農薬:防除学習帖
みどり戦略に対応した防除戦略(21) 果樹の防除暦【防除学習帖】 第227回2023年12月2日
令和3年5月に公表され、農業界に衝撃を与えた「みどりの食料システム戦略」。防除学習帖では、そこに示された減化学農薬に関するKPIをただ単にKPIをクリアするのではなく、できるだけ作物の収量・品質を落とさない防除を実現した上で、みどりの食料システム法のKPIをクリアできる方法がないかを探ろうとしている。
前回までに作物別のリスク換算量低減方策にどんなものがあるのかを水稲およびトマトで検証した。
今回から、これらよりもさらに散布回数の多い果樹を検討してみようと思う。
果樹も水稲と同様に防除暦が整っている作物である。ただし、暦の内容は、果樹の方が水稲よりも複雑なため、一律的なリスク低減方策をより示しにくい作物である。このため、実際には園地ごとに方策を検討する必要があるが、それを紙面上で検討するのは不可能なので、栽培ステージごとに、一般的なリスク換算量低減法の検討を試みようと思う。
ただし、水稲やトマトの検討時と同様に、防除効果を低下させないことを大前提として必要な防除は確実に残し、防除効果の低下を招かないでリスク換算量を減らすことが可能な対策の考え方や対策例を示していきたいと考えている。
1. 検討対象
果樹には多くの種類があるが、本稿では全国で栽培されており登録農薬も多いナシを題材に検討する。他の樹種にも応用可能な技術の場合は、それも明記するようにしていきたい。
2.対象防除暦
最も一般的な対象病害虫を防除する防除暦として以下の防除暦を題材にして、次回以降、生育ステージごとにリスク換算量の削減方策を検討していきたい。
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