天敵昆虫「タバコカスミカメ」生物農薬として7月7日に販売開始 農研機構2021年6月30日
農研機構は、(株)アグリ総研と高知県、福岡県、岡山県、静岡県、千葉県と共同で、キュウリやトマトなど施設園芸で問題となる難防除害虫のアザミウマ類やコナジラミ類の防除に有効な天敵昆虫「タバコカスミカメ」を生物農薬として開発。5月26日に農薬登録され、商品名「バコトップ」として株式会社アグリセクトが7月7日に発売する。
タバコカスミカメ成虫
天敵昆虫「タバコカスミカメ」は、キュウリやトマトなど多くの施設野菜で問題となっている、難防除害虫のアザミウマ類やコナジラミ類の防除に有効。「タバコカスミカメ」は日本に広く分布するため、野外で採集した個体を土着天敵として利用することも可能だが、東日本では生息密度が低く、防除に利用できるほどの数を採集できない。また、他の虫との識別も簡単ではないため、農研機構は全国の生産者が簡単に入手できるよう共同で製剤化した。
タバコカスミカメは捕食能力、分散能力が高くコナジラミ類、アザミウマ類の有力な天敵として、すでに海外では生物農薬として市販されている。農研機構は2012年度からキュウリにおけるアザミウマ類、トマトにおけるコナジラミ類を対象に、本種の有効性をアグリ総研、高知県、福岡県、岡山県、静岡県、千葉県とともに検証し製剤化。「タバコカスミカメ」を用いた防除技術についても、近畿大学、宮崎大学、宮城県、栃木県、神奈川県、三重県、広島県、熊本県とともに開発してきた。
農薬を全く使わない場合のトマトの減収率は平均で36%という数字があり、これをトマトの市場価格に換算すると1500億円に達する。トマトなどウイルス病が問題となる作物では従来の天敵による防除効果が不十分だったため、天敵利用が進まなかったが、タバコカスミカメ剤の発売により、これらの作物でも天敵利用が進み、環境保全型農業へのシフトが期待される。農研機構は、タバコカスミカメの地域別の利用マニュアルを、ホームページで公開している。
◎「天敵製剤タバコカスミカメ」の利用法と特徴
1.タバコカスミカメは、これまでに市販された天敵よりも大型で、キュウリやトマトなどで問題となっている難防除害虫のアザミウマ類やコナジラミ類の防除に有効。
2. タバコカスミカメは一部の植物や代替餌資材で発育・増殖できるため、餌となる害虫が少ない時でも、バーベナ、クレオメなどの天敵温存植物や天敵用餌ひもにより、施設内で安定して定着させることができ、害虫発生初期から効果を期待できる。
3. タバコカスミカメをより効果的に使えるよう、タバコカスミカメを誘引する紫色LED装置、害虫コナジラミの忌避剤アセチル化グリセリド、エッジ色彩粘着板、新規赤色防虫ネットなどを開発。同防除体系の利用により、IPM(総合的病害虫管理)が実行可能。
4. タバコカスミカメ剤の使用はキュウリおよびトマトの栽培施設に限られる。使用に際しては施設開口部に防虫ネットを被覆すること、使用後は施設を閉め切り内部の植物が枯死し、タバコカスミカメが死亡したことを確認するなど、野外へ逃亡しないように処置することが必要。
購入の問い合わせは、アグリセクト(電話)029-840-5977へ。
市販されるタバコカスミカメ剤
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