クロップサイエンス部門は安定 2020年度決算報告 バイエル2021年3月5日
バイエルグループは2月25日、2020年度の決算報告を行い、グループ売上高は414億ユーロ、特別項目計上前EBITDAは114億6100万ユーロでいずれも前年と同水準だった。
新型コロナウイルスの影響を受ける中、2020年のグループ売上高は414億ユーロで為替とポートフォリオの影響の調整後では、売上高は前年と同水準の0.6%増。特別項目計上前EBITDAは、114億6100万ユーロで、前年と同水準の0.1%減った。
為替の影響により、売上高を19億4100万ユーロ、特別項目計上前EBITDAを7億4100万ユーロ減少。EBITは、特別項目の純損失額232億6400万ユーロ(2019年:28億1300万ユーロ)の考慮後で、マイナス161億6900万ユーロ(2019年:プラス41億6200万ユーロ)だった。
特別損失は、特にグリホサート、Dicamba、PCBと「EssureTM」訴訟で達した合意に関する引当金から成るもの。その他の特別損失には、主に、クロップサイエンス部門における減損費用が含まれている。
当期純損益はマイナス104億9500万ユーロ(2019年:プラス40億91百万ユーロ)。一方、継続事業からの1株あたりコア利益は前年と同水準の6.39ユーロ(0.2%増)だった。ドイツ・バイエル社のヴェルナー・バウマン社長は、決算報告で「変化の激しい時代における経営面の力強さは、パンデミックのさなかでも、私たちの事業にいかに回復力があるかを示している。また、昨年度は将来の成長に向けた基盤を整備するための1年でもあり、当社の変革を推進し、製品パイプラインを前進。また、全事業部にわたって新たなテクノロジーに投資した」と話した。同社は今年、業績の堅実な成長と、為替変動の影響を除いたベースでの安定した利益の達成を見込んでいる。
農業関連事業(クロップサイエンス部門)は、売上高を1.3%増(為替・ポートフォリオ調整後)の188億4000万ユーロまで増加。中南米地域とアジア・太平洋地域の事業が増加に寄与した一方、特に北米地域では減少した。
売上高の成長は殺菌剤とエンバイロサイエンスで顕著で、これらの事業はすべての地域で拡大した。殺菌剤では、2019年に発売した「Fox XproTM」で、中南米地域で売上高の増加を計上。大豆種子と形質でも売上高が増加した(為替・ポートフォリオ調整後:2.3%増)。中南米地域の市場に浸透したことがプラスの影響を及ぼした一方、北米地域の事業では、主に競争の激化により、販売価格と販売量が低下した。
トウモロコシ種子および形質の売上高は前年と同水準(為替・ポートフォリオ調整後:0.5%減)を維持。北米地域では、2019年と2021年への需要のシフトがマイナスの影響を及ぼした一方、その他すべての地域では売上高が増加した。除草剤の売上高は、特にヨーロッパ・中東・アフリカ地域と北米地域で登録を失効したため、1.0%減少した。
クロップサイエンス部門の特別項目計上前EBITDAは、3.8%減の45億3600万ユーロに減少。事業は特に為替のマイナス影響5億3700万ユーロの影響を受けた一方、需要のシフトによる北米地域における売上高の減少も重要な要因となった。これに対し、利益は同社が買収した事業の統合を進めるにつれて、コスト・シナジーの実現による恩恵を受けた。
米国でのグリホサート訴訟に関して、同社は、2021年2月初旬に、将来発生し得る「ラウンドアップ」訴訟への対処し解決を意図するクラス・プランについて原告代理人と合意に達したことを発表。原告代理人はクラス合意の仮承認の申立てを行った。両当事者は、将来発生し得る「ラウンドアップ」訴訟について裁判所が2020年夏、最初の和解提案を行った後に提起した問題への対処に取り組んできた。新たな合意は現在、裁判所の承認が必要。クラス・プランは、モンサント社の「ラウンドアップ」訴訟のさらなる終結を目的とする全体的な解決策の一部となることが意図されている。
「ラウンドアップ」訴訟全体で約9万件に上る現在の請求は、和解合意の対象となっているか、または和解プログラムの資格基準を満たさなかった。同社は、現在残っている訴訟で合意に達するため、原告代理人との交渉を続けている。
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