【データで見る小売業界 2012】 伸び悩む小売業界 CVSの売上高は9兆円を超えたが2013年1月25日
2012年(暦年)の小売業界の年間売上高データ(速報値を含む)が出そろった。
◆大幅な出店攻勢かけるCVS
各業態ごとの年間売上高は上表の通りだが、東日本大震災後、若者だけではなく中高年齢層以上の世代にも利便性などが認識され客層が広がっているといわれているCVS(日本フランチャイズチェーン協会=JFA)の年間売上高が9兆円の大台を超えたことが注目される。
JFA正会員10社の店舗数は12年12月末現在で4万6905店舗、この1年間で2508店舗も増えている(前年同月比5.6%増)。今後もさらなる出店攻勢が予測されており、食品スーパーや量販店だけではなく、ファストフードなど外食チェーンでもCVSとの競合が強まると警戒されている。
百貨店(日本百貨店協会)、量販店(日本チェーンストア協会)は、全店売上高が前年を下回っている。とくに量販店では売上高の6割強を占める食料品が全店ベースでも既存店ベースでも前年実績を下回っている。
◆10年間で2兆円も売上減った量販店
日本の小売業界の中核を担っている量販店だが、2000年には16兆2631億円あった売上高が3兆7291億円も減少している。
この10年(03年以降)に限ってみても、協会会員企業が102社から57社へ、店舗数が8945店舗から7895店舗へ減少した。一方、売場面積は2152万平方mから2414万平方mへと262万平方m増えているにもかかわらず、売上高は14兆4267億円から約1兆9000億円も減少しており、この傾向はさらに続くのではないかとみられている。
食品スーパーやCVSも全店売上は伸びているが、既存店についてみてみると、CVSの場合、全店売上高は15カ月連続で前年同月を上回っているが、既存店売上げは6月以降7カ月連続で前年同月を下回っている。
CVSの来店客数も全店ベースでは年間148億7462万人と前年比+4.1%となっているが、既存店ベースでは137億606万人と同▲0.4%伸び悩んでいる。
つまりCVS業界はチェーンによる格差はあるものの「各社の旺盛な出店攻勢」によって全店ベース売上高はプラスを維持したが、6月以降は「震災経過後の反動やたばこ需要の減少傾向に加え、消費の低迷が追い打ちをかけ、既存店ベースにおいては、客数、客単価ともに前年割れの状況が続いている」(JFA)。
◆消費低迷打破できない低価格競争
長引くデフレのなかで低迷する消費を打開するために、外食産業を含めて「低価格化競争」を進めてきているが、それが必ずしも消費意欲を刺激することにはなっていないように見える。また、PB(プライベートブランド)商品の拡充による差別化戦略にも各社力を入れているが、低コスト化など経営収益にはプラスになるのだろうが、これが本当に消費意欲を喚起するのかどうかも判然とはしないといえる。
新政権となって景気浮上対策への期待が高まっているが、小売業界の苦闘はいましばらくは続くのではないだろうか。
(関連記事)
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