水稲用除草剤など3ブランドを新発売 シンジェンタジャパン 2020年1月16日
シンジェンタジャパンは16日、都内で農薬の新製品発表会を開き、新規の水稲用除草剤「ジャンダルムMXシリーズ」の3製剤と園芸殺菌剤「オロンディスウルトラSC」、「アクティガード顆粒水和剤」について説明した。
左から新製品を発表するシンジェンタジャパンの西田勉執行役員・アグリビジネス事業本部営業統括部長、西野浩子取締役執行役員・アグリビジネス事業本部事業本部長と的場稔社長
暖冬や干ばつ、夏の熱波など異常気象が地球規模で広がり、世界中の農家が対応に苦しむなか、スイスのシンジェンタ本社は昨年末、今後5年間で2000億円の予算を使い問題の解決に取り組むことを発表した。これを受けてシンジェンタジャパンは、「日本の農業に貢献することを本気で考える」「コラボレーションの重要性」「イノベーションの在り方」の3つのキーワードで取り組んでいくという。
日本特有の問題として近年は高齢化により、大型生産者へ農地の集約化が進み、さまざまな条件のほ場を効率的に管理する栽培技術が必要とされる。こうしたニーズにこたえて開発されたのが3製剤を組みあわせた水稲用の初・中期一発処理除草剤「ジャンダルムMX」シリーズだ。
これは、競合他社とも積極的にコラボレーションすることで生まれた画期的な新剤。高葉齢ノビエに対して効果の高い「ピリフタリド」とSU抵抗性雑草に有効な「メソトリオン」、クミアイ化学工業の多年生広葉雑草に効果の高い「ピリミスルファン」を配合した。水管理が難しいほ場でも安定した効果を発揮し、SU抵抗性の各種雑草やクログワイ、オモダカなどの多年生雑草まで幅広く効果がある。
同シリーズは「1キロ粒剤」「豆つぶ250」「ジャンボ」の3タイプをラインアップ。手散布、動力機散布はもちろん、田植え同時散布機や投げ込み、ひしゃく、ドローンなど幅広い散布方法に対応する。中でも「同豆つぶ250」は、自己拡散性があり、均一に播けるクミアイ化学工業の製剤技術「豆つぶ」の供与を受けて開発された。
このほか、3月に発売する園芸用殺菌剤「オロンディスウルトラSC」は、作用機構の異なる2つの有効成分「オキサチアピプロリン」と「マンジプロパミド」を組み合わせた。残効性に優れ、耐性菌対策に有効でべと病、疫病に長く安定した防除効果を発揮する。
さらに、長野県、群馬県の地域限定で2月10日に発売する「アクティガード顆粒水和剤」は、有効成分アシベンゾラルS-メチルが植物自体の防御能力を高め、病害抵抗性を促すプラントアクティベータ―(抵抗性誘導剤)。植物の防御システムを活性化させることで病害から植物を守る殺菌剤だ。高原野菜の生産地、長野県で防除の大きな課題となっているキャベツ、白菜の難防除病害「黒斑細菌病」に対応するために開発された。
殺菌剤のカテゴリーだが、菌を殺すのではなく、もともとその植物が持っている自己防衛能力を最大限引き出し、最終的に細菌病に防除効果を示すという、従来の農薬の概念と異なるアプローチから生まれた。
同社の的場稔社長は、「まさに現場とのコラボレーションから生まれた新剤。マーケットとしては限定的だが、経済的合理性だけではなく、産地への貢献という視点でやっていくことも重要」と説明した。
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