農政:今こそ 食料自給「国消 国産」 いかそう 人と大地
【今こそ食料自給・国消国産】原点に立ち農林水産業と地域・環境に貢献 農林中金・奥和登理事長に聞く(2)2022年10月12日
原点に立ち農林水産業と地域・環境に貢献 農林中金・奥和登理事長に聞く(1)から続く
人員再配置で現場力強化
作山 現在の中期経営計画で私が注目したのは「現場力強化」です。とくに会員に対して400人ほどを再配置するとしている実践支援担当の取り組みはかなり進んでいるのでしょうか。
奥 はい。人数でいえば当初の予定を超えすでに410人ほどになっています。
実践するプログラムについて、農協は各地域で事情が違いますから、農協単位でいかに組合員や地域に役に立てるかという戦略を一緒になって議論して策定します。たとえば貸出強化をするのであれば、現場に再配置した職員が農協に入って提案やコンサルを行って貸出を強化しています。
プログラムには4種類ほどあって、たとえば全農と一緒に経済事業の効率性改善に取り組んでおり、農林中金は主に課題の「見える化」を担っています。こうした現場支援には、かなり手応えを感じています。貸出についても、今までは農業融資は保証がなければ実行しないといった面がありましたが、農業者のところに足を運び、貸出について議論する機会が増えていると思います。
100周年 次の時代へ種蒔き
作山 さて、来年創立100周年を迎えますが、どのような準備をされていますか。
奥 100周年だからといってあまりイベント的なことはしたくありません。重要なことは100年を意識し、来し方を振り返って、行く末を考えるきっかけにしないといけないと思っています。
来し方とは、なぜ農林中金が100年間みなさんに支えられながらやってくることができたか、言い換えれば生き残れた理由はどこにあるのかを考えることであり、そのうえで、この先どのように社会、会員、地域の役に立てるのか、役職員皆で考え、次の時代の種蒔きをしっかりしていくための100周年だろうと思っています。
作山 それでは最後に、来年100周年を迎えることもふまえてJAのみなさんにメッセージをお願いいたします。
奥 農林中金の志とは何かということについては、2、3年前から議論してきました。そのパーパスの中に定めたのが、農林水産業を育てて豊かな食と地域の暮らしに貢献し、地球環境に貢献するというものです。
それにともない、まだまだ財源的には小さいですが、農林水産業・地域・環境基金というものを設けています。それを事業としてしっかり展開していきたいと考えています。
私のイメージでは、いちばん上に農林水産業を成立せしめている地球環境があり、2つ目の層には農林水産業とそこに暮らしている人と地域があり、3つ目の層には農漁協と森林組合があって、組合員を支えると同時に、組合員からも支えられているというイメージです。
この3つの目的のために農林中金がいかに稼げる組織になり農漁協を支えるのかということが4つ目、さらにそうなるための農林中金の人材力を作るというのが5つ目です。この5つのためにさまざまなチャレンジをしていくということに尽きると思っています。100周年は組織づくりでもあり、人づくりでもあると考えています。
作山 ありがとうございました。
作山巧 明治大学教授
【インタビューを終えて】
政府出資の特殊法人が前身とはいえ、一つの組織が1世紀も続くことはまれであり、創立100周年ともなれば盛大に祝いたくなるのが普通でしょう。しかし奥理事長は、「あまりイベント的なことはしたくない」と述べた上で、「内部で考える100周年・種蒔きをしっかりしていく100周年」にしたいとの決意を語りました。農林水産業者の協同組織を基盤とする全国金融機関にふさわしい、地に足のついた冷静な語り口が強く印象に残りました。(作山)
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