全国生協2期連続で増収増益 日本生協連総会2015年6月15日
日本生協連は、6月12日、都内で第65回通常総会を開催し、2014年度事業報告および決算、2015年度事業計画および予算などを決定するとともに、2015年度の役員を選任(別掲)した。
◆事業概況
2014年度の全国生協の事業概況は、表1のように地域生協の総事業高は2兆6990億円(前年比100.5%)、経常剰余率1.60%と、2期連続で増収増益となった。
地域生協の組合員数は、2059万人(前年比102.3%)、世帯加入率36.6%となっている。医療・学校生協を含む会員生協総組合員数は2774万人(前年比101.5%)と、堅調に増加している。
また、事業を業態別にみると、宅配事業供給高は、1兆6956億円(前年比101.5%)、うち個配は1兆1222億円(同104.5%)と、個配を中心に堅調に推移し、図1の経常剰余率推移でもわかるように、地域生協の事業を牽引しているといえる。
一方、店舗事業供給高は、8685億円(同98.7%)となっているが、11生協で店舗事業が黒字化し、経常剰余率も前年の▲2.1%から▲1.9%へと「やや回復傾向にある」(嶋田専務)といえる。
◆社会的な取組み
全国の生協活動の特徴は供給事業だけではなく、協同組合としてさまざまな社会的な取組みを行っていることにもある。
とくに最近力を入れている「地域社会づくりへの参加」として、宅配事業のインフラを活用した「地域見守り活動」がある。15年3月末現在で、全国83生協が、26道府県・745市町村と「地域見守り活動」で協定を締結している。この745市町村は、全市町村1742の42.8%となる。また、全市町村と協定締結をしているのは、宮城県と鳥取県だ。
このほか、組合員参加による助け合い活動や、阪神淡路大震災、東日本大震災という2つの大震災の経験を活かした地域防災の取組みでは、「緊急時における物資供給等に関する協定」締結件数は、46都道府県と629市町村(15年3月末)に拡大し、それぞれの地域で、大規模災害を想定した行動計画を策定し、定期的な訓練などに取り組んでいる。また、東日本大震災の被災地復興支援の活動も継続して取り組まれている。
◆2015年度の課題
総会で決定された2015年度の事業計画でとくに「特別課題」として掲げられたのは
▽コープ商品の商品力強化・ロイヤリティ向上→コープ商品ブランド刷新、ラブコープキャンペーンの継続
▽くらしの変化に対応した積極的な事業展開と事業経営の確立→経常剰余率2%を確保できる事業経営の確立
▽東日本大震災被災者支援、地域社会づくりへの参加、平和とくらしを守る取り組み
そして、第12次中期計画(13年―15年)の最終年度にあたることから
▽2020年ビジョン第2期中期計画を検討する
となっている。
また、社会的な取組みの重点課題としては
▽東日本大震災被災地・被災者に寄り添った復興支援の継続、とりわけ福島支援を最重要課題に「忘れない、風化させない」取り組み
▽地域の一員として、自治体や諸団体との連携を深め、安心してくらせる地域づくりに参加
▽被爆・終戦から70年・「平和とよりよい生活のために」被爆者の被爆体験の継承活動や、8月の「ピースアクション ヒロシマ・ナガサキ」の開催を通し、核兵器廃絶・平和のメッセージ発信
に取り組んでいくことにしている。
【写真】
記者会見する浅田会長(中央)と嶋田専務(左)、和田専務
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