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特集:日本文化は大地を耕すことから

2014.01.15 
【「和食」の特徴】ご飯を中心に季節のものを食べる一覧へ

 ユネスコの世界無形文化遺産に登録された日本人の伝統的な食文化である「和食」とはどういうものなのだろうか。
 世界無形文化遺産へ登録するために開催された「検討会」では、初めは「会席料理」で登録することを考えていたが、特定の業種、集団が利益を得るものではなく、「日本人全体が担っている食文化」としての「和食」になったと検討会の会長であった熊倉功夫静岡文化芸術大学学長は経過を語っている。

「一汁三菜」=和食の基本的な献立だが、基本はご飯を中心に身近にある季節の食材を食べることにある。(農林水産省提供) 「和食」は「社会慣習」として、あなたはもちろん私たち日本人一人ひとりが担っている食文化ということだ。
 よく「一汁三菜」といわれるが、これはご飯と香の物(漬物)に汁と三つの「菜」(おかず)という献立で「和食の基本型」とされる(写真)。
 だが、江戸時代の食文化に詳しい江原絢子東京家政学院大学名誉教授は、江戸時代の大名の食事をみると必ずしも一汁三菜ではなく、普段の日の寝る前の夕食は一汁一菜で、誕生日や年中行事などの「ハレの日」には、二の膳、三の膳がついていたと指摘する。
 熊倉学長も「お菜」は洋風な豚カツでもかまわないが、一番大事なことは「ご飯」を基本とした食事を、家族が一緒に食べるにあり、お菜は「二菜」でも「五菜」でもよいという。
 二つ目の特徴は、豊富で多様性に富んだ食材だ。暖流と寒流が交わる日本近海で獲れる魚介類はもちろん、いま日本で流通している野菜は150種類といわれているほど豊富だ。しかも同じ食材でも「はしり」「旬」「名残り」あるいは「初ガツオ」と「戻りカツオ」があり、地域によって収穫時期が異なるなど、四季折々の自然のなかで生みだされる食材は驚くほど多様性に富んでいる。
 そうした食材の美味しさを引き出す調理法も、焼く、煮る、茹でる揚げる、蒸す、和える、漬けるそして刺身のように生でとバラエティに富んでいる。
 さらに汁物や煮物などの味を決定づけているのが出汁(だし)だ。江戸時代の料理書には「出汁こそ料理の根本」と書かれているように、和食の味わいの中でもっとも重要なのがこの出汁だ。
 出汁は魚介や昆布、野菜から旨味成分を抽出したものだが、甘味・塩味・酸味・苦味につぐ第五の味覚としていま世界的に注目されている。
 また味噌や醤油、酢など多様な発酵調味料も和食の大きな特徴の一つだ。
 そしてご飯を中心に身近にある季節の食材で構成され、何百年も伝えられてきた和食は、栄養バランスの良い食事としていま世界の注目の的だ。
 最近「お・も・て・な・し」が流行語になっているが、「もてなし」とは、食事をつくる人は食べる人の顔を思い浮かべながら調理し、食べる人はつくってくれた人の心を感じながら賞味するという「互いに思いやる気持ちから生まれるこころよさ」のことで、会席料理などでは非常に重要な要素とされており、「和食」の心だともいえる。

(写真)
「一汁三菜」=和食の基本的な献立だが、基本はご飯を中心に身近にある季節の食材を食べることにある。(農林水産省提供)

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