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特集:農業協同組合研究会 第12回研究大会

2016.06.10 
農業協同組合研究会 第12回研究大会(3)【報告】太田 実・JA全中常務 農協合併の現状と課題一覧へ

 農業協同組合研究会(会長=梶井功東京農工大名誉教授)は5月28日、東京都内で改正農協法と農協合併について、報告とディスカッションを行った。JA全中の太田実常務は合併は目的ではなく手段であり、地域のなかでどんな農協をめざすのか現場でしっかり議論することが必要ではと呼びかけた。(報告要旨の文責は編集部)

【報告】太田 実・JA全中常務 農協合併の現状と課題

【報告】太田  実・JA全中常務 農協合併の現状と課題 平成に入ってから合併が急速に進行。平成28年4月1日現在で総合JA数は659、4年は3299だから25年で5分の1になった。
 JA合併は規模を大きくし専門性を発揮して組合員や地域への対応を充実させることが目的だ。大規模になれば合理化、効率化も可能で実際は管理部門や店舗の統廃合も行われてきた。
 JAの事業総利益はここ10年漸減傾向にある。一方で事業管理費は人件費等の削減もあり、事業総利益の減少を上回って減少し、結果として事業利益は平成13年から徐々に拡大に転じ近年では2000億円規模を確保して安定している。
 合併によって1JAあたりの基盤も様変わりした。平成15年と25年をくらべると1JAあたりの組合員数9610人が1万4000人になった。この間に正・准組合員の比率も逆転した。ただ、役員数は同期間に26・2人から26・4人と増えていない。職員数も261・9人が294・2人と思ったほど増えていない。 逆に信用事業店舗は12・7から11・2と減少している。1JAあたりの貯金残高は1290億円と484億円増え、1店舗あたりでは115億円と10年前より倍増している。ただ、長期共済保有高は成長が鈍化、販売品取扱高も増えてはいない。
 この環境のなかJAの財務状況をみると、1JAあたりの総資産額は1423億円と10年前とくらべると1・5倍になっている。自己資本比率も18・3%で10年前より1%増えており健全性は確保されているといえる。JAの収支状況では事業総利益が21・9億円から26・4億円と4億円強増えた。その要因は信用事業利益が3億円増えていること。ただし、利回りは10年前にくらべてマイナス1%、ボリュームが増えているから事業利益が増えているのだが、今後は人口減の影響を考えなくてはならない。

◇    ◇

 この環境のなかJAがめざすべき方向は農家の所得拡大、営農経済事業の収支改善であり、その手段として買取の拡大、資材価格の引き下げ、6次化・輸出の推進などに取り組むことである。厳しいがJAは今までよりもリスクをとって組合員のために利益を使って貢献しなければならないということが課題だ。
 1県1JAになったのは奈良、香川、沖縄、島根の4県だが、昨年各県でJA大会が開催され、組織再編に関する記述を盛り込んだ県は30県ある。
 なかでも1県1JAをめざす動きが大変増えている。経営環境、収支環境が厳しくなっていることから規模の大きさをめざそうということだと思う。都市部から中山間地、あるいは島嶼部もある県域では、隣接するJAとの組み合わせで合併を考えても将来展望が厳しく、むしろ1県1JAをめざすという考え方になってきたということも聞く。 農産物の販売についても全農を経由して販売しているものを県内1つのJAになって1つのブランドになって売ろうではないかという考え方をしている県もある。
 ただ、合併は目的ではなくてあくまで手段。結局は組合員、地域、農業にとってどういうJAの体制がいちばん組合員、利用者に満足を与えられて、将来も利用してもらえるかが課題だ。地域のなかでしっかりと議論をしてどんな姿をめざすか決めてほしい。

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