楽粒の省力検証 水稲除草剤の散布時間の比較 最大83%の時間削減も 北興化学工業2024年11月25日
水稲栽培で本田の雑草対策は、近年、省力製剤や無人航空機(ドローン含む)による散布などの省力的な使用方法が注目を集めている。北興化学工業株式会社が「1キロ粒剤」、「フロアブル」、「ジャンボ」と新しい省力製剤の「楽粒」で、省力を目的に2年間の試験を行った結果を報告する。

【画像】ドローンでの散布風景
1. 試験概要
散布時間の試験は新潟県長岡市の約1haのほ場。使用した剤型は「1キロ粒剤」、「フロアブル」、「ジャンボ」、「楽粒」の4剤型。①2023年はドローンを用いた「1キロ粒剤」、「楽粒」の散布を(一社)農林水産航空協会の協力のもと試験を実施した。②2024年は手散布で「楽粒:風上長辺1辺処理」、「1キロ粒剤:背負式動力付散布機で周縁+ほ場内散布」、「フロアブル:手振りで周縁+ほ場内散布」、「ジャンボ:手散布で周縁+ほ場内散布」で実証した。

①ドローン実証は事前に1ha分の薬剤を積載し、離陸から着陸までの時間を計測した。また、バッテリーの消費量を各フライト前後のプロポの表示から計測した。②手散布実証は「楽粒」「フロアブル」「ジャンボ」の薬剤をほ場の各所に事前に配置しておき、散布開始から散布終了までの散布時間を計測した。「1キロ粒剤」は背負式動力付散布機に1ha分の薬剤を事前に充填し、散布開始から終了までの時間を計測した。
2. 試験結果
①ドローン散布の省力とバッテリー消費について(表1)

従来の1キロ粒剤のドローン散布は圃場内を何往復もして、散布する必要があること とドリフトに注意を払うことが求められ、散布時間が454秒もかかる結果となった。
一方、楽粒は拡散型製剤のため、ほ場の中央部のみの散布で隅々まで拡散するので、ドリフトも気にせず、開度もMAXにして短時間で散布が終わるメリットが出る結果と なった。特にバッテリー消費がより顕著な差となり、作業性の効率にもつながることも分かった。
②剤型別の散布時間について(表2)

楽粒の特長として、風上から長辺1辺処理(実証ほ:95m)のみで自己拡散するため、散布時間が一番短くなった。既存の「1キロ粒剤」「フロアブル」「ジャンボ」は1辺が30mを超えるとほ場の中に入る必要があり、今回のような1haほ場では、より差がでる結果となった。
3. 総括
(1)ドローン散布と楽粒
拡散型製剤の「楽粒」は大規模ほ場やドローンとの組み合わせにより自由に隅々まで拡散する特長を発揮しやすく、1キロ粒剤の処理と比較して飛行時間が76%、バッテリー消費が82%減少し、ドローン側にもメリットがあることが分かった。楽粒は「ドローンの開度調整が不要」、「ほ場の中央部のみの散布でよい」という点からドローン初心者でも散布しやすいというユーザーの声もある。
さらに、ほ場の面積ごとにドローンに楽粒を積載し、撒き切ることで、ミスが無くなることにつながると北興化学は話す。
(2)既存剤の散布と楽粒
「楽粒」は散布時間比で既存の「1キロ粒剤」に対して約75%、「フロアブル」で83%、「ジャンボ」で78%の散布時間の削減が認められた。一番のメリットは1haほ場でも中に入らないことと担当者は話している。
(3)楽粒のドローン散布と風上長辺1辺処理
ドローン散布の飛行時間が「109秒/ha」、風上長辺1辺処理の散布時間は「193秒/ha」でドローン散布の方が効率的に見えるが、「1キロ粒剤」のドローン散布で「454秒/ha」もかかることから、楽粒の風上長辺1辺処理でも十分効率的で省力と言える。
最後に、農地集約により管理する農地が増加し、適切なタイミングでの除草剤散布が難しい大型生産法人や除草剤散布を省力化したい生産者など本田の雑草対策に対するニーズは様々であると思う。散布時間を削減したい方は特別な散布器具が無くても散布時間の削減と省力ができる「楽粒」をぜひ一度試してみてはいかがだろうか。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(174)食料・農業・農村基本計画(16)食料自給率その他の食料安全保障の確保に関する目標2025年12月27日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(91)ビスグアニジン【防除学習帖】第330回2025年12月27日 -
農薬の正しい使い方(64)生化学的選択性【今さら聞けない営農情報】第330回2025年12月27日 -
世界が認めたイタリア料理【イタリア通信】2025年12月27日 -
【特殊報】キュウリ黒点根腐病 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【特殊報】ウメ、モモ、スモモにモモヒメヨコバイ 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【注意報】トマト黄化葉巻病 冬春トマト栽培地域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
【注意報】イチゴにハダニ類 県内全域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
バイオマス発電使った大型植物工場行き詰まり 株式会社サラが民事再生 膨れるコスト、資金調達に課題2025年12月26日 -
農業予算250億円増 2兆2956億円 構造転換予算は倍増2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(1)2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(2)2025年12月26日 -
米卸「鳥取県食」に特別清算命令 競争激化に米価が追い打ち 負債6.5億円2025年12月26日 -
(467)戦略:テロワール化が全てではない...【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月26日 -
【スマート農業の風】(21)スマート農業を家族経営に生かす2025年12月26日 -
JAなめがたしおさい・バイウィルと連携協定を締結 JA三井リース2025年12月26日 -
「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業」採択 高野冷凍・工場の省エネ対策を支援 JA三井リース2025年12月26日 -
日本の農畜水産物を世界へ 投資先の輸出企業を紹介 アグリビジネス投資育成2025年12月26日 -
石垣島で「生産」と「消費」から窒素負荷を見える化 国際農研×農研機構2025年12月26日 -
【幹部人事および関係会社人事】井関農機(1月1日付)2025年12月26日


































