農薬:防除学習帖
【防除学習帖】第35回 水稲の雑草防除62020年1月17日
前回までに、水稲除草剤の主な成分や使い方のポイントを紹介した。それらの水稲除草剤を安全にかつ効果的に使用するためには、水稲除草剤を使用する前後で「守るべきこと」がある。水稲除草剤の効果が不足したり、薬害が発生した場合、この「守るべきこと」を行っていないことが原因であることが多い。
今回は、この「守るべきこと」を整理したので、水稲除草剤を使用する前に確認し、確実に実行して安全かつ効果的に使用してほしい。
1.代かきを丁寧に行う
水稲除草剤は、散布された後に田面水を介して拡散し、土壌表面に処理層と呼ばれるものをつくって効果を表す。つまり、水稲除草剤の効果を安定させ、薬害もなく使うためには、均一で安定した処理層をつくることが不可欠である。代かきが不十分であると、田面がデコボコで、田面が露出したり、土が粗く水漏れしたりして、そのような田面では安定した処理層をつくることができない。このため、田面が均平で細かい砕土となるように 代かきを丁寧に行うことが第一である。
2.適正な植え付け深度を守る
水稲除草剤の薬害は、植え付けられた苗基部(生長点)や根が処理層に触れることで発生する。このため、植え付けの時には、苗基部や根が露出するような浅植えを避け、適正な植え付け深度を保つことが必要である。また、代かきから日数が経つなど、土が締まると植穴の戻りが悪くなる。この場合、植え付け深度は守られていても、苗基部や根が露出したままになって処理層に触れてしまうリスクが高くなる。植え付ける前に土の締り具合を確めるようにしてほしい。
3.処理後7日間の水管理を徹底する
水稲除草剤の処理層がつくられ、安定するには、水稲除草剤散布後3日ほどかかる。このため、水稲除草剤の効果を安定させるためには、散布前後の水管理が重要である。
そのポイントは以下のとおりである。
(1)散布時の湛水深を守る。フロアブル・1キロ粒剤:3~5cm、ジャンボ:5~7cm
田植同時処理を行う時は、ひたひた水にし、散布後の入水も静かに行う。
(2)水口、水尻、畦畔からの水漏れをチェックし、散布後3~4日間は湛水状態を保てるようにする。もし、水持ちが悪い水田の場合は、処理層を壊さないように、できるだけ静かに入水する。
(3)処理層が崩れるので、除草剤の散布後は田んぼに入らない。散布後の補植は行わない。
(4)処理後7日間の止水管理を確実に行う。
4.ラベルをよく読み使用方法・使用適期を守る
水稲除草剤それぞれには、一番安全に効果を発揮する使用方法・使用適期がある。ラベルにはそれが書かれているので、よく読んで確実に使用方法を守るようにする。
使用時期が異なると、効果が甘くなったり、散布量が多いを薬害が起こったりするので、ラベルの使用方法は確実に守るようにしてほしい。
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