中国向け越境ECサイトで米加工品を販売 全農パールライス2017年10月11日
全農パールライス(株)は、中国向け越境ECプラットホーム「豌豆公主(ワンドウ)」で、日本産の米加工品(無菌米飯)の販売を10月1日に開始した。
「豌豆公主」は、インアゴーラ(Inagora)(株)(本社:東京都港区赤坂)が運営する中国ユーザ向けショッピングアプリで、唯一の日本商品特化型サービスだ。中国のEC市場は、100兆円を超え、2019年には200兆円を超すとの予測もあり日本はもとより米国とも比べようもない大きな市場規模となっている。
「越境EC」とは、中国経済の成長に伴って増えてきた富裕層が求めるクオリティを中国製品が実現していないために、彼らが海外へ出かけて直接「爆買」しなくても、中国国内にいて海外製品を購入できるサービスとして誕生したもの。2013年から15年の2年間で急速に拡大し約5兆円規模となり、近い将来には20兆円超の規模になると見込まれている。インアゴーラ社も「ショッピングに国境はない」という考えに基づいて越境ECプラットフォーム「豌豆公主」を構築したという。
(画像)「豌豆公主」のフォロー図
越境ECにはいくつかのタイプがあるが、豌豆公主は、インアゴーラ社の本社が日本にあるので、日本の商習慣に従ってビジネスができ、商品調達もできる。他の越境ECのように中国側の保税倉庫に商品を送ることなく、直接注文したユーザに日本から送り届ける「直郵」という物流形態をとる。そのため、賞味期限の短い商品でも扱える日本製品に特化したサイトとして人気が高い(図参照)。 今回、全農パールライスが豌豆公主で販売するのは、炊飯加工米飯の「無菌パック」だ。なぜ、加工品かというと、日本から中国への生米の輸出は、中国が検疫対象としているカツオブシムシ類が無発生であることが確認され、かつ、無発生が維持されている地区の「指定精米工場」(全農パールライスは、中国政府から認可を受けた精米工場を保有している)で精米され、さらに登録くん蒸倉庫でくん蒸されたものでなければならないなど、非常に詳細にわたる条件をクリアしたものに限られているからだ。こうした条件を緩和するための交渉が日本政府と中国政府で行われているが、まだ解決の見通しは不透明だ。
実際に中国に精米を輸出しようとすれば、全行程を完了するのに2カ月くらいはかかるという。そのため、今回は炊飯加工され1食分ずつパック包装された「無菌米飯」を販売することにしたという。ただし、米加工品であっても、東電福島第一原発事故で放射性物質の被害を受けたとされる10都県(福島・宮城・茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・新潟・長野)産の農産物はもとより、この都県内で加工された食品も「輸入規制措置」の対象となるため、現在は、石川県のJA松任の商材が供給されている。 中国ではこうした米炊飯加工品はまだないので、豌豆公主では、共働き主婦を中心に利便性や安全性(上海などでは水道水の安全性に不安を持つ人がけっこういるので)、レンジや湯せんでの温め方や食べ方などをアピールすることで、需要を拡大していこうとしている。
これからについて全農パールライスでは、「国内JAグループの食品で、インアゴーラ社の要望に合致した商品(米関連やご飯周りの商品等)を取り入れて提案する予定」だが、これ以外にも「国産農畜産物の常温品についても検討中」だという。
中国には日本の人口に匹敵する約1億人の富裕層が存在するという。彼らが年間1万円日本の農産物・加工品を購入すれば「1兆円」になるという巨大市場だ。全農パールライスの挑戦はスタートしたばかりだが、今後の進展に注目していきたい。
(写真)現在販売されているJA松任の「松ちゃんのご飯」と「千代ちゃんのおかゆ」
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