農薬:防除学習帖
【防除学習帖】第28回 水稲の防除<2> 育苗期2019年11月22日
前回も紹介したように、豊かで品質の良い収穫を得るためには健全な苗の育成が重要だ。種子伝染性病害の他に苗立枯病が健全な苗を育てる時の障害となるので、しっかりと防除しておきたい。今回はこれらの防除法について紹介する。
1.主な苗立枯病
苗立枯病は、発芽間もない苗が障害を受け、生育不良あるいは枯死といった症状を示す病害の総称である。この病害は箱育苗の普及とともに増加し、糸状菌(かび)が原因のものと細菌が原因のものがあるので、病原菌の種類によって対応策が異なるので注意が必要だ。
2.防除法
苗立枯病は、菌の種類によって防除対策が異なってくるので、発生する病害に応じた対策が必要だ。一般的には、総合種子消毒剤による種子消毒を実施した種子を播種後、育苗箱施用剤(灌注処理、培土混和処理)を施用することが多い。表に剤別対象病害と使用方法の概略を示したので参考にしてほしい。

(1)育苗資材の消毒
苗立枯病の多くは、前年に使用した育苗資材に病原菌が付着しており、それが発生源となる場合があるので、育苗に使用する資材は事前にしっかりと消毒しておきたい。育苗培土を購入培土ではなく山土などを使用する場合は、特に蒸気消毒などで消毒しておく必要がある。育苗箱は、イチバン溶液(500~1000倍)に瞬時浸漬後乾燥させてから使用する。その他、播種機や苗を置くシートなどもできるだけ清潔にしておく方が望ましい。
(2)種子消毒剤による防除
種子消毒によって防除が可能な苗立枯病は、細菌病(もみ枯細菌病、苗立枯細菌病、褐条病)、およびリゾープス、トリコデルマ(一部剤のみ)である。種子消毒剤の使用方法に従い、正しく処理する。特に、処理方法で風乾・固着が必要な剤については、その操作を省略すると効果が低下するので必ず実施する必要がある。
(3)培土混和処理剤
粉剤や粒剤のものは、使用方法に従って使用する培土に均一に混和する。この場合、床土と覆土両方に混和させるものや覆土に混和させるものなど、農薬によって様々なので、間違えないよう行うこと。混和に偏りがあると、箱内で効果が出ない場所が起こることがあるので、混和については丁寧に行うようにする。
(4)苗箱灌注処理剤
フロアブルや水和剤、液剤といった水に希釈して灌注するものは、使用方法どおりの希釈を行い、その希釈液を1箱あたり500ミリリットル灌注する。灌注は、播種時であったり、緑化時であったり、発芽後であったりと農薬の特性にあわせて使用する時期が定められているのでそれに従って処理する。
なた、カスミン液剤には4~8倍希釈液を1箱あたり50ミリリットルを覆土前散布(スプレー)する処理方法があるが、これは播種ラインの覆土行程の前に散布機を設置して行う方法が効率的だ。

本シリーズの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。
【防除学習帖】
重要な記事
最新の記事
-
【特殊報】キュウリ黒点根腐病 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【特殊報】ウメ、モモ、スモモにモモヒメヨコバイ 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【注意報】トマト黄化葉巻病 冬春トマト栽培地域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
【注意報】イチゴにハダニ類 県内全域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
バイオマス発電使った大型植物工場行き詰まり 株式会社サラが民事再生 膨れるコスト、資金調達に課題2025年12月26日 -
農業予算250億円増 2兆2956億円 構造転換予算は倍増2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(1)2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(2)2025年12月26日 -
米卸「鳥取県食」に特別清算命令 競争激化に米価が追い打ち 負債6.5億円2025年12月26日 -
(467)戦略:テロワール化が全てではない...【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月26日 -
【スマート農業の風】(21)スマート農業を家族経営に生かす2025年12月26日 -
JAなめがたしおさい・バイウィルと連携協定を締結 JA三井リース2025年12月26日 -
「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業」採択 高野冷凍・工場の省エネ対策を支援 JA三井リース2025年12月26日 -
日本の農畜水産物を世界へ 投資先の輸出企業を紹介 アグリビジネス投資育成2025年12月26日 -
石垣島で「生産」と「消費」から窒素負荷を見える化 国際農研×農研機構2025年12月26日 -
【幹部人事および関係会社人事】井関農機(1月1日付)2025年12月26日 -
GREEN×EXPO 2027の「日本政府苑」協賛を募集 2027年国際園芸博覧会協会2025年12月26日 -
初の殿堂入り生産者誕生 産直アプリ「ポケットマルシェ」2025年生産者ランキングを発表2025年12月26日 -
災害時の食の備えを支援 新サイト「食の備え BOSAI」公開 コープこうべ2025年12月26日 -
直営7工場で2026年元日一斉休業を実施「働き方改革」を推進 サラダクラブ2025年12月26日


































