:60W 白熱電球)における昨年誘殺数の今年と昨年との比較
図2:熊谷市に設置したLED 予察灯における誘殺数の本年と昨年との比較
気象庁が10月9日に発表した季節予報によると、関東甲信地方の向こう1か月の気温は高い予想。同種の活動は継続することが予想される。
10月1日現在、チャや、ブルーベリーなどの果樹、樹木・植木類における産卵が数多く確認 (写真1~4)されており、今後の植木類・果樹類・チャや、宿根アスター等への被害の拡大が懸念される。
左から、写真1:チャに産卵する成虫、写真2:ブルーベリーにおける産卵痕(提供:埼玉県病害虫防除所)
左から、写真3:ユズにおける産卵痕、写真4:マサキに群がる成虫(提供:埼玉県病害虫防除所)
同所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
(1)10月現在、対象作物において同種を対象とした登録農薬はないため、物理的・耕種的防除対策を行う。
(2)産卵加害を防止するため、可能な場合は防虫網や防鳥網、防風網で植物体を被覆する。同種の成虫は比較的大型のため、産卵加害の防止目的であれば、多少目合いが粗いものであってもよい(写真5)。
写真5:チャの秋整枝後のネット被覆(提供:埼玉県病害虫防除所)
(3)産卵された枝は次年度以降の発生源となるため直ちに切除し、地中に埋めるなどして適切に処分する。
(4)当年枝の上部に産卵される場合が多いため、樹種の特性に合わせて秋季の整枝や冬季の剪定を十分に励行する。また、10月の気温が高いと予測されており、同種の産卵は11月上旬まで継続すると考えられるため、整枝や剪定の時期を適宜調節する。
(5)同種は多くの植木類にも産卵することが確認されている。対象作物以外の樹木類で産卵を確認した場合は、防除対策(3)のとおり適切に処分する。
(6)クモ類やカマキリは本種の天敵であるため(写真6)、同種以外の病害虫を対象とした薬剤防除を行う場合は、天敵への影響が少ない剤を選択する。
写真6:チュウゴクアミガサハゴロモを捕食するクモの仲間(提供:埼玉県病害虫防除所)
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