営農管理から防除まで一気通貫の支援めざす バイエル クロップサイエンスとウォーターセル2023年7月13日
バイエル クロップサイエンスとウォーターセルは両社が提供する営農支援サービスの連携に向けた基本合意書を5月に締結した。2024年シーズンからの本格展開に向け、現在、両社は協議を進めている。
協業でサービス広げる
バイエル クロップサイエンスは昨年11月、ほ場ごとに異なる雑草の発生状況に合わせて単剤を散布する「水田雑草テーラーメイド防除」の仕組みを提供すると発表した。
これは同社開発の農薬とデジタル技術を組み合わせて、ほ場診断に基づき雑草の種類を調べ、生産者のニーズなども踏まえて、最適な農薬を最適なタイミングと回数に至るまで表示するデジタル診断・処方ツールだ。
これによって有効な単剤を組み合わせて散布することができるため、不要な成分の散布や不適切なタイミングでの散布を回避することができ、コスト削減だけでなく環境への負荷を減らすことができ、よりよい品質と収量の確保につながることも期待できる。今年は産地で試験を実施しており、来年の本格上市をめざしている。
一方、ウォーターセルが提供する営農支援ツール「アグリノート」は航空写真をベースにほ場を可視化し、農作業やほ場の管理、スタッフ間の情報共有をサポートする営農支援ツールでパソコンのほか、専用のアプリを利用することでスマートフォンやタブレットからも農作業記録や作物の生育記録の入力と閲覧ができる。利用組織数は2023年3月末現在で1万7000を超え、多くの農家が利用している。
今回の提携によって、バイエル クロップサイエンスのデジタル診断・処方ツールとウォーターセルの「アグリノート」が協業して、営農管理から防除技術提案まで一気通貫したソリューション開発をめざす。
急速に進む大規模化
6月30日に公表された農業構造動態調査結果では確実に大規模化が進んでいることが示された。

10ha以上層の割合は2021年の59.7%から今年は62.0%へと拡大した。とくに注目されるのが30ha層で、40.8%から43.6%と2.8%増。一方、10~20ha層、20~30ha層の割合は前年より減っており、30ha以上層に農地が集積していることがうかがえる。
実際、現場を取材すると急速に農地集積が進んでいることを実感する。大分県のA法人は2020年の設立時48haが今年は80haになった。継続できなくなった集落営農を引き受けるなど毎年20ha増える。ほ場の平均面積は11a。伝統的な田園風景だが、中山間地域であり、まさに小規模分散している。代表者は「耕作放棄を増やさない」との思いで引き受けている。
秋田県のB法人は2021年に14haで法人化。今年は40haにまで拡大した。水田は400枚、9集落にまたがる。代表者は「ほ場ごとに管理するシステムは不可欠」と話す。
鳥取県のC法人も毎年20haずつ増え、今年は95ha。400枚の水田を「アグリノート」で管理している。新規に社員も採用。代表者は「データを起点に意思決定しなければ強い経営に育たない」と強調する。
こうした大規模化する現場には作付け計画も重要だが、防除計画も大事になってくる。また、スタッフで情報を共有し、的確に作業を実施することも求められる。そのための営農管理システムにはデータが蓄積され、翌年の栽培に活かすことができるとともに、長期的な経営計画づくりも役立つ。
バイエル クロップサイエンスの仁木理人氏(執行役員カスタマーマーケティング本部長)は「大規模化が進む日本農業へのデジタルソリューションの活用は効率化と省力化とともに、環境負荷の軽減の面でも重要と考えている」と話す。
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