新食品表示法で消費者団体と全農がシンポ2013年2月4日
現在、消費者庁は新たな食品表示法の立案作業を進めているが、現行の表示制度の問題点、とくに先送りされている加工食品の原料原産地表示問題について、1月31日、衆議院第一議員会館で「新食品表示法院内シンポジウム『どうなる・どうする食品表示』」と題してシンポジウムが開催された。
主催は主婦連や日本消費者連盟をはじめとする消費者団体の「食品表示を考える市民ネットワーク」だが、これにJA全農が共催団体として参加。消費者と生産者団体が一堂に会し食品表示を考えるシンポジウムとなった。参加者は250人。
◆生産者の努力が伝わらない表示制度
シンポジウム開催にあたってあいさつにたった神出元一JA全農専務理事は「食品表示については生産者側からみても見直しが必要だとかねてから考えていた。とくに加工食品の原料・原産地表示について情報の開示が十分とはいえない。消費者団体のみなさんも加工食品の原料・原産地表示について知りたいし知る権利があるといった要望があり、それなら一緒に取組んで要求を実現していこうと考えた」と語った。
さらに「全農は元気な産地づくり事業を最大の目標に置いて各地域のJAや生産者とともに取組みをしているが、一方で消費の場面では個食化や簡便化が進んで、加工品や調理品、惣菜の分野が伸びている。しかし、現在の表示制度では加工品や惣菜で国産品を選択できない仕組みになっており、生産者の努力の結果が消費者に伝わらない構造になっている。
さらに、輸入食品原料を使って製造した商品があたかも国産原料を使用していると消費者に誤認を与えるという実態もある。生産情報を開示して消費者に国産品を選択していただくという道筋ができれば生産者が元気をだして農業の生産拡大をしていこうという気持ちになるという流れができあがる」と、加工食品において原料原産地表示することは、国内農業を元気にすることにもつながることを強調した。
シンポジウムでは京都大学の新山陽子教授が「表示の役割の再検討」と題して、EUと日本の原産地表示制度の比較をしながら、消費者が表示の情報をどう利用しているか、表示の情報機能に必要なこと、任意表示の規制などを講演した。
主婦連の佐野真理子事務局長は「食品表示を考える市民ネットワーク」が新しい食品表示に求めるものとして、新法の目的に「消費者の安全の権利、知る権利、選択の権利を保障するものである旨を明記すべき」とし、同法では「表示は消費者に誤認を与えるものであってはならない」「正確で明快で消費者にとって分かりやすいもの」など、4つの表示原則の章を設けるべきことなどをあげた。
(写真)
あいさつする全農・神出専務
◆ドレッシングをかければ原産地表示不要
そのうえで、現在の食品表示ではカット野菜は原料原産地表示の対象だが、これにドレッシングをかけると表示対象外になるとか、「ゆでだこ」は表示対象だが「酢だこ」は対象外など、「表示の不思議」を具体例をあげて指摘したほか、食品添加物表示について現行の「一括名」「簡略名」を廃止しても「文字数は激増しない」ことをカップ麺やハムたまごサンドを例に指摘した。
また、消費者庁が募集したパブリックコメントに意見を提出した日本弁護士会の石川直基消費者問題対策委員会副委員長は、法律家の立場から、現在検討されているなかには、「特保やいわゆる健康食品の広告問題などが対象になっていないことも大きな問題」と指摘し、今後、日弁連として「近い将来意見書を出す予定」だとした。
衆議院議員会館での「院内シンポ」ということもあって、自民党の山田俊男参院議員、民主党の大河原雅子参議院議員、公明党の石田祝稔衆議院議員、共産党の穀田恵二衆議院議員、みんなの党の川田龍平参議院議員、みどりの風の舟山康江参議院議員をはじめ多くの議員が参加し、連帯のあいさつをした。
(関連記事)
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