農政:全国会議員に聞く「どうするのかコロナ感染爆発」
石川香織 立憲民主党 参議院議員【緊急特集・全国会議員に聞く どうするのかコロナ感染爆発】2022年1月31日
石川香織 参議院議員
○石川香織
○立憲民主党
○参議院議員
○選挙区:北海道11区
○出身地:横浜市
【1】これまでの政府のコロナ対策についての評価
政府は、先手先手といいますが、初動や感染拡大期においても、対応が後手後手で、徹底した検査、医療支援、国民生活や事業者支援などの取り組みが不十分でした。コロナ対策より、経済優先でGotoキャンペーンをとり続けたことや東京オリンピック・パラリンピックを優先するなどの姿勢も問題がありました。
また宣言解除の基準も甘かったため、リバウンドが何度も繰り返されました。ワクチン確保の遅れや、所管大臣の役割が不明確であるという司令塔の複雑化も問題でした。厳しい水際対策といっても、沖縄や山口でのオミクロン株の感染拡大は、米軍からのものであり、政府の水際対策の甘さを指摘せざるを得ません。
ワクチン接種についても、大変な国家的プロジェクトであるとの認識が欠如し、国が方向性を示さず、十分な情報を提供しないまま、現場の市町村に「丸投げ」し、スタートの遅れを生み、準備不足を招きました。ワクチンそのものの確保の遅れ、供給の種類・配分量、日程等、政府の想定の甘さが大きな混乱をもたらしました。予約の混乱、打ち手の確保等も課題になりました。海外の事例から、ワクチン効果が低下する半年後は、高齢者にとって、ちょうど冬の流行の拡大が懸念される時期であり、今後、積雪も心配されるにもかかわらず、ワクチンの供給の制約や自治体間の公平性の確保などから2回目接種後8か月にこだわってきたこともあり、追加接種も先進国でも最下位レベルの接種率にとどまっています。
いずれ第6波が予想されていたのですから、新規感染者が少なかった昨年秋にこそ、医療提供体制の拡充はもとより、必要な時に誰でもすぐに受けられる無料のPCR検査、陽性者全員の全ゲノム解析、自治体の在庫ワクチンを活用した医療従事者や高齢者の追加接種を促進すべきでした。支援についても、事業と暮らしを守るというのであれば、解散前に補正予算を組むべきでした。コロナ対応より、党利党略でオリパラと総選挙を優先した姿勢も許されません。
【2】オミクロン株拡大による今後のコロナ対策で政府は何をすべきか。
新型コロナウイルスへの対策の徹底・強化する必要があり、以下の内容に取り組むべきです。
・自治体への支援を強化し、足元の3回目接種をさらに加速させ、接種スケジュールを前倒しする。
・自宅療養者へのケアを充実する。具体的には、オンライン診療や電話診療を拡充し、経口薬「モルヌピラビル」を自宅療養者に診断の当日に投与できる体制を整備する。
・経口薬「モルヌピラビル」を全国に迅速に十分な量を届ける。また、登録された医療機関や薬局に対して、感染者の急増に対応するために希望量を配備する。
・第5波の反省に立ち、自宅死を出さないために、入院が必要な患者がすぐに入院できる体制を整備するため、オミクロン株についての重症化予想率を策定、公表するとともに、今後の重症者数の急増を想定し、病床確保など、先手の対策を打つ。
・感染急拡大地域ですみやかに無料検査(抗原検査やPCR検査)が受けられるよう、無料検査所を増やす。
・都道府県を超えた患者の受け入れや医療従事者の派遣する体制を整備する。感染症法等を改正し、都道府県を超えた患者の受け入れや医療従事者の派遣のための体制等を法的に整備すべき。法的整備までの間は、首相をトップとする病床確保等本部を官邸に設置し、国と都道府県の協議の下、都道府県を越えて患者を受け入れる体制や医療関係者を融通し合う体制、在宅診療をフォローアップし保健所が対応できない自宅療養者等をケアする体制を確立する。
・5歳から11歳までの子どもへのワクチン接種が3月以降に始まることに対して、理解と判断ができる情報提供と広報を進める。ワクチン接種の有無でいじめなどにつながらないように、学校等との連携する。自治体への負担が軽減されるように支援を強化する。また、親などが安心して休業できるように支援をする。
【3】コロナ禍で見えてきた「日本社会の課題」と現政権に望むこと。
地域の反対の中で「地域医療構想」が推し進められようとした最中に、新型コロナ感染症が大流行し、国民生活の基盤というべき医療や介護などの社会保障の基盤がいかにぜい弱であったかが明らかになりました。保健所などの統廃合が進められ、地域の医療の司令塔が十分に機能しないなかで、コロナ対策の不十分さが明白となりました。ワクチン接種や給付金などの最前線に立つ地方公務員を削減して、自治体の力を弱めてきました。また、今国会でも、批判を回避するためか感染症対策の法案審議を避けようとしています。感染症や災害、事故や失業のように、人には、どんなに平穏な日常生活を送っていても、誰にでも突然振りかかってくるリスクが存在します。国民生活をいかにして立て直すか、特に地域のもつ力を強くすることが必要だと思います。
3年前のマスクなどの不足から国内での医薬品、ワクチン、検査キットはじめてとする自給体制が不十分であることが国民に広く認識されました。かねてから懸念されてきた低い食料自給率、食料自給力の確保など、食料安全保障をはじめとする、国内の食料やエネルギーの自給体制を見直し、国内で生産できる基盤を確保することが中長期的には不可欠です。現下の食品ロスなど減らし、災害対応や食料支援などに対応した総合的な食料政策が必要です。
成長も賃上げも低位なままで、格差は広がり、将来が見通せなくなっています。人と緑、地方を重視した新たな経済成長にも挑戦し、同時に富を国民全体に再分配し、社会の各所に手厚いセーフティネットを構築する必要があります。新自由主義的な過度な競争や効率化で、多くの人をリスクに追い落とし、リスクに遭遇した人を「自己責任」だと孤立に追い込むのではなく、誰一人取り残すことなく一人一人の再起を応援する、「支え合いの安心社会」を確立すべきです。
今こそ、日本の将来をつくる若い世代に率直に向き合い、課題解決を急ぐべきです。
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