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【許すな命の格差 子ども食堂の現場から】インタビュー・湯浅誠氏(NPO法人全国子ども食堂支援センター・むすびえ理事長 東京大学特任教授)(下)2021年9月2日

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コロナ禍の子ども食堂の活動コロナ禍の子ども食堂の活動

「鍋をつつくって本当にあるんだね」

--子ども食堂でコロッケを見て「これ何?」と聞いた小学生や、「鍋をつつくって本当にあるんだね」とつぶやいた高校生がいたと聞きました。子どもの貧困にはどう関わっているのでしょうか。

コロッケの話も鍋の話もいろいろな人が集まる場のなかで回りが気づいたわけです。運営者の方は食べられない子どもがいることに気づいたら、自分ができることをやってあげようと思うわけですが、子どもに対してあなたの家はどうなの? などと決して聞きません。一緒に過ごす時間が増えていけばコロッケの件にも気づく。ただ、これは子ども食堂全体のなかの一部だということです。

私がある子ども食堂を訪ねたとき、初めてそこの子ども食堂に来た子がいたので、理由を聞いたら、おかあちゃんが行ってこいと言ったから、でした。厄介者払いされたのもしれないし、楽しそうな場所だからちょっと見てくれば、ということかも知れません。そこは分かりませんが、心配でもあるのでこういう子が来ていると運営者に伝えました。

そうすると帰るときにおにぎりを10個持たせていました。余っちゃったから持って帰ってくれると嬉しい、と。そういうところが子ども食堂のいわば貧困対策なんです。つまり、その子が食べられているかどうかは分かりませんが、かといって根掘り葉掘り聞くわけでもない。親も来ていませんから事情は分かりませんが、電話するわけでもない。でもこうしておにぎりを十個持って帰ってもらうことで、私たちはその子どもの背後にいる家族のみなさんにも気持ちを向けていますよ、何かあったらどうぞいらっしゃいな、ということを負担にならないよう押しつけがましくなく、というのが子ども食堂らしい関わり方だと思います。

本当に近所の人たちの気遣いという感じなんです。みなさん、大したことはしていない、当たり前のことしかしていないと言いますが、なかなかできることでもなく、やはり貴重だと思います。

「子ども食堂」 社会のモデル

--今はコロナ禍で活動が難しくなっているのではないでしょうか。

確かに食堂を開くことは難しくなりましたが、その代わり食材や弁当の配布という活動に切り替えています。その割合は昨年4月は4割でしたが今年7月時点では7割です。この7割のなかには子ども食堂も開きながら、という方々も含みます。

やはりもともと無縁社会に抗って、疎に抗ってつながりを作ってきた人たちですから、コロナ禍だからといって、つながり絶たれてなるものか、と足掻いてもがいているということだと思います。
これは今、非常時のセーフティネットとして機能しているわけですが、こういうあり方はこれからの日本社会のひとつの地域のモデルではないかと思っています。つまり、平時のつながりづくりをやっていたところが非常時のセーフティネットにもなるということです。非常時には災害対応のための組織が立ち上げることも必要ですが、今は自然災害の発生が常態化し、日常と非日常がいつクルっと入れ替わるか分からないからこそ、同じ組織がその両面を担うというかたちがこれからの社会には望ましいのだろうと思います。そこに子ども食堂のみなさんが先鞭をつけたということだと思います。

自治会は全国に30万ありますが、たとえばそのうち1割でも非常時に食材や弁当を出すことをやれば3万か所増えることになります。

子ども食堂が非常時のセーフティネットとしても機能するというのが安心して暮らせる地域、結果的には災害に強い地域ということになるために必要だと思っています。

現代は災害と隣合わせの日常であり、それはウィズコロナという表現にもあらわれています。ウィズコロナとはいわば「減災」です。災害が織り込まれた「新しい日常」を少しでも安心できるものにしていくためにどうするかという発想が一貫してあるわけで、そこに今の子ども食堂のようなあり方が安心して暮らせる地域づくりという意味で必要ではないかということです。もちろん子ども食堂だけがやるということではなくて、自治会や地域のスーパー、コンビニ、飲食店チェーンなどが少しずつ力を出せれば大変な状態のなかでもつながりを感じられるということになると思います。

今、地方創生が政策としても大きなテーマになっていますが、地方創生のソフトインフラの「肝」に子ども食堂がなるのではないかと思っています。

「貧乏」と「貧困」の違い

--格差が広がり、さらにコロナ禍を機に日本社会の貧困も浮き彫りになってきました。どう考えればいいでしょうか。

貧困対策というとどうしても現金を配るとイメージになります。もちろん現金を配るのは大事な貧困対策ですが「つながりがない」ということも大きな課題です。そこは「関係性の貧困」と言ったりしますが、その両者は結局、結びついています。

お金がなければ友達と一緒に出かけることもできませんから、孤立していってしまう。高齢者ではお葬式に出るお金がないと不義理をすることになるので親戚から孤立したりします。

そこを何とかしようとお金を配るのは行政が得意ですが、つながり作るのは民間のほうが得意だと思います。その意味で子ども食堂が担っているのはつながりづくりとしての貧困対策であり、関係性の貧困を何とかしようということだと思います。

日本でも孤独・孤立担当大臣が新設されましたが、先駆けて担当大臣を設置したイギリスは「社会的処方」という考え方を採り入れています。

それは、眠れない人に睡眠薬を処方するよりは、眠れない人が地域に参加できて汗かいて、というつながりをつくるほうが本当は健康になるということから、そのような対応を医学的処方に対して社会的処方と言っています。イギリスの医療はこれを推進しようとしています。イギリスの孤独・孤立対策の肝はここで、つながりをつくることが医療費削減に結びつくということです。

結局、つながりの問題はお金の問題にも跳ね返ってきます。日本でも同じような状況があるので人々がつながりをつくっていくということはどんな人にも必要です。これは国としても位置づけるべきだと思います。

ただ、子ども食堂の人たちは国が位置づけるかどうかに関わらず、人と人とのつながりをつけることに取り組んでいるということです。そうした活動を理解する前提が、「貧乏」と「貧困」とは違うということです。貧困がお金の問題だけだと思っていると、人と人とのつながりという話が出てきません。

仲間としてJAも一緒に

--子ども食堂に関わるJAも増えてきています。期待することは何でしょうか。

一緒に地域を盛り上げていく仲間であり、すでにいろいろなかたちでご支援いただいていると思いますが、そこを一緒になってやっていくパートナーだと考えてもらえると嬉しいです。

地域を大切にしていかないといずれ人が住めない地域になってしまうのではないか、地球も大事にしていかないといずれ人が住めない地球になってしまうのではないか、こういう問題意識のなかで子どもたちや高齢者が元気になったり、地域がにぎやかになったりするということを子ども食堂は担っているということです。そこに地元の食材が利用されることで地産地消が進んだり、地域への愛着を感じる子どもが増えたりということは農協にとっても大きなメリットがあるはずです。ともに地域を担う仲間だという思いをベースに、一緒に地域を元気にする、ということができればと思います。

(ゆあさ・まこと)社会活動家。東京大学先端科学技術研究センター特任教授。全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長。1969年東京都生まれ。東京大学法学部卒。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学。1990年代からホームレス支援活動を行う。2008年年越し派遣村村長を経て09年から足掛け3年間内閣府参与。法政大学教授を経て現職。

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インタビュー・湯浅誠氏(NPO法人全国子ども食堂支援センター・むすびえ理事長 東京大学特任教授)(上)

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